★2015年7月30日に厚生労働省が発表したデータによれば現在の日本人の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳。小数点以下を四捨五入すれば男性81歳、女性87歳ということになります。1960年(昭和35年)のデータでは男性65歳、女性70歳だったそうですから、この半世紀余りで日本人は男性が16歳、女性は17歳も寿命が延びたことになります。昔も今も女性は男性より5~6年長寿です。
そんな中で川島なお美さんが54歳10カ月余りで亡くなったのは、まさに早すぎる死。現在の女性の平均寿命より、まだ33年早いことになります。なお美さんが最後の最後まで舞台に立つことを第一に考えていたのは、2014年5月にポール・マッカートニーが体調不良であってもギリギリまで日本公演を中止とはしなかったことともどこか似ています。なお美さんは舞台に立てない生活は選択肢にないという思いから、西洋医学での治療をあえて選択しなかったそうです。西洋医学の治療を受けていれば、あるいは少し長く生きられたのかもしれません。しかし、舞台に立てないまま抗がん剤治療による長い入院生活を送った末に逝くよりも幸せだったのかもしれないと思います。
彼女の好きだったワインのように熟成され磨き抜かれて、若い頃より何倍も魅力的なイイ女になって輝きを増していたのに残念と思うのは私だけではないでしょう。
★閑話休題
もうすぐ9月も終わり。今年も早いもので残り3ヵ月。近所の神社ではこの土日に秋祭りをしていて、露天も並んでとても賑やかです。今回は「自動車カタログ棚から」シリーズの第284回記事として1972年ロータス・ヨーロッパをピックアップします。ロータス・ヨーロッパは第95回記事で1968年型カタログをピックアップしていますが、今回はツインカムとなった最終型スペシャルです。
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★コーリン・チャップマン(1928年5月19日-1982年12月16日)が1952年(昭和27年)に設立したロータスというと、真っ先に1960年代のF1を席巻したブリテッシュグリーンに塗られたロータスを駆った天才ドライバー ジム・クラーク(1936年3月4日-1968年4月7日: 満32歳1ヵ月没)を思い出す。
私が初めてお小遣いで買った自動車雑誌はCG誌1968年(昭和43年)の6月号で小学3年生の1学期のこと。CGのその号はニッサンR381・トヨタ7・ポルシェ910等が出場した第5回日本グランプリ特集だったのだが、ジム・クラーク事故死の記事が巻末のニュース欄の片隅にひっそりと載った号でもあった。
★少年ジャンプ連載の漫画「サーキットの狼」がきっかけとなり日本中を巻き込んだ1970年代後半のスーパーカー・ブームは正にファッド(fad)な一過性のものではあったけれど、クルマ趣味から少々距離を置き日本型HOゲージの鉄道模型に熱中する高校生だった私自身も含めて、大勢の日本人に自動車、特にスポーツカーに目を向けさせた功績は評価されるべきだと思う。テレビ、新聞、雑誌でスーパーカーが頻繁に取り上げられ、玩具店には夥しい種類のスーパーカーのミニカーやプラモデルが並んだことで、高校生の私はすっかり子供の頃の自動車熱が復活してしまった。スーパーカーブーム、そしてサーキットの狼というと、忘れられない1台は間違いなく主人公 風吹裕矢のロータス ヨーロッパであろう。裕矢のヨーロッパは最終型スペシャルがベース車両だった。
★ロータス・ヨーロッパは1966年(昭和41年)12月、英国以外の欧州市場向け左ハンドル車としてデビューした。
軽量小型で廉価な入門用ミッドシップ・スポーツとしてデビューしたヨーロッパがスーパーカーの範疇に入るか否かについては議論が分かれるけれど、フォード出身のデザイナー ジョン・フレイリングによる低く地を這うようなボディには非常にインパクトがありF1コンストラクターが造った先進的なスポーツカーという意味ではスーパーカーの資格は十分あると言えるだろう。FRPの超軽量ボディにルノー16用の4気筒OHV1471cc・78psエンジンが載せられたヨーロッパは、ミッドシップレイアウトによる低重心により、ロータスF1譲りの非常に優れたハンドリングを持つスポーツカーとして生まれた。
タイプ46の名でデビューした初めのヨーロッパ「S1」は欧州大陸向けに左ハンドルのみが生産され、1968年(昭和43年)にはめ殺しだった窓を開閉式にするなど実用性を高めたヨーロッパ「S2」となってから英本国向けの右ハンドル車も生産された。1971年(昭和46年)10月にはロータス自製ツインカムエンジンを搭載した「ツインカム」が登場し、翌1972年(昭和47年)9月には更にパワーアップしたビッグバルブ・ツインカム1588cc126psが搭載された「ヨーロッパ・スペシャル」に進化した。1975年(昭和50年)に生産を終了するまでヨーロッパは合計9230台が生産された。
【主要スペック】 1972年ロータス ヨーロッパ スペシャル (1972 Lotus Europa Special)
全長3980㎜・全幅1635㎜・全高1079㎜・ホイールベース2340㎜・車重664kg・ミッドシップ直列4気筒1588cc DOHCエンジン・最高出力126PS/6500rpm・最大トルク15.6kg/5500rpm・変速機5速MT・乗車定員2名・ゼロヨン14.9秒・最高時速210km/h・ロータス正規輸入代理店アトランテック商事日本国内販売価格365万円
●サーキットの狼 コミックス第1巻
池沢さとし作・1976年1月31日初版・集英社発行・巻末有名人コメントコーナー:生沢 徹氏(1942年生まれ)。40年前、白ボディに赤いラインのロータス・ヨーロッパに憧れた少年は多かったはず。このコミックスは当時入手して処分しないで手元に残っていたものです。
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●サーキットの狼 コミックス第2巻
池沢さとし作・1976年3月31日初版・集英社発行・巻末有名人コメントコーナー:木之内みどりさん(1957年生まれ)。表紙には、登録ナンバー「練馬56そ740」のヨーロッパの実車。
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●1972年 ロータス ヨーロッパ スペシャル カタログ (B5判・英文4つ折8面)
ロータス72でF1チャンピオンとなった年にデビューした最終型スペシャルのカタログ。簡素な折カタログだが、ホチキス留めされた頁物の本カタログは発行されていない模様。ツインカム以降のヨーロッパは北米の安全基準をクリアすべく斜め後方視野改善のためルーフからリアにかけて真っ直ぐ伸びていた特徴的なボディラインが低められて段付となった。
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【中面から】
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「ユニークなスタイルを持ち世界中で認められているロータス・ヨーロッパ・スペシャルは、現在世界で一番有名なミッド・エンジン・カーです。ヨーロッパ・スペシャルのレースで培われたパフォーマンスと美しいルックスの組み合わせに匹敵するクルマは世界中を見渡しても殆どありません。ヨーロッパ・スペシャルのロード・ホールディングは、現在販売されている、如何なる価格帯のクルマと比べても最高だと専門家から喝采を浴びています。ミッド・エンジン・レイアウトや十分なサイズのホイールとタイヤ、そして優れた設計のサスペンションは、卓越したコントロール性と非常に高いコーナリング性能を生み出しいます。ステアリングは軽くハイギヤードで程よいフィーリングを持っています。新たにフロント・スポイラーが装着されたことにより高速での直進安定性が向上しています。
エンジンは冷却時であっても即座に始動します。但し、十分に暖まっていない状態では低回転時のトルクが不足します。ひとたび暖まればアイドリングは600~700rpmで安定します。
僅か664kgの車重と126psという出力によって、静止状態から60mph(96.56km)まで6.6秒という素晴らしい加速が得られます。新型ギヤボックスを搭載したことによりクルージング性能が大幅に向上しています。5速70mph(約112km)でのエンジン回転数は僅か3400rpm、100mph(約160km)でも4900rpmですから、欧州大陸を終日100mphで走行することも可能です。10.3対1という高い圧縮比ながらもスペシャルは通常のガソリンで快調に走行します。1ガロン24.2マイルという燃費は簡単に達成出来ますし、ツイン燃料タンクの容量があれば1ガロン30マイルまで伸ばすことも可能です。
ヨーロッパ・スペシャルのロード・ホールディングは非常に高いレベルにあり、ワインディングロードでは他車の追従を許しません。コーナーに突起部があってもコーナリングラインを外すことはなく、横風によっても影響を受けません。
グリップの限界付近でヨーロッパはパワーオンの状態でアンダーステアを示します。つまり大回りしようとし始めたり予想外にコーナーがきつい場合、スロットルを緩めるとノーズはタックインし、コーナリングラインは小さくなります。これは徐々にドライバーの予想通りに起こりますので、ドライバーに必要な動作は舵角を少し小さくすることだけです。また、後輪を滑らせて安定したオポジット・ロック・スライドを保つパワーがありますので、より派手なスタイルでコーナリングすることも可能です。
スペシャルのリア・ブレーキ・ドラムは1.25インチから1.5インチに拡大されたため、ブレーキング性能はパフォーマンスに合わせて向上しています。
ドアは非常に大きく開きますので、非常に車体が低いヨーロッパに乗り込むことは想像するほど難しくはありません。
スペシャルは小さくコンパクトに見えますが全長と全幅はポルシェ914と殆ど同じです。
ラゲッジスペースには4.8キュービック・フィートの容量があり荷物を搭載することが可能です。リバーシングライト(バックライト)も標準装備です。
スペシャルのインテリアは、トリムが効果的にエクステリアとのコントラストを描き高品質なムードを醸し出しています。ニスの塗られた洗練されたウッドパネルはスポーツカーとして必要十分な各種計器類が配置されています。
ヒーターの温度調節は室内中央のアームレスト前端にあるノブにより行います。
どこをとってもヨーロッパ・スペシャルはユニークかつ他の如何なるクルマよりも優れたパフォーマンスとハンドリングを備えた、真のドライバーのためのクルマです。」
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「ロータスとあなたの安全・・・・・ここ数年、自動車の安全面に対する関心が高まりつつあります。長い間、各メーカーが独自に設定した基準により運用されてきましたが、クルマが引き起こす環境問題と衝突時の乗員保護に対する意識が高まりつつあります。アメリカ政府が1966年にNational Trafficand Motor Vehicle Safety Actを導入して以降、この問題は大きくクローズアップされることとなりました。以後、規制が改正され新たな規制が為され、この規制はアメリカのみならず各国へと広がり欧州でも新たな安全基準が設けられることになったのです。ロータスはこの基準を満たすチャレンジをしており、ロータス伝統の高いパフォーマンスとハンドリング性能を維持したまま規制をクリアすべく多大な努力をしています。カタログに掲載してある写真をご覧いただければ、ロータスを硬い壁に衝突させた際のダメージの範囲がお判り頂けるでしょう。衝突してもパッセンジャー・コンパートメントが完全な状態を保ち、可能な限り乗員を保護することがお判り頂けると思います。」
クラッシュ・テスト
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「自動車産業におけるグラス・ファイバーの進歩・・・・・グラス・ファイバー・レインコースト・プラスチック(GFRP)は、過去20年以上に亘り乗用車、スポーツカーのボディ素材にもならず、モーターボートやトラックキャブ、小型移動式建造物など様々な用途に使用されています。現在では多くの方がGFRPは壊れにくく錆の心配がないことを知っています。以前、自動車ボディのGFRPは従来の金属製ボディに比べて品質的に劣り完全さに欠けると思われがちで、工作機械の導入費用が安く少量生産車向きで安っぽいというイメージを与えてもいました。
これまでロータスは常に乗用車用GFRP開発の最前線にいましたが、航空機産業の製作方法と技術を学ぶと共に独自の技術開発を進めることにより、GFRPは乗用車ボディの素材として最早金属の代用品ではなく、より優れたものとなったのです。GFRPボディは金属に比べ軽量かつ頑丈で錆びることもなく寿命も半永久的で更に表面の仕上がりも美しいのです。釣竿や棒高跳びのポールなどに使用されたGFRPの丈夫さ弾力性は多くの人が認めるところでしょう。それと同じクォリティをもってすれば、衝突時に乗員を保護する能力も高いものとなります。現在世界各国で法律によって求められている様々な規制テストに、ロータスはベストまたはベストに近い成績を残しています。従って、その卓越したステアリング・レスポンスやロード・ホールディング、高いブレーキング性能という特長をもつロータスはそもそも他車に比べてアクシデントに巻き込まれにくいのですが、もし貰い事故で他人のアクシデントに巻き込まれた場合でもGFRPボディなら通常の金属ボディよりも乗員は生き残る可能性がより高くなるのです。大きなアクシデントに巻き込まれた場合には、GFRPは粉砕しエネルギーを高効率で吸収しますので、事故後はダメージを受けた部分を切り取り、ロータスの技術で元通りに接着し耐久性も含めて完全なオリジナル状態へ修復することが容易なのです。」
中面はコラージュ写真
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左端に510ブルーバードが見える。
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観覧車をバックに
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裏面: スペック
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図面アップ
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●1972年? ロータス ヨーロッパ スペシャル 簡易カタログ? (B5判・英文1.5折3面分)
英国内のロータス各ディーラーの一覧が掲載されているだけでスペックの掲載がないので厳密にはカタログとも言えない謎の印刷物。
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【中面から】
スペシャルのイメージカラーはJPS仕様も含めて何といっても黒
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スペックの記載はなく英国内ディーラーの一覧が記載されている。
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★オマケ(その1): 伊MEBETOYS A39番 1/43スケール 1967年ロータス ヨーロッパS1
全長9cm。ダイキャスト製。国内当時定価:調査中。1960年代メーベ黄金期の魅力的な1台。フル開閉アクション付。ボディカラーは他にゴールドなど。
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★オマケ(その2): 英DINKY TOYS 218番 1/43スケール 1967年ロータス ヨーロッパS1
全長9.5cm。ダイキャスト製。国内当時定価:調査中。これは第95回記事のオマケにも載せたモデルの撮り直し。ディンキーのヨーロッパは個体によってナンバープレートのシールが異なる。白ボディは京商製1/43風吹裕矢仕様のスペシャル。
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★オマケ(その3): トミカF49-1番&プレミアムトミカ05番 1/59スケール ロータス ヨーロッパ
全長6.5cm。F49-1は1977年12月、プレミアムは2015年4月発売の現行品。スケールは同じながら金型は全く異なる。F49-1は当時定価240円。プレミアムは800円(税抜)。トミカのロータスヨーロッパは、まずF25-1として1977年7月にノーマル仕様が市場に出たあと、5か月後に同一金型流用でF49-1のJPS仕様が出た。ヨーロッパのJPS仕様はグリップテクニカやダイヤペット、トミカダンディ、国内向け黒箱マッチボックスでも発売されています。
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トミカF49-1 JPSロータス ヨーロッパ
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トミカプレミアムのヨーロッパ スペシャル
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★1972年 ロータスヨーロッパスペシャル風吹裕矢サーキットの狼 ~ 自動車カタログ棚から284
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