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★1928年キャデラック アル・カポネと大統領を乗せたキャディ ~ 自動車カタログ棚から 251

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謹賀新年
☆明けましておめでとうございます.
☆旧年中は大変お世話になりました。
☆本年もどうぞ宜しくお願いいたします<(_ _)>



2015年になりました。元旦の東京は寒いです。先程、初詣などに出かけてきました。今年も1年健康で幸せに暮らせますように、根が欲張りなのでその他沢山、神頼みしてきました(爆)
お正月というのはコタツ(炬燵)でミカンやポテトチップなど食べながらゆっくり怪獣映画を観るなんていうのが最高です。コタツの中でコタツムリになって映画観ながらウトウトなんていうのも最高です(>_<) ところが、ふと考えてみると今は家にコタツがありません(@_@;) 今でもコタツを使っている方もいてみえるでしょうか。
調べてみると、近年、コタツはエアコンの普及で衰退著しく大手家電メーカーは既に業界から撤退しているようです。しかし、あのコタツムリになることの幸せを知る人を中心にコタツ復権の時代がまた来るような気もします☆


・・・・・新年最初の記事は自動車カタログ棚シリーズの第251回として戦前1928年のキャデラックをピックアップします。今から87年前の自動車カタログです。 




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★アメリカを代表する高級車キャデラック(CADILLAC)の1号車は1902年(明治35年)10月に完成しているので、その歴史は既に112年を越える。
キャデラックと言えばかつて日本では力道山、馬場、猪木といったプロレスラーが愛用したことで有名だった。日本でも昔からその名を知らぬ人のいない知名度の高いアメリカ車のひとつ。
キャデラックは同じアメリカの高級車リンカーンやパッカードと並び歴代の大統領専用車にも採用されてきたアメリカを代表する高級車である。1919年(大正8年)、第一次世界大戦の戦勝パレードの際に当時のウィルソン大統領(Thomas Woodrow Wilson・1856年12月28日-1924年2月3日)がキャデラックに乗ったのが大統領とキャデラックの結びつきの最初と言われ、その後、1928年(昭和3年)にキャデラックが大統領専用リムジンとして正式採用され、今日のオバマ大統領(Barack Hussein Obama II・1961年8月4日-)に至るまでキャデラックが大統領専用車として連綿と採用され続けている。大統領専用車と言うと1963年(昭和38年)11月22日のジョン.F.ケネディ大統領暗殺時の1961年リンカーン・コンチネンタルも非常に有名だが、歴代専用車としてはリンカーン以上にキャデラックの採用例が多い。


★自動車史的に見たキャデラックは、セルモーター、シンクロ付き変速機、前輪独立サスペンション、パワーステアリング、エアコンといった今日の自動車では当たり前となった装備を世界で初めて採用したことで高く評価されている。エンジンも先進的であり、V8やV16エンジンの量産車への搭載はキャデラックが世界初であった。
今回ご紹介する1928年のキャデラックは大統領専用車に最初に正式採用された年式であり、シカゴのギャング アル・カポネ(Al Capone・1899年1月17日-1947年1月25日)が防弾装備を施した特殊車両をオーダーした年式でもある。アル・カポネが1931年に投獄した後、防弾仕様のキャデラックはアメリカ政府に接収され、1941年(昭和16年)12月7日(日本時間では12月8日)の真珠湾攻撃を受けて急遽開かれた上下両院合同会議に際して何と暗殺を恐れたルーズベルト大統領(Franklin Delano Roosevelt・1882年1月30日-1945年4月12日)が会議場まで乗ることとなった。大統領とギャングのボスの両方を乗せたというキャデラックは史上空前絶後であろう。このことがあって、その後の大統領専用車には当初から最新の防弾装備が施されることとなったのである。



●アル・カポネの1928年キャデラック341Aタウンセダン
自分のクルマが大統領も乗せることになろうとはアル・カポネ自身も思いもしなかったに違いない。禁酒法時代の1925年、弱冠26歳にしてアル・カポネはシカゴの暗黒街の帝王となり政治家や警察といった官憲を買収して影の実質的なシカゴ市長のようなポジションに就き、このクルマを購入した頃にはシカゴで知らぬ人はいない程の有名人にもなっていた。
アルカポネのキャデラック



【主要スペック】 1928年 キャデラック タウンセダン (1928 Cadillac Series 341A)
全長5417 ㎜・ホイールベース3556㎜・前トレッド1422mm・後トレッド1473mm・車重2216kg・FR・V型8気筒5588cc(341.0 cu in.)・最高出力90 HP (66.24 KW)/ 3000rpm・変速機3速MT・乗車定員5名・ボディデザイン:ハーリー アール(Harley J.Earl)・ボデイ製作:フィッシャー(Fisher)またはフリートウッド(Fleetwood)・最高速度70 mph(112.63km/h)・米本国内販売価格$3395



●1928年 キャデラック 本カタログ (縦23.5×横35.2cm・英文40頁)
2015年現在で87年の時空を生き延びてきたカタログ。英文のアメリカ本国版だが、表紙の裏に大阪・大日本モータース株式會社 大阪支店の判子があり、日本国内で太平洋戦争の戦火を免れ生き延びてきたカタログであることが分かる。私の手元に来る以前の出所は不明なのだが元々は華族や大財閥といった超裕福な顧客の家に眠っていたものと思われる。CG誌初代編集長の小林彰太郎氏(1929年 11月12日-2013年10月28日)によれば、1930年代前半(昭和9年以前)の日本の路上でキャデラックは極めて少なく氏が見たのは1台のみだったという。事実、戦前の日本では高級車というとパッカードの愛用者が圧倒的に多くキャデラックはあまり売れなかったようだ。
このカタログは11種類にも及ぶボディバリエーションの端正で美しいイラストをメインに室内等ディテールのイラスト、図面やスペックという構成。高級車のカタログらしく装丁も丁寧かつ上品で紙の質も非常に良い。87年の時を経てホチキスが錆びている以外に劣化は見られない。このカタログを最初に渡したセールスマンや最初に受取った人が当時仮に30歳だったとしても現在は117歳ということになり既に鬼籍に入られているだろう。人間よりモノの方が遥かに長生きするもの。大切に受け継げばこのカタログもまだ数百年は生き残るだろう。
28表紙


表紙裏に押された大阪・大日本モータース株式會社 大阪支店(住所:大阪市西区土佐通1丁目 肥後橋南詰)の判子が日本国内で生き延びてきたカタログであることの証明。当時のキャデラックの輸入元は三井物産自動車部として出発した梁瀬商会(現ヤナセ)だったはずなので、大日本モータースと梁瀬との関係の詳細は不明なのだが、戦後のポルシェが三和自動車の手で輸入され、関西では豊和自動車等で売られたのと同じように大日本モータースは関西地区の単なる販売店だったのかもしれない。
28(1)大日本モータース


中扉頁
28(3)扉頁


発行年を示す西暦1928の印字
28(4)1928印字


V型8気筒5588ccエンジン。キャデラックは1930年よりV16が登場するが、1929年まではV8のみ。
28(5)V8エンジン


解説頁
28(6)解説1
28(7)解説2


2人乗りロードスター
28(8)ロードスター


7人乗りツーリング
28(9)ツーリング


4人乗りフェートン
28(10)4人乗フェートン


4人乗りスポーツフェートン
28(11)スポーツフェートン


2人乗りクーペ
28(12)2人乗クーペ


2人乗りコンバーチブルクーペ
28(13)コンバーチブルクーペ


5人乗りクーペ
28(14)5人乗クーペ


5人乗りセダン
28(15)5人乗セダン


5人乗りタウンセダン・・・・・アル・カポネが注文したタイプ
28(16)タウンセダン


7人乗りセダン
28(17)7人乗セダン


7人乗りインペリアル・・・最上位グレード
28(18)7人乗インペリアル


応接間のような室内
28(19)室内


ボンネットフードを開けたV8エンジンの眺め
28(20)ボンネット開エンジン


シャシー、ブレーキ、サスペンション、ショックアブソーバーほか
28(21)シャシー・ブレーキ他


運転席等ディテール
28(22)運転席他


リアシート等ディテール
28(23)リアシート他


図面
28(24)図面1
28(25)図面2


スペック
28(26)スペック1
28(27)スペック2


価格記入欄(セールスマンがモデルタイプやオプションの有無によって異なるトータル金額を記入して顧客に渡したと思われる最後の頁)
28(28)価格書込み頁






★オマケ(その1): シグネチャーモデル1/32スケール 1933年キャデラックV16フリートウッド
全長16cm。ダイキャスト製。ボンネット・ドア開閉。製品番号32302。残念ながら今回のカタログと同じ1928年式のキャデラックのミニカーは手元にないので、これは一番年式の近い1933年式キャデラックのミニカー。全体的なプロポーションは1920年代末と同じながらボディ全体が丸味を帯び始めています。
ミニカー(1)
ミニカー(2)
ミニカー(3)



★オマケ(その2): スタンダードカタログ・オブ・キャデラック 1903~2000 (A4判・英文302頁)
2000年に出版されたアメリカのキャデラックの本。Krause publications発行。年式毎のスペックや生産台数等のデータに加えて、現在の市場評価額が部品採りレベルからエクセレントまでの5段階のコンディションに分けて記載されているのが興味深い。エクセレント・コンディションで見ると、今回の1928年のキャデラックで評価が一番高いのはスポーツ・フェートンの11万6000ドル(邦貨約1379万円)。これが1930年のV16エンジン搭載車となると35万ドル(邦貨約4161万円)に一気に跳ね上がる。ちなみに戦後のキャデラックで最も評価が高いのは、テールフィン絶頂期の1959年のエルドラド・コンバーチブルで68000ドル(邦貨約808万円)。このスタンダードカタログ・シリーズは、シボレー、フォード、クライスラー、ポンティアック、オールズモビルも出版されている。
キャデラック本



★オマケ(その3): 1959年テレビシリーズ 「アンタッチャブル」 1959 The Untouchables
アル・カポネを題材にした映像作品は多いが、これは日本でも放送されたテレビシリーズ。




★オマケ(その4): 1987年 映画 「アンタッチャブル」 1987 The Untouchables
ロバート・デ・ニーロ主演。ショーン・コネリー、ケビン・コスナー等出演。1959年のテレビ版はよりもこちらの方が馴染みがある人が多いのでは。




★オマケ(その5): 1972年 映画「ゴッドファーザー」 1972 The Godfather
ギャング繋がりで最後にもう一つ。マーロン・ブランド、アル・パチーノ他出演。私は中学生の時に観た映画。このテーマは名曲。





※キャデラックのカタログをピックアップした過去記事は以下のとおりです。

1) 1919年キャデラックV8 大正ロマン 谷崎潤一郎・・・・・自動車カタログ棚シリーズ 第106回記事

2) 1935年キャデラック 和綴じの日本語版・・・・・自動車カタログ棚シリーズ 第20回記事

3) 1959年ビートルズを乗せたキャデラック・・・・・自動車カタログ棚シリーズ 第14回記事

4) 1967年キャデラック・エルドラド 夢の黄金郷・・・・・自動車カタログ棚シリーズ 第131回記事


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