★鬼怒川の堤防決壊で茨城県常総市が大変なことになっていることに驚いていたら、今度は昨日朝の大きな地震に驚いてしまいました。都内は殆どが震度4だったようですが、ドカンと突き上げるような大きな揺れは5弱位あったように感じました。4年半前の311東日本大震災を思い出したことは言うまでもありません。最近買ったミニカーはダンボールに入れずに100台位?壁沿いに山積みにしてあったのですが、その山が綺麗に崩れて床がミニカー浸し?になってしまいました。少しモノを減らさないと、もし震度6クラスの大地震が起きた時には文字通りモノに埋もれて死んでしまうかもw という不安がよぎりました。
★閑話休題
今回は「自動車カタログ棚から」の第280回として初期のトヨタ製小型バスをピックアップします。初代コースター登場以前の妖しい魅力に溢れたバス達です。今回、持っているはずなのに整理が悪く見つからないカタログが1960年代後半を中心に幾つかあり、見つかった時には随時追加することとします。
実は他の自動車カタログの記事でも同様に少しずつ追加をしています。自動車カタログは現在では立派なコレクション・アイテムの一つですので、全てを網羅することは不可能としても出来るだけ発行されたモノを沢山記録として残しておきたいと考えています。
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★日本初の小型バス(マイクロバス)は1958年(昭和33年)の初代ダイナRK75型(当時の車名はトヨペット・ルートトラック)ベースの車両とも言われるが、前年1957年のルートトラックRK62型でも小型バス仕様が造られた形跡があり、また同時期のプリンス商用COEや日産ジュニア・キャブオールベースでもライトバンを人員輸送用バスとした車両が造られた形跡があるので、時系列的に何れが日本最初であったのかは判然としない。
何れにしても戦後の混乱期を抜け出した1950年代後半(昭和30年代前半)となって、旅館やホテル、自動車教習所の送迎用、工事現場等への人員輸送用に乗用車では足りず普通のバスでは大き過ぎる、といった小型バスの需要が多く生まれ自然発生的に各社で製作されたものと思われる。
★1969年(昭和44年)の初代コースターのデビュー以前のトヨタの小型バスは車体メーカー毎にデザインが異なり、その全貌は謎に包まれている。またデザインそのものもインダストリアル・デザイン以前のデザインとも言える、現在の目で見るとどこか妖しく奇妙なものが多い。
1963年(昭和38年)よりトヨタ車体が製作したダイナベースRK170B型トヨタ・ライトバスの姿を2013年にトヨタ車体が復元してトヨタ博物館で公開したことがニュースとなったが、その車両はコースター・デビュー直前の1968年(昭和43年)の車両に他3台の現存車から部品採りをし、更に足りない部品は新規製作をして1963年の初期車両の姿としたものらしい。
【主要スペック】 1962年 トヨペット・マイクロバス (1962 TOYOPET MICROBUS)
全長5650㎜・全幅1870㎜・全高2160㎜・ホイールベース2800㎜・車重2055kg・FR・水冷4気筒OHV1894cc・最高出力80ps/4600rpm・最大トルク14.5m-kg/2600rpm・変速機4速MT・電装系12V・最小回転半径5900㎜・乗車定員20名・最高速度105km/h・販売価格128万円(標準型)
●1953年(昭和28年) トヨタ宣伝車 専用カタログ (A4判・8頁) より抜粋
このあたりの宣伝車のワンオフ・ボディに小型バス・ボディへの萌芽が見て取れないだろうか。何れもシャシーはトヨペット・トラックRKと思われます。デザインはまるで古いブリキの玩具のような雰囲気です。
「レナウン」
「明治製菓」
「ナショナル・サービスカー」
●1957年(昭和32年) トヨペット・ルートトラックRK62 本カタログ (縦23×横26cm・12頁) より抜粋
トヨタ・カタログ№.411。これも宣伝車ですが、簡単に3列シート以上の小型バスに転用できそうです。
●1958年(昭和33年) トヨペット・ルートトラックRK70 本カタログ (縦23.5×横25.5cm・12頁) より抜粋
トヨタ・カタログ№.504。「小型ルート・バス」の名称で小型バスがカタログに登場。
●1958年(昭和33年) トヨペット・ルートトラックRK75 本カタログ (縦24×横26cm・12頁) より抜粋
トヨタ・カタログ№.526。「小型バス」のイラスト。事業者は「TYT観光」と横文字。
●1962年(昭和37年) トヨペット・マイクロバス 専用カタログ (B5判近似・4つ折8面)
発行年月およびカタログNo:記載なし。トヨタ自動車販売とトヨペット整備株式会社のダブルネーム・カタログ。このカタログに掲載の20名乗りの他、1963年には25名乗りも発売。
【中面から】
標準色はローズ/白およびグリーン/白のツートン2種
天窓付デラックス
1900cc80psエンジン: 初代クラウン・スタンダード(RS30型)や2代目クラウン・スタンダード(RS40型)と同じ3R型80ps。
図面およびスペック
図面アップ
リアビュー、価格
カタログ専用封筒(神奈川トヨタ)
カタログ送付状(神奈川トヨタ)・・・・・下半分にトヨペット・マイクロバスの納入先を列記。ホテル、旅館の他、鎌倉市や山北町といった役所、教習所と思われる「○○自動車学校」の名前も多数。
カタログ付属葉書(神奈川トヨタ)・・・・・料金受取人払の神奈川郵便局承認の葉書。差出有効期間「昭和37年9月1日より昭和38年8月31日まで」と記載。裏面にはセールスマンに来てもらいたい日時および住所氏名を記入して差し出す形となっている。
●1964年(昭和39年)? トヨペット・マイクロバス 専用カタログ (縦24.5×横26cm・4つ折8面)
発行年月およびカタログNo:印字なし。これもトヨタ自動車販売とトヨペット整備株式会社のダブルネーム・カタログでスペックもほぼ同一ながらライト周りを中心にデザインは一新。
【中面から】
正面
室内
リアビュー
●1963年(昭和38年)? トヨタ・ライトバス 専用カタログ (B5判・6つ折12面)
カタログNo.T-53。発行年月の印字なし。発行はトヨタ自工/トヨタ自販。荒川車体(現トヨタ車体)製ボディ。2013年に復元された車両の外観はこの年式。シート・レイアウトの違いで22人乗りRK170B型と25人乗りRK170B-B型の2種あり。全長5870㎜・全幅1850㎜・全高2250㎜・ホイールベース2800㎜。1897cc80psエンジン搭載。
【中面から】
飛行機は中日本航空の双発DC-3?
室内: シート背面に設置されたクロームの灰皿が懐かしい。
22人乗り図面
シートピッチを詰めた25人乗り図面
●1964年(昭和39年)? トヨタ・ライトバス 専用カタログ (B5判・4つ折8面)
カタログNo.TAC3Z-11。発行年月の印字なし。発行はトヨタ自工/トヨタ自販。これも荒川車体製。上掲の1963年?では中央だけエアが抜けていたフロントグリルが横幅全体に抜け、その上のメッキバーも少し長くなった。
【中面から】
120km表示のスピードメーター、室内
●1965年(昭和40年)? トヨタ・ライトバス 専用カタログ (A4判・12頁)
発行年月およびカタログNo:印字なし。発行はトヨタ自工/トヨタ自販。表紙にはライトバスの文字がなく「ALBUM」とだけあり、下に小さな文字で「これはあなたのビジネスに新しいヒントを提供するアルバムです」の文字が添えられている。良い写真が多く頁数もたっぷりあるものの何故か詳細なスペックの掲載はなし。「このようなシチュエーションでライトバスを是非!」とアピールすることに主眼が置かれたカタログのようだ。フトント周りのデザインは大きく変わった。
【中頁から】
カントリークラブにて
団地の奥様を教習所へ送迎
仕事の引揚げ時に
甘い2人の新婚旅行の思い出には旅館/ホテルの送迎バスを
農協視察
標準型バス 仕様
クーラー付バス 仕様
園児用バス 仕様
●1965年(昭和40年)? トヨペット・ライトバス/幼児バス 専用カタログ (A4判・4つ折8面)
発行年月およびカタログNo:印字なし。発行は名古屋市中村区の尾張車体工業株式会社。大人21人または22人乗りのライトバスと幼児33名+大人2名乗りの幼児バスを掲載。ボディサイズは全長5420㎜・全幅1910㎜・全高2295㎜・ホイールベース2800㎜。
【中面から】
ライトバス フロントビュー
ライトバス リアビュー
園児用バス フロントビュー
園児用バス リアビュー: 園児用のみリアに非常口設置
裏面: 図面およびスペック、下部に尾張車体工業株式会社の印字
●1965年? トヨエース・ライトバス/幼児バス 専用カタログ (A4判・4つ折8面)
発行年月およびカタログNo:印字なし。これも発行は名古屋市中村区の尾張車体工業株式会社。車名がトヨペットではなくトヨエースであるところに注意。2代目トヨエースのシャシーにバスボディを架装した珍車で大人18人乗りのライトバスと幼児22名(20名)+大人2名(3名)乗りの幼児バスの2種が掲載されている。奇妙なデザイン。ボディサイズは全長4680㎜・全幅1810㎜・全高2250㎜・ホイールベース2500㎜。カタログに搭載エンジンの記載はなし。トヨエースと同じR型1500cc60psまたは2R型70psエンジン搭載とすると大人18人乗車での走行にはかなり無理があったのではないだろうか。
【中面から】
トヨエース・ライトバス フロントビュー
トヨエース・ライトバス リアビュー
トヨエース・ライトバス 室内
トヨエース園児用バス フロントビュー
トヨエース園児用バス リアビュー: 園児用のみリアに非常口設置
トヨエース園児用バス 室内
★オマケ(その1): 英MATCHBOX 1/117スケール ロンドンバス「BP-visco-static」
全長7cm。当時国内定価150円。ダイキャスト製。残念ながら1960年代のトヨペット・マイクロバスやトヨタ・ライトバスのミニカー等の立体造形模型は存在しません。しかし、オマケにミニチュアなしは少々寂しいので、同じバスということで個人的に好きなロンドンバス(AECルートマスターバス)のミニカーを今回のオマケに掲載します。後部のオープンデッキと2階へ昇る螺旋階段がミニチュアとした場合にも実に魅力的です。2階建てロンドンバスは都内でも新宿などの繁華街を広告宣伝車として走る姿を時折見かけます。この小さなマッチボックスは私が小学校低学年の頃に遊んだミニカーです。2階建てルートマスターバスは日本製にもエーワン浅草玩具やトミカダンディ等のモデルがあり、もし当時モノから最近のモノまで世界中のモデルを集めるとしたら大変なことになりそうです。
★オマケ(その2): 英DINKY TOYS 1/76スケール ルートマスターバス「TERN shirts」&「ESSO-Safety Grip tyres」
全長12.2cm。ダイキャスト製。英ディンキー品番289。運転手と後部ステップの女性の人形が泣かせます。「TERN shirts」が初版。「ESSO-Safety Grip tyres」は透明パッケージとなった1970年代まで販売された後期モデル。英国型HOゲージ鉄道模型のスケール。
★オマケ(その3): 英CORGI TOYS 1/76スケール ルートマスターバス「naturally CORGI TOYS」
全長11.5cm。ダイキャスト製。英コーギー品番468。運転手と後部ステップに1960年代風長髪の男性人形(?=女性がスラックスをはいているようにも見えなくもない)付。ディンキーより若干小さ目ながらフロントにはジュエル・ライトが奢られた魅力的なミニカーです。
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★1962年 トヨペット・マイクロバス トヨタの妖しい小型バス達 ~ 自動車カタログ棚から280
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