★私の身内(祖母の兄弟)に俵 静夫(1905年~1992年)という憲法学者がいた。私が30代初めだった1992年(平成4年)に亡くなるまで、何度となく法事など親戚の会合で顔を合わせた。何と俵の叔父さんは戦後未だ占領下にあった1947年(昭和22年)5月3日に施行された日本国憲法の草稿作成に関わった当事者でもあった。
叔父さんは、「今の日本の憲法はけっしてGHQのお仕着せなどではなく、同じ過ちを繰り返さず、いつまでも日本が平和な国であるようにと真剣に願い、考え抜いて作ったもの」と言っていた。
2013年末に定められ世界中から批判の声の上がった特定秘密保護法の時もそうだったが、今度の安全保障関連法でも、またしても平和憲法無視の危うさやキナ臭さを感じる向きは多いことだろう。東條英機内閣が真珠湾攻撃に始まる太平洋戦争の開戦について閣議決定した際の閣僚であったことから、戦後、A級戦犯被疑者として巣鴨プリズンに収監された岸 信介氏(1896~1987)の孫である安倍晋三氏(1954年~)は、その甘いマスクとは裏腹に元々自民党でも有名な鷹派であったが、その目的、思惑は大国アメリカと手を組んで好戦的で強い国「日本」をつくることと莫大な富をもたらす軍需産業の伸長にあるとみるのが妥当な線だろう。今後、命を落とす可能性のある自衛隊では人が足りなくなり、どんなに貧乏で仕事がなくとも自衛隊にだけは入りたくないという人が増えれば、やがては徴兵制ということにもなろう。米ロの対立という構図の現在のシリア情勢から推して、第三次世界大戦の勃発、日本の参戦という魔のシナリオを既に描いている向きもいるのかもしれない。
★閑話休題
東京で最高気温が20度を切った一昨日9月17日(木)から少し喉に違和感が出て昨日からは鼻水も止まらなくなり、節々も痛むので、どうも風邪をひいてしまったようです。普段の平均4時間台という睡眠不足も祟ってか気候の変化に追いつけなかったのかも。明日はバンドの練習日で休む訳にはいかないので、今夜は記事をアップしたらすぐ寝ます。1980年代、20代の頃に横浜港の氷川丸の船内でライブをした時に38度台の熱を出して真っ赤な顔をしたまま東京からギターを担いで駆けつけ何とか最後までライブを乗り切った時のことを思い出します。
今回は自動車カタログ棚シリーズの第281回として戦後の三菱ふそうボンネット・トラックをピックアップします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★1945年(昭和20年)8月15日に終戦となった後、爆撃により廃虚と化した国内の都市を復興するためには交通・運輸の再生が不可欠と判断したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は民需用トラック・バスに限り生産を早期に許可した。
終戦後僅か1ヵ月余の1945年9月25日のことである。その許可にいち早く応えたのが三菱ふそうであった。1946年(昭和21年)7月には戦前のYB40型トラックをベースとしたKT1型4トン積みトラックを、同年11月にはB1型ボンネット・バスを生産開始した。
★三菱ふそうB1型バスは、戦時中、鉄道省や満鉄、台湾総督府に納入して定評のあった大型バスB46型をベースとして、120psGA型ガソリンエンジンを搭載した大型ボンネットバスであった。同シャシーを使用したB1型トラックも平行して生産された。
しかし、ガソリンの供給不足という当時の燃料事情によりディーゼルエンジンの開発が急ピッチで進められ、戦前の商工省統制型エンジン三菱Y6100D型をベースに1948年(昭和23年)にDB0型ディーゼルエンジンが完成。このDB0型エンジンは6気筒水冷直列4サイクル予燃焼室式で大型バスB1型および同シャシーを利用したトラックT1型に搭載された。このDB系エンジンは次世代エンジンにバトンを渡す1966年(昭和41年)まで20年近くに亘り三菱の大型車に搭載され、産業用のエンジンとしては1987年(昭和62年)まで約40年という長寿を誇り、戦後の三菱を代表するエンジンの一つとなった。
★1950年(昭和25年) にはエンジン搭載位置を前進させフロントオーバーハングを延長したB2型ボンネットバスおよびT2型トラックにモデルチェンジした。ここまでの三菱ふそうの大型車はバス・トラックが同一シャシーに架装されたものである。
1951年(昭和26年)よりトラック専用シャシーの開発が進められ、1952年(昭和27年)秋よりバスとは全く別シャシーの8トン積みT31型トラックの生産が開始された。
1955年(昭和30年)4月にはヤナセのバスボディに影響を受けたフロントデザインに変更され、その後、1961年3月に至り、エンジン搭載位置を100mm下げフロントを前傾させてグリルをアメリカ車ポンティアックの影響が感じられる大胆な2分割としたモダンなルックスの新T330型にモデルチェンジした(旧型も暫くは併売)。なお、ボンネット・バスについてはこの時のモダン化を受けずに1961年限りで惜しくも生産を終了した。
そして、新T330型トラックは基本的に同じキャブデザインのまま、フロントグリルの意匠や内外装細部の変更を経て1970年代に至るまで生産が継続された。三菱ふそうのボンネット車は1960年代後半から1970年代にかけて米澤玩具から多数がリリースされたブリキシャシー/プラ製車体のダンプ等や米澤玩具発売ダイヤペット・シリーズのダイキャスト・ミニカーで後期型車両の姿を偲ぶことが出来る(オマケ参照)。
※戦後の三菱ふそうボンネットバスについては本シリーズ第212回記事をご参照ください。
【主要スペック】 1953年 三菱ふそうT31型ディーゼル・トラック
全長7940mm・全幅2336mm・全高1950mm・ホイールベース45000mm・車重4000kg・FR・DB5A型水冷4サイクル直列6気筒予燃焼室式8550ccディーゼル・最大出力130ps/2000rpm・最大トルク50kgm/1200rpm・変速機4速フロアMT・最大積載量8トン・乗車定員3名・最小回転半径9000mm・最高速度70km/h・販売価格:不明
●1952年 三菱ふそうB23型トラック カタログ (縦18.5×横24.5cm・3つ折6面)
ナンバー「1952」の材木を積んだ赤いB23型トラックのイラストが魅力的な表紙。発行時期の記載はないが、中面に描かれた車両のナンバーは「1951」となっており1951年の発行かもしれない。全長7865㎜・全幅2255㎜・WB4500㎜・8550cc110psディーゼルエンジン搭載。
【中面から】
リア車軸上が湾曲したバス・トラック共通シャシー
「1951」ナンバーの消防車と撒水車
冷凍車とタンクローリー
ダンプ
スペック&図面
裏面: 「ふそう自動車は本来、アメリカのWHITEを範とした設計基礎の上に、GMCの大衆性とスイスSAURERの定評ある登坂性能を採り入れて、伝統の技術を誇る東日本重工業株式会社(旧三菱)が技術陣を総動員して完成した優秀車であります。昭和5年製造開始以来、不断の研究と努力とに依って絶えず改良に改良を加えられ、終に今日その成果としてふそうB2型車が生れました。・・・」
●1953年5月 三菱ふそうT31型ディーゼル・トラック カタログ (B5近似サイズ・3つ折6面)
カタログNo.T1010。
【中面から】
湾曲がなく一直線のトラック専用新シャシーとなった。
各種架装
図面
裏面: スペック
●1955年9月 三菱ふそうT3トラック カタログ (A4判・2つ折4面)
カタログNo.1-10-9-55。ヤナセボディに影響を受けた新しいフロントデザインに変更。8トン積みT33型(全長8095㎜・WB4800㎜)と7トン積みT32型(全長7240㎜・WB4000㎜)の2種を掲載。エンジンは何れもDB7A型8550cc130psディーゼル。
【中面から】
シャシー、各種架装
裏面: スペック
●1957年3月 三菱ふそうT3トラック カタログ(A4判・2つ折4面)
カタログNo.3-10-3-57。8トン積みT33型(全長8210㎜・WB4800mm)と7.5トン積みT32B型(全長7240㎜・WB4000㎜)を掲載。エンジンはDB7A型130psのままで変更なし。
【中面から】
シャシー、各種架装
裏面: スペック
●1958年6月 三菱ふそうT3トラック カタログ(A4判・3つ折6面)
カタログNo.7-10-6-58。8トン積みT33型(全長8190㎜・WB4800mm)と7.5トン積みT320型(全長7590㎜・WB4300㎜)を掲載。エンジンはDB31A型8550cc155psディーゼル。
【中面から】
シャシー、各種架装
図面(T33型)
図面(T320型)
裏面: スペック
●1958年10月 三菱ふそうAT33エアサスペンション トラック カタログ(A4判・2つ折4面)
カタログNo.1-10-10-58。8トン積み空気ばね付AT33型(全長8090㎜・WB4800mm)追加時の専用カタログ。この時期に各社よりエアサス付の大型車が出された。エンジンはDB31A型155psディーゼル、最高速度73km/h。
【中面から】
●1961年7月 三菱ふそうT330 トラック 簡易カタログ? (A4判・3つ折6面)
カタログNo.1-10-7-61。ポンティアックに影響を受けたと思われるマスクに変更。全長8040㎜・全幅2480㎜・WB4800㎜のT330型と全長7340㎜・全幅2480㎜・WB4300㎜のT335型および各々のダンプ仕様と特装車を掲載。エンジンはDB31型8550㏄165psにパワーアップした。
【中面から】
各種架装
裏面: スペック
●1961年3月? 三菱ふそうT330 トラック 本カタログ? (B5判近似サイズ・8頁)
カタログNo.: 未記載。「‘61ニュースタイル」と謳った新型の気合いの入ったホチキス留め頁物カタログ。
【中頁から】
「視界の拡大」
「居住性の改善」「荷台長さの延長(100mm)」
スタイルの近代化
フロントグリル
整備性の良いアリゲーター式ボンネット
エンジン搭載位置を100mm下げ低められた重心(線描は旧型)
裏面: スペック
●1964年4月 三菱ふそうダンプトラック 専用カタログ (A4判・4つ折8面)
カタログNo.T704(3-15-4-64)。T330D・T335D・T410Dの標準ボンネット車の他、ワンサイドキャブのT385D・T370D・4W110D・6W100Dの7車種を掲載(4Wは4駆、6Wは6駆の特殊車両)。
【中面から】
●1967年7月? 三菱ふそうダンプトラック 専用カタログ (A4判・12頁)
カタログNo.1.1.220.01.00707。T330D・T335D・T410Dの標準ボンネット車の他、ワンサイドキャブのT385D・T370D・6W100Dの6車種を掲載。
【中頁から】
最終型グリル
T330D型とT335D型
この年式では全幅がT330とT335の2450mmに対して2350mmと100mm狭いT410型
●1971年1月? 三菱ふそう大型トラック 総合カタログ (A4判・16頁)
カタログNo.1.1.220.01.1111。既にキャブオーバー車がメインの時代に入り表紙はT380型キャブオーバー8トン車。標準型ボンネット車は、T330型(8トン積みWB4800mm)・T335型(8トン積みWB4300㎜)・T410型(6.5トン積みWB4300mm)の3車を掲載。T330とT335は大型車枠一杯の全幅2480mm、T410は15cm狭い全幅2330mm。
【中頁から】
最後までフロント・ウインドは2分割のまま(センターピラーは初期型より細くなっている)。エンジンも8550cc165psのまま変更なし。ダッシュボードの意匠は若干変更されている。
★オマケ(その1): 米澤玩具ダイヤペット 1/50スケール 三菱ふそうダンプトラック
全長13cm。ダイヤペット品番D-13(No.08-0113)。1972年11月発売。当時定価750円。ダイキャスト製。荷台までダイキャストの良心的な造り。
★オマケ(その2): 米澤玩具ダイヤペット 1/50スケール 三菱ふそうクレーントラック
全長14.5cm。ダイヤペットエース品番No.08-0192。1974年6月発売。当時定価1300円。ダイキャスト製。これもクレーン部分までオール・ダイキャスト製。
★オマケ(その3): 米澤玩具ダイヤペット 1/50スケール 三菱ふそう日通トレーラートラック
全長25cm。ダイヤペット品番T-20(No.08-0214)。1974年1月発売。当時定価1600円。ダイキャスト製。これもトレーラー部分までずっしりと重いオール・ダイキャスト製の良心的な造り。
オマケ1・2との並び。右端は同じ1/50スケールのスバル360(トミカ)。
★オマケ(その4): 絵本に描かれた三菱ふそうダンプT320型
フレーベル館発行トッパンの愛児えほん「はたらくじどうしゃ」より。絵: 藤田正純 画伯。描かれているのは、ショートWB4300mmのT320型ダンプでしょうか。
★オマケ(その5): 絵本に描かれた三菱ふそうB2型 梯子消防車
ひかりのくに昭和出版発行「消防じどうしゃ」表紙。絵: 秋吉文夫 画伯。縦縞グリルのB2型消防車もしくはT31型初期の消防車でしょうか。なかなか魅力的な絵です(この絵は以前にもアップしています)。
↧
★1953年 三菱ふそうT31型 ボンネット・トラック 安保法 ~ 自動車カタログ棚から 281
↧