★東京に帰ってきましたが、とても風が冷たく急に秋から冬になったようです。コートなしでは震え上がる寒さにちょっと驚いてしまいました。急な寒さで風邪など引かないように気をつけたいところです。
★ここに1枚の写真がある。撮影は51年前の1962年(昭和37年)11月1日。
東京晴海で開催された第9回東京モーターショーの屋外重機等展示場で撮影されたものだ。写っているのは日野ZG13型オフロードダンプ。よく見るとダンプのタイヤの前に白い服を着た子供が立っている。3歳になったばかりの私だ。私が東京モーターショーに行ったのは恐らくこの年が初めてで、来週11月23日(土)から現在は隔年開催となっている2013年の第43回東京モーターショーが始まるが、三つ子の魂百までの諺よろしく私は東京モーターショーだけは半世紀以上前から殆ど欠かさず観てきたことになる。
★静岡県浜松市天竜区と愛知県北設楽郡豊根村にまたがる一級河川・天竜川に建設された高さ155.5メートルの重力式コンクリートダム「佐久間ダム」は、1956年(昭和31年)10月15日に僅か3年という短い工期により完成した。しかし、完成までには土木労務作業員96名もの人命が奪われたという。佐久間ダムの建設は日本の土木史における「金字塔」とも称えられる。その理由はダムを始めとする大型の土木構造物の近代的機械化工法を確立したこと、戦後未だ発展途上だった日本企業に活力を与え、また日本国外に日本の技術の優位性を示す契機になったことなどがその理由である。近代的機械化工法としては大型ダンプカーやブルドーザー等の重機類の大々的な活用が挙げられる。
★佐久間ダムの建設に当り、一般公道での走行を想定しない大型オフロードダンプカーとして1954年(昭和29年)12月に導入されたのが国産初のオフロードダンプ「日野重ダンプトラックZG型」であった。
ZG型は1952年(昭和27年)より試作納入が繰り返され、4度目の納入でついに正式に現場採用されることとなった。日野ZG型は米国ユーグリッド社製ダンプの半額の値段でありながら3200mmのホイールベースにより小回りが利き国産初の油圧パワーステアリング装備による軽い操舵力と荷台の昇降時間が短い等の優れた性能を持ち、佐久間ダム完成に向けての追い込み工事に大活躍した。ZG型は1954年デビュー時のZG10型から順次車体の大型化、積載量の増加とエンジンのパワーアップが図られ、1955年にZG11型、1957年にZG12型、1959年(昭和34年)にDA59型175psエンジン搭載のZG13型へと発展した。この最終型式であるZG13型は外観の小変更を経ながら1971年(昭和46年)までの何と12年間という長期に亘り生産される国産オフロードダンプの名車となった。日野ZG型のライバルとしては1955年(昭和30年)という早い時期に三菱が200psエンジンを搭載した13.5トン積のW26型ダンプを試作しているが短命に終わった。日野ZG型生産終了後の1973年(昭和48年)にはニッサンディーゼルがトミカ・ダンディのミニカーとしても有名な38トン積のWD38型をデビューさせ、その後はオフロードダンプの大型化が進み現在では積載量100トンを超える車両も珍しくはないという超大型化への道を歩んでいる。
【主要スペック】 1959年 日野重ダンプトラック ZG13型
全長6363㎜・全幅3000㎜・全高3200㎜・ホイールベース3600㎜・車両重量13310kg・FR・DA59型水冷4サイクル直列6気筒10857cc・最高出力175ps/2000rpm・最大トルク68kgm/1400rpm・最大積載量13500kg・変速機:前後進各6段MT・乗車定員1名・最小回転半径7.4m・ダンプ性能:上昇時間20秒/下降時間10秒・最高速度46km/h・販売価格:不明
●1956年発行 日野重ダンプトラックZG12型 本カタログ(A4判・2つ折4面)
日野カタログナンバー:115。ホイールベース3400mmで12トン積。
中頁から
図面
裏面スペック
●1960年発行? 日野重ダンプトラックZG13型 英文カタログ(A4判・12頁)
日野カタログナンバー:55-E。国内版カタログより遥かに力の入った魅力的な内容/構成のカタログ。ZGは当時フィリピンを始めとするアジア諸国の大型土木建設現場へ相当数が送りこまれたようだ。
中頁から
「日野自動車と共に創るあなたの未来」の印字
「北日本での活躍ぶり」の印字。素晴らしく魅力的なカタログ画。よく見るとZG型が8台も描き込まれている。
頑丈なシャシー、6速ミッションほか
DA59型エンジン
ダンプ機構説明
スペック&ボディカラー。カラーは全てキャブとダンプ荷台が異なる洒落たツートンで5種類。
裏表紙はZGの後ろ姿と1958年のブリュッセル万国博で銀賞を受賞した際の記念メダル。
●1962年7月発行 日野重ダンプトラックZG13型 カタログ(A4変形・3つ折6面)
日野カタログナンバー:Z109-5。ZG13型より一回り小さい11トン積のZG23型も併載されたカタログ。
中頁から
175psのDA59型エンジン
三面図
裏面スペック
★オマケ(その1): 野村トーイ 1/25スケール 日野重ダンプトラックZG13型
全長26cm。1962年発売(?)。当時定価:都内300円・全国330円。
左サイドのレバーを押すと荷台が跳ね上がる仕組み。
野村トーイ総合カタログ1965年版より
★オマケ(その2): 野村トーイ 1/32スケール 日野重ダンプトラックZG13型
全長21cm。当時定価:不明。幾つか手許にある1960年代の野村トーイのカタログには何れにも掲載されていないのだが、恐らくオマケ1の半額程度で売られたものと思われる。オマケ1の小型版として「2号重ダンプトラック」の商品名で市販され箱絵にもしっかり日野のレタリングが入っているが、製品は何故か実車とは異なる左側キャブとなっている。
小サイズもレバー操作でダンプ荷台が跳ね上がる。
★オマケ(その3): 佐久間ダムの2012年の映像
未見ですが、佐久間ダムについては工事過程を描いた岩波映画が作られているようです。それには日野重ダンプZG型が映っているかも?ダムを見ると反射的にガラモンを思い浮かべるのは私だけ?
★オマケ(その4): ウルトラQ「ガラダマ」 円谷プロ 1966年
という訳で私にとってはダムと言えばガラモンなので、ダムを破壊するガラダマの映像も付けときます(24分前後から)。ウルトラQは現代の技術によるカラー版が出ましたが、オリジナルの白黒の方がむしろ迫力があると感じるのは私だけ?
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★1959年日野重ダンプトラックZG13型 国産初の重ダンプ ~ 自動車カタログ棚から 189
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