★1972年の春、私が中学に上がった時、同じ中学の2つ上にK先輩がいた。
K先輩はスパニッシュギターの名手で「アルハンブラ宮殿の思い出」(Recuerdos de la Alhambra)や「アストゥリアス」(Asturias)を軽々と弾きこなした。凄く憧れた。それで私もスパニッシュギターをかじることになるのだが、翌1973年にはビートルズの洗礼を受けたためエレクトリックギターに興味が向いてしまった。そんな状況の中で中途半端ながらも、K先輩が弾いていて憧れた曲は自分でもどうしても弾いてみたい衝動に駆られて為せば成る式に猛烈に練習して一通り弾きたい曲をマスターしたのだった。
K先輩は高校卒業後、本場のギターを学びにスペインに留学したのだが、帰国して間もなく自殺してしまった。K先輩の葬儀の日のことは今でもよく覚えている。瓦屋根の古い木造のK先輩の家の1階の居間にギターと棺がおかれていた。もしK先輩が自死していなければ一流のギタリストになっていたに違いない、と今でも思う。
●1973年3月 ブラザー楽器 広告
ブラザーは1928年(昭和3年)にミシンで出発したメーカーだが、戦後1956年(昭和31年)には自動二輪「ダーリン号」を出し、1970年代にはキーボードやギターといった楽器製造も行なっていた。これは、ブラザー楽器が雑誌に1頁全面フルカラーで掲載したガットギターの広告。
●アルベニス「セビリア」&タレガ「アラビア風奇想曲」 by porsche356A 1977
これは1977年、18歳(誕生日前なら17歳)の私の演奏。K先輩の影響で弾きたいと思ったスパニッシュギターの曲を為せば成る式に弾いていた頃のもの。1977年というと、エリック・クラプトンの武道館来日公演にも行った年だった。
●アルベニス「セビリア」 (Sevilla)
原曲はピアノ。ピアノで弾くよりもギターで弾く方が難易度は高いが、ギターで弾く方が華やかで曲が映える。エレクトリックギターで弾いた最初の触りだけの演奏。作者のイサーク・アルベニス(Isaac Manuel Francisco Albéniz y Pascual :1860年5月29日-1909年5月18日)は、スペインの作曲家・ピアニスト。
●「アラビア風奇想曲」 (Capricho Árabe)
近代ギターの祖と言われるタレガの情感溢れる名曲の一つ。タレガ(Francisco Tárrega:1852年11月21日-1909年12月15日)は、アルベニスと同時代に活躍したスペインの作曲家・ギタリスト。タレガはアルベニスより8歳年上ながらアルベニスと同じ1909年に57歳で没しており、2人共、19世紀後半から20世紀初頭の世界に生きた。
↧
★アルベニス&タレガ 私のスパニッシュギター ~ 1977年の音源から
↧