★何だかこの頃、地震が多いです。先日も今夜の小笠原震源の地震でも東日本大震災を思い出してしまいました。火山の噴火やらで日本列島に異変が起こりつつあるのでしょうか。
明日5月31日はバンドの練習日で時間が取れないため、今回は過去記事使用のやっつけ気味の記事です。自動車カタログ棚シリーズの第267回として愛知機械工業ヂャイアント三輪消防車をピックアップします。アップするカタログは何れも恐らくWeb初公開と思われる稀少なものです。
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★名古屋市熱田区に本社を置く愛知機械工業株式会社は1962年(昭和37年)に日産自動車と業務提携を開始し現在では日産の子会社となっているが、そのルーツは親会社の日産より古く19世紀末の1898年(明治31年)7月に創業した愛知時計製造株式会社にまで遡る。
第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)2月に航空機部門が分離独立し「愛知航空機株式会社」となり大日本帝国海軍の戦闘機「彗星97」や「99式艦上爆撃機」などを製造した。戦後は民需産業への転換をして1947年(昭和22年)4月より三輪トラック「ヂャイアント号」の製造を始めた。1949年(昭和24年)5月に企業再建整備法により「新愛知起業株式会社として再出発した後、1952年(昭和27年)12月に現在の社名「愛知機械工業株式会社」に改称された。現在の社名となってからでも既に60年以上の歴史を誇る企業である。
★1947年(昭和22年)4月より愛知機械工業が製造した三輪トラック「ヂャイアント号」は、1960年(昭和35年)秋までの13年間に亘り製造された。
マツダ・ダイハツ・くろがねのオート三輪御三家には及ばない、三輪メーカーとしては中堅どころのポジショニングながら、先進的かつユニークな製品を輩出したことで知られる。戦後初めてオート三輪に水冷OHVエンジンを搭載したのは1947年4月の最初のヂャイアントAA1型(OHV単気筒636cc19ps)であり、1951年(昭和26年)3月発売のAA7型コンドル(水平対向2気筒1145cc)ではオート三輪史上初めて丸ハンドル・完全密閉式のフルキャビンを採用した。二輪と同じバーハンドルで屋根もないオート三輪が当たり前の時代に誕生したコンドルは、マツダ・ダイハツが1957年秋発売の1958年型で初めて丸ハンドルを採用するより6年も早い時期の丸ハンドル+フルキャビンの採用であった。
★コンドルで採用されたボディスタイルは当時の三輪としては洗練されたもので、平らなボンネットにヒゲのような装飾アクセントというキツネのような独特の表情は最後のヂャイアントに至るまで踏襲された。
ヂャイアントはエンジンも進歩的で三輪では空冷が一般的だった時代に水冷しかもOHVの水平対向を採用し搭載位置もアンダーフロアとして、二輪同様にエンジンを跨いで1名乗車が当たりだった時代に2名ないし3名乗車を可能としていた。しかし、他車に比べて進歩的だったことが逆にアダとなり、右へ倣え的な平凡さを求めた日本のユーザーには広く受け入れられぬまま1960年(昭和35年)9月に最後の大型三輪AA24型の生産を打ち切った。なお、オート三輪生産終了後の愛知機械工業は1970年(昭和45年)10月まで軽商用車「コニー」を独自ブランドで生産した。
(以上、第187回記事より)
★ノーマルのヂャイアント三輪トラックについては第187回記事をご参照いただき、今回の「自動車カタログ棚から」では現存するのものが少ない珍品といえるヂャイアント三輪消防車のカタログを幾つかご紹介します。
併せて今回はオマケとして6月1日から開催される「まんだらけZENBU69号大オークション大会」出品のブリキのオート三輪等をご紹介します。
【主要スペック】 1957年ヂャイアント タンク付三輪消防自動車 (AA12SA型)
全長4850㎜・全幅1800㎜・全高2030㎜(放水銃ハンドル迄の高さ)・ホイールベース3225㎜・車重:不明・FR・AE15型水冷水平対向2気筒4サイクルOHV1145cc・最高出力46ps/4000rpm・最大トルク8.4kg-m/2800rpm・変速機4速MT・乗車定員6名(後部立ち含む)・タンク容量1000L・標準放水量300ガロン/分・電装系6V・最小回転半径4.71 m・最高速度66km/h・販売価格:不明
●1957年? ヂャイアント タンク付三輪消防自動車 AA12SA型 専用カタログ (B5判・4つ折8面)
発行年月:印字なし(昭和32年?)。AA12型は三輪トラックAA11型の消防車仕様。いかにも「昭和」を感じさせる街並みをバックに消防士6名を乗せた三輪消防車の天然色カラーで刷られた魅力的な表紙。AA12SA型は全長5mに近い大型の三輪消防車。消防車は一般に耐用年数が長く古い車両が残りやすいが、ヂャイアントの消防車は絶滅しているものと思われる。
【中面から】
リアビューと2気筒エンジン
スペック掲載箇所
●1955年 ヂャイアント三輪消防自動車 専用カタログ (B5判・2つ折4面)
1955年(昭和30年)4月発行。掲載車両はAA-12型大型三輪消防車とAA-10型中型三輪消防車の2車種。表紙は地味だが中はカラーの渋いカタログ。
【中面から】
AA-12型41馬力「大型三輪消防車」・・・・・全長4118㎜・全幅1680㎜・WB2610㎜。
AA-10型19馬力「中型三輪消防車」・・・・・全長3580㎜・全幅1200㎜・WB2350㎜。可愛いデザインです。
図面
●1953年 ヂャイアント三輪消防車 専用カタログ (縦20×横26cm・4つ折8面)
1953年(昭和28年)3月発行。掲載車両はAA-8型中型三輪消防車とオートバイに荷台を付けたような戦前スタイルのままのAA-4型中型三輪消防車の2車種。
【中面から】
AA-8型41馬力「中型三輪消防車」・・・・全長3700㎜・全幅1600㎜・WB2350㎜。模型化したくなるような可愛らしく魅力的なスタイル。AA12はフルスクラッチビルドで実際に模型化された人がいるようです。
AA-4型19馬力「中型三輪消防車」・・・・・モーターサイクルに荷台を付けただけのような風防さえ付かない戦前スタイル。全長3500㎜・全幅1450㎜・WB2300㎜。
名古屋・愛知機械工業本社工場全景
★オマケ(その1): 野村トーイ 1957年 ダイハツ三輪ダンプ「日通」箱付
6月1日から始まる「まんだらけ大オークション大会」に出展されているオート三輪等国産商用車ブリキ製モデル玩具の現物を観てきましたので、今回はその一部をオマケとして掲載します。まんだらけの大オークションは参加費1000円を払うとWeb上から入札が可能。商品引取り時には落札価格以外に10%の手数料と8%の消費税が加算されるので注意が必要。昨年夏のオークションでのブリキ乗用車特集の時もそうでしたが、「よくこんなに良質のオークション商品を揃えたもの」と、まんだらけのビンテージ商品を集める手腕には驚かされます。ある1人のコレクターが他界するなどして一度に良いモノが沢山集まったという訳ではなく、特集のためにコツコツ集めておいたものとも聞きます。
この野村のダイハツ日通は昔から人気の高いオート三輪のブリキ。全長27cm。バリエーションとして日本地図がプリントされた橙色塗装のバージョンも出ている。2015年6月10日オークション終了(終了時刻は昼間でなく夜間だがWeb上で要確認)。オークション開始価格55万円(手数料・税込65万3400円)。よりレアな日本地図バージョンの箱付デッドストックが発掘されれば100万超えも有り得るが、この日通は意外に残っている。過去の例では箱付80万円前後で流通。ホイールキャップは今回出品の黄色/白、黄色で中央部が赤、全面クロームメッキと3種類確認されており、ホイール違いを全て揃えるとなるとなかなか難しい。
★オマケ(その2): 増田屋 1957年ダイハツ・ミゼット 箱付
全長22cm。2015年6月5日オークション終了。開始価格15万円(手数料・税込17万8200円)。1990年代に大阪ブリキより精巧な復刻が出たため有難味が少々薄れたが、オリジナルの箱付はやはり貴重品。オリジナルはボディ左サイドに増田屋のMTロゴマークがプリントされており、復刻品とは容易に見分けられる。過去の例ではオリジナルの箱付は30万円前後で流通している。
★オマケ(その3): 野村トーイ 1957年ダイハツ・ミゼット 箱付
全長16.5cm。2015年6月11日オークション終了。開始価格25万円(手数料・税込29万7000円)。甘くユルい造りのミゼットだが箱付はかなりレア。
★オマケ(その4): 野村トーイ 1957年ダイハツ・ミゼット郵便車 箱付
全長17.5cm。2015年6月11日オークション終了。開始価格20万円(手数料・税込23万7600円)。オマケ3のバリエーションとして日通・郵便車・牛乳車の3種が発売された中ではこの郵便車が一番現存しており、一番レアなのは遊び倒した箱なしジャンクでさえ殆ど残っていない牛乳車。日通仕様は2015年4月にヤフオクに箱付ミントが出品された際の落札価格が74万9350円だったので、この郵便車も開始価格ならば格安かも。この郵便車は個人的には子供の頃に遊んだ思い出の玩具。
★オマケ(その5): 光球商会 1957年ダイハツ・ミゼット 箱付
全長17cm。2015年6月9日オークション終了。開始価格35万円(手数料・税込41万5800円)。出来の良いバーハンミゼットで箱絵にミンミンミゼットの唄の音符/歌詞が印字されているのも味わい深い。これは過去にかなりの台数を見ているので比較的現存しているようです。
★オマケ(その6): 味の素 1957年ダイハツ・ミゼット
全長10.5cm。プラ製。2015年6月8日オークション終了。開始価格15万円(手数料・税込17万8200円)。味の素がノベルティとして出した調味料容器。箱付は極く珍しい。箱には「ミゼット模型」と印字がある。モデルを包んだビニールが未開封のようなので開封するのは勇気がいりそうです。
★オマケ(その7): 萬代屋(現バンダイ) 1957年幌付きマツダ三輪トラック小サイズ 箱付
全長17cm。2015年6月7日オークション終了。開始価格25万円(手数料・税込29万7000円)。萬代屋は大小2種類のサイズ違いでマツダ三輪を発売しており、最も売れた大サイズのノーマルは沢山残っているが、この小サイズの幌付きバージョン箱付は殆ど見かけないレア品。幌には図柄違いのバリエーションあり。
★オマケ(その8): 萬代屋(現バンダイ) 1957年幌付きマツダ三輪トラック 箱付
全長21.5cm。2015年6月5日オークション終了。開始価格25万円(手数料・税込29万7000円)。オマケ6のサイズ違いの大きい方のモデルでこちらの方は結構現存している。但し幌の材質(この布製以外にビニール製も有)や図柄にバリエーションが多数ありコンプリートに集めるとなるとなかなか難しいでしょう。
★オマケ(その9): 萬代屋(現バンダイ) 1957年三菱3輪トラックTM8型 箱付
全長26cm。2015年6月7日オークション終了。開始価格15万円(手数料・税込17万8200円)。フロントに三菱エンブレムとブレーキホースが付いた初版で状態も良いが残念ながら下箱がリプロとのことです。
★オマケ(その10): 旭玩具 1957年初代トヨエースSKB型
全長23.5cm。2015年6月6日オークション終了。開始価格20万円(手数料・税込23万7600円)。旭玩具の初代トヨエースは大小2種類あるが、これは大サイズ。大小共に箱付はかなり稀少。この大サイズのバリエーションとして発売された幌付きバージョンと日通仕様は更にベリーレアでまずお目にかかることが出来ません。
★オマケ(その11): 萬代屋(現バンダイ) 1958年マツダ・ロンパー
全長21.5cm。2015年6月10日オークション終了。開始価格15万円(手数料・税込17万8200円)。実車は空冷のロンパーとしてデビュー後僅か1年で水冷のD1100に変り、萬代屋のモデルも実車同様にD1100へ変更されたため、このロンパーは比較的少ないと思います。
★オマケ(その12): 増田屋 1960年代? 雪上車 (スノーモービル)
全長19.5cm。2015年6月7日オークション終了。開始価格15万円(手数料・税込17万8200円)。これは国産商用車ではありませんが、実は個人的に今回のオークション出展品の中で一番魅かれたモデル。大きさ、色、佇まいが実に良く、ペンギンのプリントも可愛いです。単1電池2本で走行。サスペンションと連動したキャタピラにより車体を小刻みに震わせながら走行するという優れもの。手元にある1960年代の増田屋齋藤貿易のカタログには掲載されていないため、発売時期は1950年代後半であった可能性もあります。
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★1950年代ヂャイアント三輪消防車 まんだらけ3輪オークション ~ 自動車カタログ棚から267
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