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Channel: ポルシェ356Aカレラ
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★戦後日本の移動図書館車 トミカ いすゞジャーニーQ ~ 自動車カタログ棚から 216

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★古来日本では読み書き算盤(そろばん)というが、現在の日本の識字率(文字が読み書き出来る人の割合)は、 99.8%(男性99.9%、女性99.7%)だそうである。
文字が読み書き出来ない日本人は1000人に1人か2人ということになる。現在、世界の識字率平均は75%だそうで、大雑把にみて4人に1人は文字が読めない非識字者(かつては非識字者のことを文盲という言葉で表現するのが一般的だったが現在では視覚障害者への差別的な表現に当るとして使われなくなった)ということになる。日本を含めて殆どの国で女性よりも男性の方が識字率は高い(理由は男性が識字の必要な社会に出て活動し、女性が家を守るという役割分担が残されているためだろうか)。アフリカには現在でも識字率の低い国が多く、ニジェールなどは僅か17%と6人に1人程度しか文字を読み書き出来る人がいない状況なのである。


★文字を読み書き出来ることは内面世界を拡げ人生を変える。
インターネットの普及した現代においては紙媒体の書籍以外で文字を読む機会が多くなったけれども、紙媒体の書籍にも独自の魅力は残されている。例えば、インクの匂いがプンプンするようなまっさらな本を開いて頁をめくり読み進める楽しみといったものはネット書籍では味わい難い。図書館や大型書店のような本の森の中でゆったりと時を過ごすといったことも本独特の楽しみではないだろうか。


★日本に近代的な図書館が生まれたのは明治期以降のこと。現在では図書館法に基づき全国の自治体等によって多数の図書館が運営・管理されている。
そんな中で図書館に恵まれない地域を自動車もしくは船舶で巡回する「移動図書館」が生まれた。第二次大戦後、1948年(昭和23年)7月、まず高知県立図書館の運営する移動図書館車「自動車文庫」が誕生し、次いで同年12月には鹿児島、翌1949年(昭和24年)8月には千葉、1953年(昭和28年)には東京にも移動図書館車が誕生した。こち亀などに昭和中期のノスタルジーとして登場する、自転車に紙芝居を積んで子供の集まる広場・公園などを回り飴玉やソース煎餅を売る代わりに紙芝居を読み聞かせた「紙芝居屋さん」は私が小学生の頃(昭和40年代)の都内では既に絶滅していたけれども、移動図書館車は意外にも現代の東京でも23区外には未だに少数が残っているという(23区内では2005年3月に練馬区の移動図書館車「ひかり号」を最後に絶滅した)。但し、全国的に移動図書館車は減少しており、使用されなくなった車両はアフリカ諸国等の移動図書館のニーズが高い国々に譲渡されている。



【1950年代の絵本に描かれた移動図書館車】 トッパンの愛児絵本「じどうしゃ」より
描かれている車両はいすゞBXベースのようだ。
絵本



【1950年代の移動図書館車の記録写真】

 1950年?ニッサン290ベースの移動図書館車 (1952年発行 五十嵐平達著 玉川こども百科「自動車」より)
日産290

 1959年?トヨタDBベース?の移動図書館車 (1960年発行 ポプラ社の写真図鑑「自動車」より)
トヨタDB

 1953年 東京都立 立川図書館「むらさき号」(ベース車両不明)
1953年都立立川図書館むらさき号

 1954年 東京都青梅市 移動図書館車 (いすゞBXベース?)
1954年青梅市移動図書館車いすゞBXベース

 1957年 新潟県長岡市 移動図書館車 (トヨペットベース?)
1957年新潟県長岡市図書館トヨペットベース?


●1974年11月 ニッサン ホーマー移動図書館車 専用リーフレット (縦29.5×横25.5cm・両面1枚)
車両型式: VT20GR。移動図書館車はバスのカタログに架装例として掲載されている例はあるが、このような専用の印刷物は非常に珍しい。収容冊数は厚さ20mmのB5判で約540冊と記載されている。表紙の埼玉ナンバー「ひまわり号」は実際に運用された車両のようだ。ホーマーは移動図書館車としてはミニマムサイズだろう。

プリンスホーマー&ホーミーのノーマル車については、第165回記事をご参照ください。)

ホーマー表紙
中面から
ホーマー1中
ホーマー2中
スペック
ホーマー3中スペック
図面
ホーマー4中図面


●1981年10月 三菱ローザ/BK 小型バス特別仕様車 専用カタログ (A4判・20頁)
表紙の三河ナンバー「みどり2号」は実際に使用されていた移動図書館車のようだ。このカタログには移動販売車、広報車など様々な特装車が掲載されている。
ローザ表紙
中頁から
ローザ1中
ローザ2中
仕様・図面
ローザ3中(仕様・図面)


●1981年2月 いすゞジャーニーY 専用カタログ (縦29.5×横24.5cm・22頁)
ジャーニーY表紙
中頁には架装例として移動図書館車が掲載されている。オマケ1のトミカとよく似ている。
ジャーニーY中図書館車


●1983年3月 いすゞジャーニーQ 専用カタログ (A4判・12頁)
このカタログには移動販売車、テレビ中継車は架装例として掲載があるものの残念ながら移動図書館車の掲載はないのだが、オマケのトミカとの関連で掲載。側面窓が上下に拡げられた後期型でトミカは前期型のモデル化のようだ。
ジャニーQ表紙
中頁から
ジャニーQ1中
架装例
ジャニーQ2中架装例
通常車両のバリエーション
ジャニーQ3中バリエーション




★オマケ(その1): トミカ62-3 1/98スケール 1979年いすゞジャーニーQ移動図書館
1980年2月発売。当時定価240円。移動図書館車のミニカーとしては唯一の存在?バリエーション多数あり。朱赤とクリームのツートンが初版。オレンジが2nd。白/青ツートンは1992年のギフトセット品、青メタ/青ツートンは近年の中国製となった製品でトミカくじⅡに入っていたもの。他にスーパーギフトセット用のバリエーションもあった。
トミカ(1)
トミカ(2)
トミカ(3)
トミカ(4)



★オマケ(その2): トミカ62-3 1/98スケール 1979年いすゞジャーニーQ 「吉野家 移動販売車」
税抜定価1500円。中国製の最近のトミカで移動図書館車ではないですが、ジャーニーQ移動図書館のバリエーションとしてとても面白いので掲載しておきます。トミカタウン「吉野家」の家屋等とのセットで売られた吉野家移動販売車バージョン。トミカタウンではメジャーなコンビニやファミレスなどが沢山商品化されていますが、時代を写したミニチュアとして将来貴重な存在となる気がします。建物入口は自動ドアのギミック付。一緒に並べてあるポルシェ911とキャブオール佐川急便は昔のトミカです。
吉野家(1)
吉野家(2)
吉野家(3)
ドアに貼られたアルバイト募集の貼り紙が泣かせます。
吉野家(4)


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