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Channel: ポルシェ356Aカレラ
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★1958年 オースチン・ヒーレー100six ビッグヒーレー ~ 自動車カタログ棚から 166

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★ビートルズのメンバーがまだ10代だった1950年代の英国は、モーリスやヒルマンといったファミリーカーでさえもオープンボディが造られていた。オープンスポーツではMG、トライアンフ、AC、ジャガー、シンガー、モーガン、ブリストル、そして今回ご紹介するオースチン・ヒーレーと百花繚乱の様相を呈していた良い時代だった。もっともブリティッシュ・オープンスポーツの大半は英本国でなく海を渡り戦後のスポーツカーブームに沸いていたアメリカに向けて船積みされた。

★ドナルド・ミッチェル・ヒーレー(Donald Mitchell Healey; 1898年7月3日- 1988年1月13日)は第二次世界大戦前の英国における最も優れたラリードライバーの一人でありモンテカルロなどの国際ラリーにトライアンフ、ライレー、インヴィクタなどで出場して優勝を含む輝かしい戦績を残した。
ヒーレーがラリードライバーとしての人生に年齢的にも体力的にも限界を感じ始めた第二次大戦後、ラリードライバーとしての長年の経験を活かして自らスポーツカーを造る道を選んだ。エンジンを始めとする主要コンポーネントは既成車種から流用する形式を取り、初めはシンガー、トライアンフをベースとしたクルマを出した後、1952年(昭和27年)10月のロンドン・ショーに全く新しいスポーツカーをデビューさせた。オースチンA90アトランティックのエンジンおよび主要コンポーネントにピニンファリーナの美しいボディを載せた展示車のノーズには、ショー初日には単に「Healey」のバッチが付いていたのだが、あまりのショーでの人気ぶりを見たオースチン社の社長レオナード・P・ロードがヒーレーに正式業務提携を申し入れたことから2日目には「Austin-Healey」のバッチに付け替えられた。名車オースチン・ヒーレーの誕生である。

★1958年(昭和33年)にデビューした小型のオースチンヒーレー・スプライト(通称カニ目)に対して「ビッグ・ヒーレー」と呼ばれたオープンエア・スポーツは、1952年(昭和27年)のロンドンショー後に「オースチンヒーレー100」として発売され、1956年(昭和31年)9月に6気筒の「オースチンヒーレー100-6」、1959年(昭和34年)に3リッターエンジンに換装してからは「オースチンヒーレー3000MkⅠ」「同3000MkⅡ」「同3000MkⅢ」と進化・変遷し1967年(昭和42年)に生産を終えるまでの15年間に約7万3000台が生産された。初期の90psが最終型では150psとなり、アメリカの顧客の要望により2シーター以外に2+2が造られた。1950~1960年代の英国を代表するオープン・スポーツの1台であり、アメリカではMGには少々飽きてきたがジャガーにはちょっと手が届かないといった中間層を中心に爆発的に売れた。
ビッグヒーレーは最終のMKⅢではマキシマム200kmを超えるスーパースポーツとなったが、基本的にはオースチン・ベースの扱いやすく乗りやすい大トルクエンジンと古典的なロングノーズ・ショートデッキのスタイリッシュなボディがウリだった。

★ビートルズのメンバー達は売れるまでは格安中古ボロ車を使い世界的にブレイクしてからはアストンマーチンなどの最上級車種にいきなりグレードアップしたので(思想文化的な価値観から購入したミニは例外)、オースチンをベースとしたこのポピュラーで中間層的なスポーツカー「オースチン・ヒーレー」には一度も乗っていないかもしれない。ビートルズのブレイクは1961年(昭和36年)の革新的なジャガーEタイプのデビューよりも後のことなので、当時既に生産開始10年を越えていたビッグヒーレーに彼らが乗るようなことはなかったと考えるのが順当かもしれない。
しかし、ビッグヒーレーが生まれた1952年(昭和27年)と言うと、日本では戦前ダットサンベースのオープンスポーツDC-3が試験的に少数販売されトヨタを除く主要各社が西欧メーカーのライセンス生産で漸く乗用車を造り始めた時代であり、当時の日本と英国との自動車製造技術レベルの差には改めて驚くばかり。

【主要スペック】1958年 オースチン・ヒーレー100six 
全長4000㎜・全幅1524㎜・全高1250㎜・ホイールベース2329㎜・車重1090kg・FR・直列6気筒OHV2639cc・122ps/4750rpm・最大トルク18kgm/2400rpm・前コイル後リーフサス・変速機4速MT・乗車定員2(2+2)名・最高速178km・英国内新車価格817ポンド


●1955年? オースチン・ヒーレー100 簡易?カタログ(A4判・英文2つ折)
カタログNo.981。4気筒OHV2660cc90psエンジン。初期の扇型グリル。私のカタログ棚にはビッグヒーレーのカタログが7部ありますが、何れもカタログナンバーの印字のみで発行年月の印字がなく正確な発行年月は不明です。カタログナンバーは古い程若いので発行順に付されたものと思われ、既に英国のヒーレー専門家が発行年月の特定をしているかもしれません。なお、車名の100(ハンドレッド)とは、最高速100マイル(160km/h)の意味。
$ポルシェ356Aカレラ-55表紙
中頁から
初期はフロントスクリーンが可倒式。レーシーな雰囲気がそそります。
$ポルシェ356Aカレラ-55中(1)
$ポルシェ356Aカレラ-55中(2)


●1956年? オースチン・ヒーレー100 本カタログ(A4判・英文12頁)
カタログNo.1040/A。4気筒OHV2660cc90psエンジン。初期の扇型グリル。
$ポルシェ356Aカレラ-56表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-56中(1)
$ポルシェ356Aカレラ-56中(2)
$ポルシェ356Aカレラ-56中(3)


●1957年? オースチン・ヒーレー100six 本カタログ(A4判・英文8頁)
カタログNo.1334。6気筒OHV2639cc122psエンジン。フロントグリルは1955年のレース用限定車100Sと同様に楕円形となった。ボンネットにはエアスクープが付き、フロントスクリーンは固定式となった。
$ポルシェ356Aカレラ-57表紙
中頁から
スタンダードはディスクホイール
$ポルシェ356Aカレラ-57中(1)
デラックスはツートンボディにセンターロックのワイヤーホイール
$ポルシェ356Aカレラ-57中(2)


●1958年? オースチン・ヒーレー100six 簡易?カタログ(A4判・英文2つ折)
カタログNo.1405/C。6気筒OHV2639cc122psエンジン。ツートンカラーが美しい。
$ポルシェ356Aカレラ-58表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-58中頁
裏面スペック
$ポルシェ356Aカレラ-58中スペック


●1960年? オースチン・ヒーレー3000MKⅠ 本カタログ(A4判・英文8頁)
カタログNo.1734。6気筒OHV2912cc130psエンジン。フロント・ディスクブレーキを標準装備。外観上は100sixと変わらない。
$ポルシェ356Aカレラ-60表紙Ⅰ
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-60中(1)Ⅰ
$ポルシェ356Aカレラ-60中(2)Ⅰ


●1962年? オースチン・ヒーレー3000MKⅡ 本カタログ(A4判・英文8頁)
カタログNo.2035/A。6気筒OHV2912cc130psエンジン。三角窓と巻き上げ式のサイドウインドーが付き耐候性が飛躍的に向上したが、オリジナルのスパルタンな味わいは失われた。
$ポルシェ356Aカレラ-62表紙Ⅱ
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-62中頁


●1964年? オースチン・ヒーレー3000MKⅢ 本カタログ(A4判・英文8頁)
カタログNo.2035/I。カタログナンバーはMKⅡと同一だがスラッシュの後の文字が異なる。4桁番号は同じままスラッシュの後のローマ字はAからアルファベット順に付したものと思われる。6気筒OHV2912cc150psエンジン。外観上は左右ヘッドライト下にスモールライトとウインカーが2個ずつ付いた。この最終型では最高速200km(125マイル)に達した。
$ポルシェ356Aカレラ-64表紙Ⅲ
中頁から
MKⅡのカタログと基本的に同じままウインカーの付いたフロント部分とスペックが書き替えられている。
$ポルシェ356Aカレラ-64中(1)
150ps最高速200km/hとなったエンジン
$ポルシェ356Aカレラ-64中(2)エンジン



★オマケ(その1): 英コーギー 1/43スケール オースチン・ヒーレー100
初期の扇型グリルの100をモデルにしたビンテージミニカー。これはリペイントの上にウンンドスクリーンはリプロ。この位古いミニカーは傷だらけであってもオリジナルのままの方が風合いが良い気がする。
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー(1)
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー(2)
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー(3)


★オマケ(その2): 英スポットオン 1/43スケール オースチン・ヒーレー100six
これは残念ながらオリジナルではなく、近年のノレブによる復刻品
$ポルシェ356Aカレラ-スポットオン(1)
$ポルシェ356Aカレラ-スポットオン(2)
$ポルシェ356Aカレラ-スポットオン(3)


★オマケ(その3): 英コーギー 1/43スケール オースチン・ヒーレー3000MKⅠ
1989年発売の製品。
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー89(1)
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー89(2)
$ポルシェ356Aカレラ-コーギー89(3)


★オマケ(その4): 葡ビテス 1/43スケール オースチン・ヒーレー3000MKⅢ
1990年代発売の製品。ヘッドライト下にスモールとウインカーが2個ずつ付いた最終型。
$ポルシェ356Aカレラ-ビテス(1)
$ポルシェ356Aカレラ-ビテス(2)
$ポルシェ356Aカレラ-ビテス(3)


★オマケ(その5): 萬代屋(現バンダイ) 1/19スケール オースチン・ヒーレー100sixコンバーチブル
1960年4月頃発売の製品。当時定価:都内140円・地方最低売価150円。萬代屋品番705。
幌付きやゼッケン付のレーシング仕様も発売されている。
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(1)
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(2)
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(3)


★オマケ(その6): マルサン/レベル 1/25スケール オースチン・ヒーレー100six プラモデル
1960年代前半にマルサンとのダブルネームで売られたレベル製品。当時定価720円の高級品。舶来プラモデルは高級品だった。
$ポルシェ356Aカレラ-レベル・マルサンプラモ



★オマケ(その7): 1960年フランス映画「気晴らし」から (原題:LES DISTRACTIONS)
主役のジャン-ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo;1933年4月9日-)が扇形グリルのオースチン・ヒーレー100を乗り回します。他に写り込んいるクルマも何とも魅力的です。6:23位に私の好きなポルシェ356も登場。今年満80歳のベルモンドもこの映画では27歳。


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