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Channel: ポルシェ356Aカレラ
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★1957年 トヨペット コロナ  初代ダルマコロナ ~ 自動車カタログ棚から 164

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コロナと言えば、かつての日本では車名を知らない人はいないくらいポピュラーなトヨタの小型セダンであり、1960年代から1980年代にかけては日産のブルーバードを相手に熾烈な販売合戦を繰り広げ「BC戦争」と言われたことでも有名。あいにく中型タクシーが中心だった都内では見かけなかったが地方都市のタクシーとしてもコロナ&ブルは多数が活躍した(本シリーズ22回目参照)。
私が子供の頃、1960年代には2代目と3代目のコロナが非常にポピュラーなクルマだったが、今回ご紹介するのは最初に世に出た初代コロナ。私は残念ながら世代的に初代コロナのリアルタイムの記憶がないのだが(元々の販売台数が少なかったせいもありそうだ)、ずんぐりむっくりと丸味を帯びたスタイルは同じダルマの愛称で呼ばれる初代セリカ以上にダルマのネーミングが似合っている気がする。

★1955年(昭和30年)以降、日本のタクシーは中型ではトヨタのクラウン、小型では日産のダットサンセダン(110~210系)が大きなシェアを占めていた。
小型タクシーのシェア1位はダットサン、2位は日野ルノーいう時代にトヨタからも是非タクシーに使える60万円程度の小型車を出して欲しいとの要望がタクシー業界から出された。当時のトヨタでは既にPT20系コロナ(後の2代目コロナ)やUP10(初代パブリカ)の開発に着手していた。ところが、小型車を手駒に持たないトヨタの販売店がトヨタ製小型車の出来る限り早い発売をトヨタ自工に訴えたことから、トヨタは初代クラウンRS型(本シリーズ98回目参照)の足回り(前輪独立サス)にトヨペットマスターRR型(本シリーズ35回目参照)のボディ外版(ドアプレス等)を使用し、1940年代後半(昭和20年代初め)から製造していた旧弊なサイドバルブ式S型エンジンを搭載した小型車「トヨペット・コロナ」(ST10型)を急造して1957年(昭和32年)7月に市販した。1951年(昭和26年)から1953年(昭和28年)7月までに数台が試作された「トヨペットFL型」の経験を活かし単体構造(ビルトイン・フレーム)としたことが目新しかったが、全体としてはクラウンとマスターの設計を採り入れて小型車向きに造り上げた両車の姉妹車的な存在がこの最初のコロナであった。トヨタ初の小型車の車名については「トヨペットSR型」、「トヨペット・マイナー」と変遷した後、発売直前になって「トヨペット・コロナ(Corona)」に正式決定された。

★初代コロナが参入したのはダットサンの牙城が既に出来上がっていた小型車クラスであり打倒ダットサンが目標であったが、1957年(昭和32年)10月、コロナデビューから3ヵ月を経た1957年(昭和32年)10月、OHVエンジンを搭載したダットサン1000が登場、1959年(昭和34年)8月にはスタイル・性能を一新したダットサン・ブルーバードが登場するに及んでコロナは大苦戦を強いられ、最早、コロナなどダットサンの敵ではないと言われる状況のまま1960年(昭和35年)4月に2代目PT20型コロナにバトンタッチした。初代コロナは当初見込んでいたタクシー用途には思うようには売れず、結局はダットサンより若干乗心地の良い点を買ってくれる少数のオーナードライバーが買い手となった。2代目コロナが足回りの脆弱さにより初代ブルーバード310系に販売成績では大きく水をあけられ、またもやBC戦争に苦戦したことは有名な話(2代目コロナは別項にてご紹介予定)。なお、初代コロナはトヨタの系列会社である関東自動車工業(現 トヨタ自動車東日本)にて生産された。

【主要スペック】 1957年 トヨペット コロナ (型式ST10)
全長3912㎜・全幅1470㎜・全高1518㎜・ホイールベース2400㎜・車重960kg・FR・S型水冷4気筒SV995cc・最高出力33ps/4500rpm・最大トルク6.5kgm/2800rpm・全長3912㎜・全幅1470㎜・全高1555㎜・ホイールベース2400㎜・車重960kg・FR・S型水冷4気筒SV995cc・最高出力33ps/4500rpm・最大トルク6.5kgm/2800rpm・サスペンション:前ダブルウイッシュボーンコイル/後:リジッド半楕円リーフ・変速機3速コラムMT・4輪ドラムブレーキ・電装系12V・乗車定員4名・最高速90km/h・販売価格64万8500円(スペアタイヤ・工具一式付)


●1957年7月発行 トヨペット コロナ 販促用ポストカード
自動車史研究の第一人者だった五十嵐平達氏によると、この紺ルーフ、クリームボディにグリルのクロームメッキ仕上げはこの写真の広報用車両のみで、市販車両は淡いグリーン、グレイ等の地味なカラーばかりだったという。魔法使いのような女性のファッションに注目。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ポストカード


●1957年7月発行 トヨペット コロナ 簡易カタログ (縦15×横15cm・3つ折)
トヨタ カタログNo.392。冒頭に「新小型乗用車トヨペット・コロナの発売について」の一文が掲載されており、カタログナンバーが若いことから一番最初に配布されたカタログと思われる(この時期のトヨタの3桁カタログナンバーは基本的には発行順に付されていると思われる)。表紙の黒い犬は同時期のクラウンのカタログにも頻繁に登場する当時のトヨタのマスコット・キャラクター。
$1959PORSCHE356Aのブログ-57簡易表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-57簡易1中文章
$1959PORSCHE356Aのブログ-57簡易2中
裏面スペック
$1959PORSCHE356Aのブログ-57簡易3スペック


●1957年7月発行 トヨペット コロナ 本カタログ(1) (縦16.5×横30cm・12頁)
トヨタ カタログNo.396。初代コロナ最初の本カタログ。
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本表紙
中頁から
また黒い犬が登場
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本1中犬
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本2中
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本3中
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本4中
33psエンジン
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本5中エンジン


●1957年7月発行 トヨペット コロナ 本カタログ(2)(縦16.5×横30cm・12頁)
トヨタ カタログNo.396。上のカタログと裏面に印字された3桁のトヨタ・カタログナンバーは同じだが、表紙右下コロナの文字の上にダットサンの25馬力に対して高出力であることをアピールする「33馬力」の印字が加えられた改訂版。表紙の印字追加以外は全く同じカタログ。
$1959PORSCHE356Aのブログ-57本その2表紙


●1957年7月発行 トヨペット コロナ 簡易カタログ (縦13×横24.5cm・4つ折)
トヨタ カタログNo.397。カタログナンバーからすると上の本カタログNo.396と同時発行の簡易カタログと思われる。この表紙にも黒い犬。
$1959PORSCHE356Aのブログ-57簡易2黒犬表紙


●1958年4月発行 トヨペット コロナ 本カタログ (A4判・12頁)
トヨタ カタログNo.532。デビュー9ヵ月目にしてマイナーチェンジ。エンジン出力や機構はそのまま、サイドモールが付きフロントフード先端のオーナメントが変更されたほか、ドアハンドルを引っ張り式からプッシュボタン式に変更。
$1959PORSCHE356Aのブログ-58本表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-58本1中
$1959PORSCHE356Aのブログ-58本2中室内
ドアハンドルをプッシュ式に変更
$1959PORSCHE356Aのブログ-58本3中プッシュ式ドア


●1958年4月発行 トヨペット コロナ 簡易カタログ (縦13×横24.5cm・4つ折)
トヨタ カタログNo.518。カタログナンバーは本カタログより若い。表紙画は本カタログの中の家族でピクニックするイラストを流用している。
$1959PORSCHE356Aのブログ-58簡易表紙


●1959年10月発行 トヨペット コロナ 本カタログ (A4判・12頁)
トヨタ カタログNo: 印字なし。1959年8月にデビューした初代ブルーバードに対抗して、エンジンをOHVのP型水冷直列4気筒997ccに換装(最高出力45PS/5000rpm・最大トルク7.0kgm/3200rpm・最高速105km/h)したPT10型。初代コロナ2回目のフェイスリフトでフロントオーナメントを再度替え、フロントグリルをメッシュ模様に変更。また、後席寸法を拡大して乗車定員も4名から5名に増加。翌1960年4月に2代目PT20系コロナにフルチェンジしたため、この初代最終1960年型は僅か半年しか生産されていない。
$1959PORSCHE356Aのブログ-59本表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-59本1中
$1959PORSCHE356Aのブログ-59本2中
45psエンジン
$1959PORSCHE356Aのブログ-59本3中45psエンジン


●1958年4月発行 トヨペット コロナライン 本カタログ(A4判・2つ折4頁)
トヨタ カタログNo.535。車両型式ST16V。トヨタではかつて商用車にバンではなく「~ライン」という独自の名称を用いた。ピックアップも存在した2代目コロナまでコロナラインの名称が続き、3代目からは単にコロナバン/ピックアップの名称に変更された。初期のセダンに対応する1957年式のコロナラインは存在せず、この最初のマイナーチェンジの1958年に登場?
$1959PORSCHE356Aのブログ-58ライン表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-56ライン中頁


●1959年10月発行 トヨペット コロナライン 本カタログ(A4判・8頁)
トヨタ カタログNo.595。車両型式PT16V。セダンのマイナーチェンジに従いエンジンを97cc45psに換装しフロントグリル等の外観もセダン同様のフェイスリフトを受けた。僅か半年の生産で2代目コロナラインにフルチェンジした。
$1959PORSCHE356Aのブログ-59ライン表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-59ライン1中
この時期のトヨタのカタログは未だイラスト中心だったが、このカタログには珍しく写真が1枚
$1959PORSCHE356Aのブログ-59ライン2中写真



★オマケ(その1): リーンレプリカ 1/43スケール 1957年 トヨペット コロナ タクシー
1977年発売。当時定価3000円。製品番号5番。ホワイトメタル製。車型シガレットケースの蒐集でも著名なJMACの故 佐久間達次氏による少量生産ブランド。書店売りの国産名車シリーズで最近発売されるまでは、初代コロナ唯一のミニカーだった。パトカー、消防指令車、ノーマル等のバリエーションあり。室内や窓ガラスも省略された素朴な造りながらズッシリと重く味わい深いミニカー。
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーンレプリカ(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーンレプリカ(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーンレプリカ(3)



★オマケ(その2): 国産名車 1/43スケール 1957年 トヨペット コロナ
オマケ1のリーンレプリカから30年以上の時を経てリリースされた史上2台目の初代コロナのミニカー。よい出来。書店売りの国産名車シリーズでこのようなミニカー化が少ない車種のリリースはありがたい。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ノレブ(1)
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★オマケ(その3): 関東自動車工業特注 1/20スケール 1959年コロナライン 金属模型
全長19.5cm。金メッキのよくある車型シガレットケースではなく、ハンドル・シート等の室内まで造り込まれた模型。シガレットケースのようにルーフが外れない完全な展示用模型で、はんだ付けにより組上げられた細部は真鍮製?後の2代目コロナラインや3代目コロナバンでは通常のアンチモニー製シガレットケースが出された。
$1959PORSCHE356Aのブログ-コロナライン置物(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-コロナライン置物(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-コロナライン置物(3)



★オマケ(その4): トヨタ博物館の1957年初代コロナ走行映像
駐車場に2台並んでいるのは2代目コロナ(左)と3代目コロナ(右)


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