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★1949年 日野トレーラーバス 終戦後の恐竜バス ~ 自動車カタログ棚から 368

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今日はクリスマスイヴですね♪今日の東京は夜遅くには雨が降り出すようですが、クリマスにはやはり雪が見たいですよね。イブは恋人さんとお手て繋いで街のイルミネーションを見てからホテルでディナー&お泊りなんていう人が世の中多いのでしょうか。恋人さんもなくイヴやクリスマスを一人で過ごすことを近頃は、「クリぼっち」(クリスマスと1人ぼっちの合成語)と言うそうです。ワタシはもう永いこと悲惨な「クリぼっち」でして、吉祥寺駅前の不二家でケーキを買ってきて一人で食べるなんていう例年のパターンになりそうです(爆悲)

12月9日に公開された西岸良平原作/山崎貴監督の映画「DESTINY鎌倉ものがたり」を例によって1人で観てきました(爆悲)
勿論、個人的に邦画で一番好きな1985年に公開された大林宣彦監督の「さびしんぼう」には敵いませんが、時空を駆け巡るところは似ています。「鎌倉は霊力に覆われ人間と魔物や妖怪が共存しており、鎌倉警察署には心霊課と呼ばれる部署もあって魔物がらみの事件にも対応している。」という設定も鎌倉らしくて不自然な感じがしません。主人公の愛車が父親から受け継いだ1958年メルセデスベンツ220SEクーペ、鎌倉警察署の2代目・3代目クラウンパトカーや130後期セドリックパトカーなどの旧車も登場します。130後期が登場するということは時代設定は1960年代末あたりなのでしょうか。銀座・天賞堂の紙袋を下げて家に帰ってきた主人公が新妻にダイキャスト製の機関車は何十万もするブラス(真鍮)製では考えられない程安いんだと話をするところは、ブラス全盛でダイキャスト製品は存在せず16番の機関車も2万円前後で買えた時代設定とはズレていますが、鉄道模型に熱中する主人公をみて「子供みたい」と引いてしまう新妻というのは現在でもありそうな話ではあります。本物の江ノ電やVFXの鉄道車輛も随所に出てきます。洋画に比べてCGのレベルが低いとか話の詰めが甘いといった意見もありますが、テンポがよくグイグイ引き込まれます。泣ける上に子供と一緒に家族でも楽しめるファンタジー作品に仕上がっています。個人的には死神役の安藤サクラさんが一番いい味出してると思いましたYO☆


閑話休題
さて今日は、1/43スケールの精巧なミニチュアなどと併せて終戦後に活躍した日野トレーラーバスのカタログをご紹介することとします。今回はカタログもオマケのミニチュアも大物揃いです☆☆
 





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★1942年(昭和17年)、ヂーゼル自動車工業株式会社(いすゞ自動車の前身)の日野製造所が独立して日野重工業株式会社となり軍用装軌車の生産を開始した。戦後、1946年(昭和21年)に軍需産業から民需産業へと転換し、日野産業株式会社に改称、幸いにも都下日野市の戦火を免れた生産設備を使用してセミトレーラートラック用トラクタT10型及びディーゼルエンジンの生産を開始した。
T10型トラクタに搭載されたエンジンは空冷DA54型10.85L115馬力で戦時中に一式装軌式兵員輸送車及び一式半装軌装甲兵車に搭載されていた統制型100式エンジン(国内の各メーカーでボア120㎜×ストローク160㎜に規格が統一されたエンジン)の一つであった。

★1947年(昭和22年): T11型/T11B型
最初のマイナーチェンジが行われ、セミトレーラートラックはT11型に進化すると共に同年8月に最初のトレーラーバスが誕生した。型式名はT11Bトラクタ(=Bはバスの意味)及び後輪2軸のT25トレーラーであった。このT11トレーラートラック用トラクタ及びT11Bトレーラーバス用トラクタでは、搭載エンジンが98式6トン牽引車に搭載されていた水冷6気筒DA54A型に変更された。

★1948年(昭和23年): T12型/T12B型
T12トレーラートラック用トラクタ及びT12Bトレーラーバス用トラクタにマイナーチェンジ。このMCは外観の変更を伴わないエンジンをメインとした小変更であった。同年12月1日付にて日野ヂーゼル工業株式会社に改称した。

★1949年(昭和24年): T13型/T13B型
T13トレーラートラック用トラクタ及びT13Bトレーラーバス用トラクタに最後のマイナーチェンジ。最後のMCはビッグマイナーと言えるもので、トラクタヘッドはT12/T12Bまでのホイールベース3700㎜が3450mmに250mmも短縮され市街地や狭隘路での取り回しを容易にし、外観もそれまでの無骨な角ばったフェンダーが丸味を帯びたスマートで近代的なものに変更された。またバスのトレーラーは従来の後輪2軸が1軸のT26型に変更された。それまで余裕をみて設計されたトレーラー後輪2軸は実用上1軸でも問題なしと検証されたための1軸化であった。エンジンも小変更を受けてDA55型に変更された。1951年(昭和26年)生産終了。

★日野の単車(TH型トラック及びBH型バス)のデビューは1950年(昭和25年)のことである。何故、日野は単車より先にセミトレーラーを製造したのか。それは終戦後の極度に車両が不足した状況の中で、1台で最大の荷物を積載し、1台で最大の乗客を乗せることを考えた結果であった。
同じ発想で造られたトレーラーバスは日野だけではなく、ほぼ同時期にダイヤモンドTのヘッドを使用した金剛トレーラーバスが東京都交通局や京成バスなどで運用された。セミトレーラーの旋回性能は優れていたとはいえ、14mに近い巨体は走る場所・路線を選ぶこととなり、大型バス(単車)の普及により、トレーラーバスは遅くまで運用が続いた地方都市であっても1960年代に入る頃までには絶滅したと思われる。


【主要スペック】 1949年日野トレーラーバスT13B/T26  (1949 Hino Trailer Bus Type.T13B/T26)
全長13850㎜・全幅2400㎜・全高3050㎜・ホイールベース3450㎜(トラクタ)/6000㎜(トレーラー)・車重11400kg(トラクタ4900kg/トレーラー6500kg)・DA55型水冷6気筒ディーゼル10850cc・最高出力115ps/1800rpm(標準馬力80ps/1200rpm)・左ハンドル・変速機5速フロアMT・乗車定員96名(座席41名・立席51名・その他4名)・電装系12V・燃料タンク容量120ℓ・ボディ製作:日國(京都)・最高速度52km/h(標準速度37km/h)


●1949年 日野ヂーゼル・トレーラーバス/トレーラートラック カタログ (A4判・日本語4つ折8面)
最終型T13トレーラートラック用トラクタ、T13Bトレーラーバス用トラクタのカタログ。このカタログの時点で単車TH/BHは未だデビューしておらず、日野の製品はトレーラー車だけであったため、日野ヂーゼルの沿革や工場設備の概要なども掲載された事実上の総合カタログ。トレーラーバスのトラクタヘッドに乗る女性が華を添えた魅力的な表紙。
49年(1)表紙

【中面から】
49年(2)中面

日野トレーラーの特徴
49年(3)日野トレーラーの特徴

DA55型エンジン、客室(ロマンスシート仕様)
49年(4)DA55型エンジンロマンス

図面
49年(5)図面

150人乗の印字
49年(6)150人乗り

回転図
49年(7)回転図その1

49年(8)回転図その2

トレーラートラックも掲載
49年(9)トレーラートラック

裏面: スペック
49年(10)裏スペック

トレーラーバス・スペック
49年(11)スペックアップ


●1949年日野トレーラーバスT13B/T26 公式写真
49年公式写真



●1947年 日野産業・トレーラーバス/トレーラートラック カタログ (B6判・日本語2つ折4面)
残念ながら、これは原本ではなく日野オートプラザで購入した復刻版。会社名が戦後2年強しか使用されなかった日野産業であることに注意。表紙には150人乗の文字、カタログ内面には最大250名位乗車可能の記載があるものの仕様欄には定員96名の印字。詰め込めば幾らでも乗れますという意味と推察。フェンダーが角ばり、トレーラー後輪が2軸のT11B(もしくはT12B)トラクタとT25トレーラー。「再建日本.唯一最大のトレーラーバス」「強力・経済・快適」のコピーが踊る。
47年(1)表紙

【本車の特徴】
1)1台当たりの乗車人員の大なること
乗車定員は96名、最大250名位乗車出来ますから現下交通難打開に最も理想的であります。また普通バスの4台分に当ります故、諸経費キロ当たり普通バスの2分の1で済みます。

2)燃料僅少なること
使用燃料は軽油重油等の低級燃料ですからガソリンに比して安価にして消費量は定員積載時1キロ当たり0.35リットルで普通バスと大差ありません。従って定員1名当たりの燃料費は3分の1以下で済み燃料の入手も容易であります。

3)実働日数の大なること
トレーラーバスの連結器は型式、年式の如何を問わず共通して居りますから牽引車(=トラクタ)を余分に有する事に依り故障の場合も牽引車を交換し運転する事が出来、普通バスの如く車体を休車させることなく実働日数は増大し経費の節約を計ることが出来ます。

4)部品の豊富なること
部品は厳重なる検査の下、多量に製作をなし豊富に貯蔵してあります。サービスには万全を期して居ります。

5)その他
ブレーキは空気制動式でありますので確実安全であります。なお回転半径直角道路の通過等はセミトレーラー型式の為、運転に当っては普通バスと大差ありません。

47年(2)中面

裏面: DA54型水冷式ヂーゼルエンジン
47年(3)裏DA54エンジン仕様写真


●1947年日野トレーラーバスT11B/T25 公式写真
47年公式写真



●1955年大井町駅前  五十嵐平達氏がカメラで捕えた東急の日野トレーラーバスT13B/T26
自動車史/自動車文化史研究の第一人者であった五十嵐平達氏は、巨大漢を見事一発で90度ターンさせて狭い路地に入れてしまうのは正に名人芸であった旨を記されている。狭い路地に日野のヘッドがぬっと顔を出した光景は正に恐竜を思わせ、魅力に溢れている。(ネコ・パブリッシング「カー・マガジン」№141・1990年8月号より)
大井町(1)

珍しいリアビューの写真。ストップランプ兼ウインカーが左右に1個ずつ確認できる。
大井町(2)珍しいリアビュー





★オマケ(その1): モデル・カーズ限定販売 1/43スケール 1949年日野トレーラーバスTB13/T26 東京都交通局
全長32cm・全幅6cm。レジン製。ネコ・パブリッシング笹本健次社長の幼少期の思い出として残るトレーラーバスを1997年(平成9年)にキット・完成品併せて200台の限定でモデル・カーズ誌上で販売したもの。キット:税別2万1000円、完成品:税別8万5000円。モデル・カーズ第33号(1997年4月号)に五十嵐平達先生も貴重な原稿を寄せたトレーラーバスの小特集が組まれ、特集の最後に1/43モデルの販売が告知された。注文先は横浜市青葉区のジャパンオートパーツサプライとなっている。画像は当時の完成品ではなく、キットで入手しておいたものをプロモデラー・北澤志朗氏に最近仕上げて戴いたもの。素組ではなく各部に手が加えられている。東京都交通局にはトラクター/トレーラー計22セットの日野トレーラーバスが納入された。アイボリーの1950年式ポルシェ356クーペはミニチャンプス製。この年式の356は三和自動車の正規輸入開始前のため、駐留米軍人が日本に持ち込んだという設定としましょう。
モデルカーズ(1)

モデルカーズ(2)

モデルカーズ(3)

矢印型方向指示器やバックライトは車両新製時には付かず後年付けられたもの。
モデルカーズ(4)リアビュー

トラクタの室内。見切りを良くするため日野トレーラーバスは左ハンドル。
モデルカーズ(5)左ハンドル

後部窓から見た客室室内。トラクタとの接合部は円形のシートとなり床が高くなっている。
モデルカーズ(6)客室室内

モデルカーズ(7)前俯瞰

モデルカーズ(8)俯瞰後ろ

モデル・カーズ1997年4月号に掲載された発売記事
モデルカーズ(9)1997年4月告知



★オマケ(その2): DDF(Diorama Display Factory) 1/87スケール 1949年日野トレーラーバスTB13/T26 東京都交通局
全長17cm・全幅2.8cm。プラスチック製。2001年発売。定価:税別15000円。京王、東急、川崎市営等の事業者違いのバリエーション有。日野がノックダウン生産したルノー4CVは仏ノレブ製。
16番(1)

16番(2)

16番(3)

オマケ1との並び
16番(4)オマケ1との並び



★オマケ(その3): 日野ヂーゼル特製 1/25? 日野トレーラーバスTB13/T26 東京都交通局
これは2011年に江戸東京博物館で開催された、「東京の交通100年博」(都営交通100周年記念特別展)に展示された模型。画像ではサイズは判らないと思いますが、全長50cm位ある巨大な木製模型です。台座に日野ヂーゼル工業株式会社の記入があることから、当時、日野ヂーゼルが実車納入時に東京都交通局に寄贈したものなのでしょうか?経年の割に保存状態は良好です。
木製特製品



★オマケ(その4): TAICOTOY 1/50スケール程度 アメ車ヘッド・トレーラーバス
全長26cm・全幅5cm。ブリキ製。箱に「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の印字。GHQ占領下の1947年~1952年までに製造販売されたオキュパイド・ジャパンのブリキ玩具。トレーラーバスのブリキ玩具は数種類確認されていますが、何れも稀少で滅多にアンテーィク玩具市場に現れません。これは1950年あたりのビュイックのような顔のヘッドに吹き付け塗装を施したトレーラーを付けた箱付未使用の珍品。
ブリキ(1)

ブリキ(2)

ブリキ(3)

オキュパイド・ジャパンの印字
ブリキ(4)オキュパイド印字



★オマケ(その5): 絵本の表紙を飾った日野トレーラーバス

1) 京都・東山書房「じどうしゃ」 (B5判・12頁)
1950年2月10日発行。絵:安井小彌太画伯。大阪ナンバーの角ばったフロントフェンダーにトレーラー後輪2軸の1947~48年日野トレーラーバスT11~T12/T25型に乗って遠足に行く物語。全編にトレーラーバスが主役として登場する絵本。
絵本(1)前期表紙

中頁: 高架を走るEF58旧型と大阪ナンバーのトレーラーバス
絵本(1)中味EF58旧型

2) 光洋社の保育絵本「乗物ずくし」 (B5判・12頁)
絵:梅本 洵画伯。発行年の印字なしながら、表紙絵のメインが1949年日野トレーラーバスT13/T26のため1950年代前半の発行と推定。トレーラーバスは表紙のみで残念ながら中の頁にはトレーラーバスは登場しない。
絵本(2)乗物ずくし



★オマケ(その6): 2017年映画「DESTINY鎌倉ものがたり」予告篇
2017年12月9日全国東宝系公開中。


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