★都内(≒日本国内)でブリキやソフビなどアンティークトイ(骨董玩具=古いオモチャ)を扱う専門店の草分けはどこかと言うと、南青山のM氏主宰の「ビリケン商會」と下北沢のU氏主宰の「懐かし屋」あたりとなるだろうか。
何れも1970年代半ばから後半にかけて店舗主宰の現在のオーナーが未だ20代後半だった頃のオープンで2017年現在で既に40年の時を経ている。御茶ノ水から聖橋を渡った先の湯島の坂の途中に「ハニポート」という店もあったが店主の他界により廃業して既に久しい。ビリケン商會はM氏と共に「こち亀」にも登場したことがあるが、その頃の昔ながらの買取り中心のアンティークトイショップの形態から脱却し現在ではオリジナルの怪獣製品や現代アート作家モノの方面にも事業を拡げ盛業であることはよく知られている。一方、下北沢は懐かし屋を皮切りに高田馬場の「ねずみ小僧」が下北沢に移転して店名変更した「ヒーローズ」、最近店舗営業を停止した「オムライス」、店主の他界により廃業した「2丁目3番地」など、かつての下北沢は謂わばアンティークトイ専門店のメッカの如くの様相を呈していた。
私自身、下北沢ではどの店でも1980年代から、かなりの数のアンティークトイ(但し殆どは自動車の旧い玩具)の買い物をした。ヤフオクのようなインターネット・オークションのなかった時代、こうしたアンティークトイ専門店やミニカー専門店、骨董市を廻る以外に旧い玩具は入手する術がなかったのだ。しかし、現代はネットオークションで家に居ながらにして逸品・珍品が入手できる時代になった影響でアンティークトイを店舗営業で売るメリットが薄くなりつつあるようだ。それでも尚、ブラっと入った店で捜していた想い出の品を見つけた時の喜びというのは格別なものがある。現在でも骨董ジャンボリーに代表される所謂骨董市やフリーマーケットで思わぬ掘り出し物に巡り合うといった機会は残されてはいるものの、自分の足で捜し回るよりもネットオークションで入手する方が手っ取り早いと考えているコレクターは多いことだろう。
★長年、下北沢で営業してきた「懐かし屋」が下北沢駅周辺の大規模な再開発の影響でこれまでの店舗での営業継続が不可能となり阿佐ヶ谷に移転したと聞き先日訪ねてみた。
下北沢時代の2階にあった店舗と同程度の広さの新店舗はJR阿佐ヶ谷駅から中杉通りを北に10分程歩いた中杉通り沿いの1Fにある。急な階段を登って息を切らして入る形だった下北沢時代の店舗よりもずっと入りやすく、周辺には大手チェーン店ではない普通の街の古本屋さんや骨董屋さんもあり、また1駅隣のJR高円寺の高架下にはK氏主宰のアンティークトイショップ「ゴジラや」もあるので、休日に纏めてブラブラ廻ってみるのも一興だろう。現在は営業時間が短く何れも午後6時閉店であることに注意されたい。夏場など暗くなるのが遅いので、時計も見ずにまだ明るいからと行ってみたら既に閉店していたということになるので要注意である。
【懐かし屋】阿佐ヶ谷新店舗
住所: 東京都杉並区阿佐ヶ谷北4-9-20-102
営業時間:午後1時~6時
定休日:火曜日
東京・新宿方面から中央線で来た場合、右手の北口に降りる。
北口を出るとすぐに関東バスのバスターミナルとイトーヨーカドーが見える。
私が子供の頃から変わらない関東バスのカラーリングにはそそられます♪
中央線と垂直に交わる中杉通りを北に歩くと、まず右手に世尊院正覚寺。
やがて歩道橋があり、左手にお地蔵さまとお墓が見える。
右手に阿佐ヶ谷神明宮。
左右に樹木が多くなり道は下り坂となる。
左手にホンダの看板。
出た!!「懐かし屋」の阿佐ヶ谷新店舗!
凝った木製の看板。
※店内は残念ながら撮影不可ですが、自動車・飛行機などのブリキ、怪獣系ソフビ、ミニカー、看板、果ては初期型のホンダモンキーの本物まで売り物として置いてあります。
★オマケ: 米澤玩具1/14スケール 1961年スバルサンバートラック (型式K151)
全長21.5cm、全幅9.5cm。ブリキ製。当時定価:全国190円。この米澤の初代サンバーは私が3才の頃に遊んだ思い出の玩具で、その子供の頃に持っていたモノは砂場で遊ぶなどして玩具としての使命を全うして消滅してしまったのだが、これに再会できたのは30年の時を経た1990年代前半の下北沢時代の「懐かし屋」に於いてであった。元箱がないにも係わらず国産大衆車の5年落ち位の中古が楽に買えそうなプライスに大いに悩みつつも、思い出はお金には換えられないと考え、腹をくくって購入。アンティークトイショップでは、どこの店でもよく店主から「お金は働けばまた稼げるけど、古い貴重な思い出のオモチャは売れてしまったらもう二度と手に入らないですよ」と言われたものだが、それが殺し文句となっていたとも言える。しかし、その後、この米澤の初代サンバーはズタボロのジャンクを含めても3台位しか見ておらず、オリジナルの「箱」に至ってはいまだに一度も見たことがなく幻である(もし箱付のこの米澤の初代サンバーをお持ちの方がおられましたら是非画像を拝見させてください)。
このサンバーは、先に発売されていた「くろがねベビー」の金型を改修した安直な製品ながら、リアルタイムに造られた初代サンバーの唯一の立体造形物として非常に貴重な存在である。ちなみに、最初に発売された「くろがねベビー」の方は幌付き・幌なしの2種があり、何れも時たま箱付ミントがヤフオクなどに現れるのだが、サンバーは元々の生産数が少なかったのか、個人的には箱付を一度も見ていないのである。
一緒に写っているのは大きさ比較用のトミーテック1/64スケールTLVの初代サンバーバン後期型。
室内: インパネ中央に桜にYの字の米澤マーク
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★甘辛人生劇場「懐かし屋」1960年代専門店 ~ 阿佐ヶ谷移転新店舗 ~ 米澤玩具スバルサンバー
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