★★★今、東京は桜 が満開です。少し散り始めているのでこの週末までが見ごろですね。私はというと、明日はサロンコンサートでピアノを弾き、来週はバンドのスタジオライブと平日の仕事以外のプライベートが忙しく充実しています。そんな状況で、どうしても時間と手間のかかる自動車カタログの記事を作っている場合ではないとも思うのですが、時間がなく追い込まれてくると何故か時間を小まめにつくってでも記事をアップしたくなってしまいます。多分限界はあると思いますが、追い込まれると妙に能率がよくなるような感じです((((((ノ゚⊿゚)ノ
みなさんにもそんなことってありませんか。
★1958年(昭和33年)5月に発売された富士重工の軽乗用車スバル360(第54回記事参照)は日本のモータリゼーションの進展に大きく貢献するロングセラーとなったが、1967年(昭和42年)に登場したホンダN360のヒットや他の新型軽乗用車の登場により市場での競争力を失いかけていた。
富士重工としては1968年(昭和43年)に若者向け高性能バージョン「ヤングSS/S」(第55回記事参照)を追加するなどの対応をしていたが、水面下では1965年(昭和40年)より百瀬技術部長をチーフとした技術陣により第2世代の軽乗用車の開発が進められていた・・・。
★1969年(昭和44年)8月15日、戦後24年目の終戦記念日にスバル360の後継車スバルR-2は発売された(スバル360も暫くは併売)。
和製ビートルやてんとう虫と言われたスバル360程には個性的ではないもののフィアット500と似た清楚で愛くるしいルックスをもったR-2は、メカニズム・居住性・安全性など殆ど全ての点がスバル360より優れたものにアップデートされていた。即ち、スバル360と基本的なレイアウトは同じリアに搭載された空冷エンジンはアルミ製シリンダーとなり出力は5HPアップの30HPをマークしてホンダN360の31HPのパワーに肉薄し、ホイールベースの120mm延長とパワーユニットの小型化により室内有効長は同時期のコロナ1500(3代目RT40系末期)を30mm上回り軽最大の室内空間となった。その他、フロント・トランクルームの新設・三角窓の廃止と新たなベンチレーションシステムの導入・前後共にリーディング・トレーリング式となったブレーキ・16.2に高められ切れ味がシャープとなったラック&ピニオンのステアリングなど改善された点は多岐にわたっていた。
★スーパーデラックス・デラックス・スタンダードの3グレードでスタートしたスバルR-2は、まず発売翌年の1970年(昭和45年)4月にスバルヤングSS/Sの後継車R-2SSとスポーティデラックスを加えたあと、同年10月にはスーパーデラックスより更に豪華なグレード「GL」を追加、1971年(昭和46年)2月にはNEWスバルR-2となりスタンダード以外全車のフロントに横バーグリルを装着、同年10月には醜悪なゼブラマスクとなり水冷エンジン車を追加し、この時、ラジエター設置のためにフロントエンドのプレス型を変更した。元々空冷エンジン搭載として設計されたR-2に水冷を搭載したことには無理がありトラブルが続出し翌1972年(昭和47年)7月に3代目レックスの誕生までの僅か9ヵ月程で水冷エンジン車は生産を終えた。末期のR-2は空冷エンジン車のみとなり、1973年(昭和48年)2月に生産を終えた。レックスとの併売期間を含めてもR-2は僅か3年6ヶ月という短命に終わった。
【スバルR-2の変遷】
〇1969年(昭和44年)8月15日 新型車 スバル・R-2発売
〇1970年(昭和45年)2月16日 スバルカスタムの後継車「 R-2バン」発売
〇1970年(昭和45年)4月18日 ツインキャブ「スバルR-2 SS」、スポーティデラックス発売
〇1970年(昭和45年)10月5日 高級グレード「スバル R-2 GL」発売
〇1971年(昭和46年)2月8日 「 New スバルR-2シリーズ発売」フロントにダミーグリルを装着。ハイ・デラックス追加し計6グレードとなる。ツインキャブのスポーツモデル R-2SS 生産中止。
〇1971年(昭和46年)10月7日 ビッグマイナーチェンジ。フロントエンドのプレスを変更し「ゼブラマスク」と呼ばれるフロントグリルとなる。水冷エンジン搭載「L」シリーズ発売(グレードはカスタムLとスーパーL)。空冷のツインキャブ装着スポーツモデル「 GSS」の名称で再発売。
〇1972年(昭和47年)7月15日 スバルレックスの発売に伴い、R-2は空冷エンジン車のみとなる。
〇1973年(昭和48年)2月 スバルR-2生産終了
【主要スペック】 1969年 スバルR-2 スタンダード (型式K12)
全長2995mm・全幅1295mm・全高1345mm・ホイールベース1920mm・車重430kg・RR・EK33型空冷2ストローク2気筒356cc・圧縮比6.5・最高出力30HP/6500rpm・最大トルク3.7m㎏/5500rpm・変速機4速フルシンクロ・乗車定員4名・最高速115km/h・31万3000円(群馬工場渡し価格)
●1969年10月 スバルR-2 新発売 広告 (CARグラフィック1969年10月号より)
●1970年5月 スバルR-2 SS 広告 (広報誌「スバル」1970年5月号より)
●1970年11月 スバルR-2 GL新発売 広告 (広報誌「スバル」1970年11月号より)
1971年2月のマイナーチェンジでフロントグリルが付く前のこの初期型GLは極く短命。
●1971年5月 NEWスバルR-2 広告 (広報誌「スバル」1971年5月号より)
71年2月のマイナーチェンジで控え目なフロントグリルが付いたNEWスバルR-2。仏マルセイユの丘のR-2GL。
●1971年11月 JustNewスバルR-2 広告 (広報誌「スバル」1971年11月号より)
水冷エンジン車が追加され派手なゼブラマスクとなった。
●1969年7月 スバルR-2 本カタログ (A4判・14頁)
表紙のコピーは「hard mini」
中頁から
シンプルな運転席周り
グレード&ボディカラー
スペック掲載箇所
●1970年3月 スバルR-2SS/スポーティデラックス 専用カタログ (縦29.5×横18.5cm・12頁)
36ps・最高速120km・ゼロヨン19.9秒のSSと32ps・最高速115km・ゼロヨン21.5秒のスポーティデラックスを追加。表紙のコピーは「ハードライダーの魂をうばうミニ」
中頁から
36psのSS
32psのスポーティデラックス
オプション「Rパック」
●1970年5月 スバルR-2 本カタログ (A4判・16頁)
SS・スポーティデラックス・バンも掲載されたR-2総合カタログ。70年代を感じさせるセンスのよい写真で構成された魅力的なカタログ。
中頁から
ミニスカート全盛時代
●1970年9月 スバルR-2SS/スポーティデラックス 専用カタログ (縦29.5×横18.5cm・12頁)
車両自体には変更の見られないカタログ改訂。3月版の専用カタログと同じ判型ながら中面は全く異なるカタログ。
中頁から
●1971年1月 NewスバルR-2 本カタログ (A4判・22頁)
スタンダードを除く全車のフロントに控えめなダミーグリルが装着された。
中頁から
スーパーデラックス
透視図
●1971年10月 JustNewスバルR-2 水冷/空冷 総合カタログ (縦22×横30cm・24頁)
中頁から
水冷「カスタムL」。ラジエターを内蔵したフロントグリルは初期のR-2の清楚な美しさの対極にあるような醜悪なものだが、どこかレックスやレオーネとも似ている。このR-2の水冷仕様車は極く短命に終わった。
フロントにラジエターを装備した水冷のメカニズム解説
●1971年10月 JustNewスバルR-2 空冷 専用カタログ (縦22×横30cm・20頁)
中頁から
スーパーデラックス
復活した36psのツインキャブ車「GSS」。オレンジはこの時代のトレンドカラーでホンダZ、ギャランGTO、ベレットGTRなどイメージカラーとしたクルマが多かった。
★オマケ(その1): ダイヤペット195番 1/40スケール 1969年スバルR-2
全長75mm。1970年7月発売。当時定価500円。ダイキャスト製。カラーバリエーションは赤・黄・緑。とても可愛らしいミニカー。
★オマケ(その2): トミカ9-1番 1/54スケール 1971年スバルR-2
全長55㎜。1972年12月発売。当時定価180円。ダイキャスト製。既にレックスがデビューした後に発売された製品。よく見るとフロントに横バーがモールドされているので控えめなダミーグリルの付いた1971年のNewスバルR-2がモデルだろうか。現在でも金型が残っており、膨大なバリエーションが出ている。とりあえず、すぐに出てきた3台だけアップしておきます。緑メタリックは私が高2から高3になる春休み、1977年3月に津軽半島を一人旅した際に金木駅の売店で見つけたオリジナル。赤は2005年トミカ35周年の中国製復刻(オリジナルでも色合いの異なる赤が出ていた)。警視庁パトカーはイオンの限定販売品。スバルR-2の当時物モデルカーとしては富士重工の出したアンチモニー製シガレットケースがある他、田宮模型の1/18名作キットを始めとしてプラモデルでは多数が発売されている。
★オマケ(その3): 1991年スタジオジブリ製作/東宝配給 映画「おもひでぽろぽろ」より
国立ロクさんからのコメントでこの映画にスバルR-2が登場していたことを思い出しました。この動画では、2:18位で少しだけスバルR-2が登場します。原作者(岡本螢さんと刀根夕子さん)もしくは監督・脚本の高畑勲さんにスバルR-2への何らかの思い入れがあって登場したのでしょうか。
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★1969年スバルR-2 キュートな和製フィアット500 ~ 自動車カタログ棚から 217
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