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★1966年 ホンダS800 エスハチ 60年代最後のエス ~ 自動車カタログ棚から 283

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今日は昼と夜の長さが同じとなる秋分の日。祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶことを趣旨とし、秋分の前後各3日ずつ計1週間は彼岸と呼ばれます。みなさんはお墓参りに行かれましたでしょうか。東京でも暑さ寒さも彼岸までの言葉通りにだいぶ過ごしやすくなりました。

アメリカで発覚したVWがディーゼル車の排ガス規制を不正にクリア していた問題は世界で1100万台に影響するそうで既にVWの株価が急落するなどしています。日本では問題のディーゼル車は販売されていないので直接の影響はないようですが、もしVWの経営に大きく影響するとなるとポルシェなどVW傘下のメーカーにも何らかの影響が出る恐れがありそうです。



閑話休題
今日はシルバーウイーク第3弾「自動車カタログ棚から」シリーズの第283回記事として1960年代の国産名車ホンダS800をピックアップします。時間の余裕があってアップ出来る時には出来るだけアップしておこうと思います。人間、明日命を落とさないとも限りませんので、出来ることは先延ばしにせずやっておこうと思います。
1960年代のホンダスポーツについては、2012年8月にS500の記事、2013年10月にS600の記事をアップしているのですが、今回のS800まで2年も時間が開いてしまったのは、実は記事のオマケにプレイアートのホンダS800のミニカーを掲載しようと思って捜していたためでした。プレイアートのS800は1970年代後半から1980年代初めにかけて7色位?を苦労して集めた私の想い出のミニカーだったのです。しかし、「あちらのこちら」とマジック書きした外国製の日本車のミニカーばかりを入れたダンボール箱には見当たらず、どうも倉庫の奥底か、あるいは大切にし過ぎて全く思いもよらない別の場所に仕舞ってしまったようで現在のところ見つかりません。そこで発想を変えて、記事を先にアップし、プレイアートのS800は何れ見つかった時に本記事のオマケに追加したいと思います。
 



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★1965年(昭和40年)10月29日~11月11日に晴海で開催された第12回東京モーターショーで60年代最後のエス、ホンダS800がベールを脱いだ(発売は同12月1日)。
S800は、1963年(昭和38年)10月発売のS500、1964年(昭和39年)3月発売のS600と同じシャシーによりパワフルなAS800E型791cc70psエンジンを搭載して登場した。800ccエンジンへの変更は、1965年4月に発売された新たなライバル・トヨタスポーツ800(ヨタハチ)への対抗上という見方も出来たが、ツインカムのS600は元々ヨタハチよりも高い57psという出力を得ていたので、エンジンのパワーアップの本当の目的は絶対的なエンジン排気量が小さ過ぎるが故に思うように輸出が伸びなかった状況を変え、国内のモータースポーツファンを中心とするエスの更なるパワーアップを望む声にも応え、世界で十二分に通用するスポーツカー/100マイルカー(最高速度160キロ)に格上げすることにあった。

★S800のスペック中、ホイールベース、全幅、全高はS600と同一だったが、全長はパンパーの小変更により35㎜伸びて3335㎜となった。外観上のS600との識別点は、黒塗装の上に十字形のメッキバーを配し長円形のウインカーを埋め込んだフロントグリル、丸型からバックアップランプを組み込んだ長楕円形に変更されたテールライト、ボンネット右側に盛り上げられたパワーバルジ(ダミー)、フロントフェンダーに付いたホンダの「H」バッチが主なものである。
エンジンはS500、S600と基本設計は同じ水冷直列4気筒DOHCながら、791ccに拡大し京浜気化器製可変ベンチュリー4キャブレター装着により70psという当時の同クラスとしては驚異的な高出力を発すると共にフレキシビリティーも高められ実用性が向上した。4速ミッションは初めてフルシンクロ化され、これも実用性が大きく向上した。その他、燃料タンク容量はS600の25Lから35Lへと10L増やされた。
S600と同様の特異なチェーン・ドライブでデビューしたS800であったが、1966年(昭和41年)3月生産車より一般的な固定軸(シャフト・ドライブ)に変更された。メインテナンスの容易化とコストダウンを図ったもので、従来のチェーン駆動に伴う騒音が消えたもののエス独特の味わいは薄められた。この際、スペアタイヤがトランクルーム下の吊り下げ式に変更された。これはデフが後方へ移動したためデフの上下運動を逃がす突起がトランク内部に発生したことでガソリンタンクがリア側に下がりスペアを置くスペースがなくなったためである。ガソリンタンクの後退に伴いトランクスペースも縮小し、それまでの奥行60cmが約52cmへと約8cm狭まった。

★1968年(昭和43年)5月1日、フロントおよびリアに北米安全基準に則した大きく無骨な角型のサイドマーカーを付けられ、フロント・ディスクブレーキや145SR13ラジアルタイヤを標準装備したS800Mに進化した。
この時、国内向けのクーペボディは生産を中止した。これが60年代のエス最後のモデルとなり、1970年(昭和45年)7月に生産を中止するまでS800は計11406台が生産された(S500とS600を含むエスシリーズ合計では25853台)。なお、S800は主に1960年代の国内モータースポーツ・シーンにおいても広く活躍した。


【主要スペック】 1966年前期 ホンダS800・S800クーペ (1966 Honda S800&S800 coupé)
※括弧内はクーペの数値
全長3335㎜・全幅1400㎜・全高1200㎜(1195㎜)・ホイールベース2000㎜・車両重量720kg(735kg)・FRチェーンドライブ・AS800E型水冷4サイクル4気筒DOHC4キャブレター791cc・最高出力70ps/8000rpm・最大トルク6,7kgm/6000rpm・変速機4速MTフルシンクロ・四輪独立懸架・乗車定員2名・燃料タンク容量35L(30L)・平坦舗装路燃費18km/L・最高速度160km/h・ゼロヨン16.9秒・全国統一販売価格65万8000円(69万4000円):ヒーター、ラジオ、ライター等はオプションにて別途販売、当初からオプションを装備した車両は「ホンダS800SM」の名称で5万円高にて販売



※ホンダS500については本シリーズ第43回記事、ホンダS600については本シリーズ第185回記事をご参照ください。



●1967年 長野県・白樺湖 池の平ファミリーランドのホンダS800遊具
1967年8月撮影。レールに誘導されて動く幼児用遊具だが、鈴鹿、朝霞、多摩テック等のホンダ系遊園地で見られたゴーカート「S50」とは明らかに車体が異なり、フロントグリルは十字型のS800となっている。運転席にいるのは7歳の私。このエスハチ遊具はもう現存していないだろう。
白樺湖



●1965年 第12回東京モーターショーのホンダS800とS800クーペ
CARグラフィック誌1965年12月号より。65年の東京モーターショーでは、ホンダS800以外にトヨタ2000GT、2代目セドリック130型、初代プレジデント、初代ファミリアクーペ、スバル1000、市販型初代ルーチェ、三菱コルト800等と大量のニューモデルがデビューした。S800のオープンモデルの横には日本人コンパニオン、S800クーペの車内には外国人コンパニオンが見えるが、既に半世紀を経ているので当時20代としても2015年現在は70代となられているだろう。
モーターショー(1)

S800クーペ
モーターショー(2)クーペ



●ホンダS800 雑誌広告(その1)
CARグラフィック誌1966年11月号より。エンジンフード右上に盛り上がったパワーバルジを強調した広告。
広告(1)バルジ


●ホンダS800 雑誌広告(その2)
CARグラフィック誌1966年12月号より。フロントウインド枠上に付けられた整流板によりスピードが10%アップすると説明された広告。
広告(2)整流板



●1965年12月 ホンダS800 カタログ (縦25.5×横26.5cm・2つ折4面)
後輪がチェーン駆動の初期型のカタログ。S800のカタログは何れも、従来同様、バイク屋のノリで作られたと思われる簡素なものばかりで、ホチキス留めされた頁物は発行されていない。通常は横13cm程度のところで折って4つ折の状態で配布されたようだ。標準ボディカラーは、S800(オープン)がスカーレット(赤)とゴールデンイエロー(黄)の2色、クーペはスカーレット(赤)しか選べずシート等の内装色は全て黒のみ。
65(1)表紙

【中面から】
表紙・裏表紙が1枚の写真
65(2)表裏

ボディカラー
65(3)ボディカラー

フロントビュー
65(4)フロントビュー

リアエンド・・・初期型S800はスペアがリア外部に吊り下がらずトランク内に収納
65(5)リアエンド

DOHCエンジン
65(6)エンジン

4速フルシンクロとなり操作しやすくなった運転席
65(7)運転席4速

前後サスペンション・・・まだチェーンドライブのリア
65(8)サス・チェーンドライブ

幌・・・S800になってリアクォーターに窓が開き、幌を上げた際の斜め後方視界が向上した。
65(9)幌窓入り

65(10)流し撮り

70馬力、0-400m16.9秒、最高速度160km/hをアピール
65(11)70ps他

スペック
65(12)スペック



●1966年3月 ホンダS800 カタログ (縦25.5×横26.5cm・2つ折4面)
チェーンドライブから後輪が固定軸に変更となり表紙に「ライブアクスル型」と表記されたカタログ。全国統一販売価格は65万3000円(クーペ68万9000円)に5000円値下げされた。
66(1)表紙

【中面から】
フロントビュー、DOHCエンジン
66(2)フロントビュー・エンジン

幌、リアエンド
66(3)幌リアエンド

20cm前後にスライドするシート
66(4)シート20cmスライド

前後サスペンション・・・後輪は固定に変更
66(5)サスリア固定

スペック
66(6)スペック

オプションパーツリスト、価格
66(7)オプション及び価格

スペアタイヤをトランクルーム下の吊り下げ式に変更。パンク修理の際のタイヤ交換作業は従来のトランク積載型より体力を使い大変になった(CARグラフィック誌1966年10月号より)。
66(8)CG誌スペア下



●1968年5月 ホンダS800M カタログ (縦25.5×横26cm・3つ折6面)
ボディの四隅に無骨なマーカーランプが付き、ディスクブレーキやラジアルタイヤ、ヒーター、2点式シートベルト等が標準となった最終型S800M。ボディカラーはそれまでの赤、黄に加え白(アイボリーホワイト)が加わり3色となった。販売価格は全国統一販売価格が埼玉狭山工場渡し現金価格となり、75万円と初期型より約10万円上げられた。
68(1)表紙

【中面から】
68(2)上から

ダッシュボード・・・スピードメーターは200km/hスケール
68(3)ダッシュボード200km

標準装備されたディスクブレーキとラジアルタイヤの解説
68(4)ディスクブレーキタイヤ解説

ディスクブレーキ、大きなフロントサイドマーカーとラジアルタイヤ
68(5)ディスクブレーキ・前写真

整流板など「アイデアもいっぱい」
68(6)アイデア一杯

ドア内側
68(7)ドア内側

リアエンド角にも大きなサイドマーカーを追加
68(8)リア周り

DOHCエンジン
68(9)エンジン

図面
68(10)図面

スペック
68(11)スペック

赤白黄3色のボディーカラーと75万円の価格
68(12)カラー価格



●1967年? ホンダS800 英国向けカタログ (縦20.5×横15cm・英文モノクロ印刷2つ折4面)
英文(1)表紙

中面: 海外で時計のように精密で正確と評されたエンジン
英文(2)中面





★オマケ(その1): アサヒ玩具 モデルペット34番/35番 1/40スケール ホンダS800/S800クーペ
全長8cm。1967年1月発売。当時定価400円。アンチモニー製。
モデルペット(1)

モデルペット(2)後ろ

何故か箱絵は丸テールのS600
モデルペット(3)オープン600

クーペも箱絵は丸テールのS600
モデルペット(4)クーペ600



★オマケ(その2): 米澤玩具 ダイヤペット169番 1/40スケール ホンダS800
全長8cm。1968年9月発売。当時定価500円。アンチモニー製。品番181として1969年6月にドア開閉アクションをオミットしたモデルも販売されています。181番の末期には四隅にマーカーランプを付けたS800Mも発売?
ダイヤペット(1)

ダイヤペット(2)

ダイヤペット(3)



★オマケ(その3): 仏ディンキー 1408番 1/43スケール ホンダS800クーペ(左ハンドル)
全長7.5cm。当時国内定価:調査中。ダイキャスト製。当時の日本製ミニカーよりも格段に良い出来ながら、フロントのホンダの「H」マークが天地逆に彫られたミスで有名になったモデル。
ディンキー(1)

ディンキー(2)

ディンキー(3)



★オマケ(その4): トミカ23-2番 1/51スケール 1968年ホンダS800M
全長6.5cm。1980年7月発売。当時定価280円~320円。ダイキャスト製。実車の生産終了から10年を経て往年の名車としてリリースされたミニカー。ミニカーショップ・イケダやガレージ・スズキ等の特注品を含めてバリエーションは膨大です。画像は1980年代半ばの河口湖自動車博物館とイケダの特注品。小スケール3インチミニカーのS800としては香港プレイアートもオープンモデルを夥しいカラーバリエーションでリリースしています。
トミカ(1)

岐阜県警仕様 (イケダ特注品)・・・S800パトが実在したのでしょうか。
トミカ(2)岐阜県警

オープン仕様(イケダ特注品)
トミカ(3)オープン仕様

トミカ(4)リアビュー



★オマケ(その5): ツクダヤ 幻のホンダS600「ケロヨン」 WANTED!!
これはS800ではなく、ツクダヤが発売したプラ製1/18スケール程度のホンダS600です。東京玩具商報の広告によれば、白と赤の2色がリリースされています。この写真は1967年12月に当時小2の私が持っていたプラモデルを中心並べて撮った写真です。残念ながらピントがイマイチ合っていませんが、マルサンのウルトラマン「ジェットビートル」、今井科学の「マッハ号」が見えます。右手前に白ボディのケロヨンが乗車したホンダS600オープンが確認出来ます。このモデル、実は過去30年以上も取り戻したくて捜していますが、文字通り影も形も見当たりません。バンダイのブリキのホンダS500はマグマ大使仕様やイヤミ仕様を含めてこれまでにかなりの台数を見ていますが、このケロヨンが乗ったエスロクはジャンクでさえ一度も見たことがないのです。東北在住のホンダエスのモデルカー・コレクションのエキスパートに訊いても、ケロヨングッズ・コレクションのエキスパートに訊いても、これは一度も見たことがないと言われます。「形あるモノはいつか壊れる」とは言いますが、1960年代のモノが既に現存ゼロとなっているとは、なかなか考えにくいのです。東京玩具商報に広告が掲載され、子供の頃に私が持っていた位ですから、恐らく全国の玩具店で売られたモノと想像しますが、あるいは、全く見ないことからすると1ロット等の少量生産で販売が終了し、たまたまタイミングよく私が当時入手したということなのでしょうか。
どんなにズタボロのジャンクでも構いませんので、このケロヨン乗車プラ製ホンダS600をお持ちの方、何らかの情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご一報ください。 
ツクダヤ(1)当時写真

東京玩具商報1967年9月15日号 ツクダヤ広告 (国立国会図書館蔵書より)
ツクダヤ(2)商報1

S600部分アップ
ツクダヤ(3)商報2


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