★北原さんに初めてお会いしたのは、1983年(昭和58年)の7月だった。
シンコーミュージックからブリキおもちゃの写真集を出版されたばかりで、当時よく通っていた南青山のアンティークトイ・ショップに北原さんが写真集を置きにみえていた。もう32年前のことだ。1948年(昭和23年)1月生まれで現在67歳の北原さんが当時は35歳、私はまだ23歳だった。翌1984年(昭和59年)の8月から9月にかけてその年にオープンしたばかりのプランタン銀座で開催されたブリキ玩具をメインとしたアンティークトイ・イベントの会場で再びお会いした。そのイベントは、やはり私が当時よく通っていた国分寺のアンティークショップでたまたま情報を聞いて行ったのだったが、あまり宣伝もされていなかったことと当時はまだ古いブリキ玩具に関心を持つ人は少なかったせいか会場に人影はなく閑散としていた。その時も北原さんはシンコーミュージックから出した写真集を自ら会場に置きにみえていた。会場には私と北原さんの2人きりで北原さんは私に名刺を差し出してくださった。北原さんが1986年(昭和61年)に横浜でブリキのおもちゃ博物館を開く前、まだ京橋で家業のスポーツ用品店をされていた頃のことで戴いた名刺にはキタハラスポーツ北原照久とあった。
★それから10年後、北原さんは1994年(平成6年)4月からテレビ東京系の「開運!なんでも鑑定団」に玩具系メインの鑑定士として出演され、相前後してディズニーコレクターでもあるポール・マッカートニーの来日時には世界的な玩具コレクターとしてディナーに招待されたりと、私にはすっかり遠い存在となってしまいました。
現在では横浜・箱根・河口湖・羽田等に常設の博物館を持ち、数年前に横浜の倉庫を移転した際には4トントラック109台が一杯になったという話ですからそのコレクションの量には驚きます。周知の通り、現在の北原コレクションはブリキのおもちゃを核としながら、時を経たブリキ製以外の玩具全般、企業グッズ全般、モーションディスプレイ、古時計・真空管ラジオ、映画関連のグッズ、古いポスター、古い漫画や雑誌、近現代作家作品、極めつけは佐島の海辺にある元皇族の所有だった超豪華な別荘まで、何であれ入手するものは「琴線に触れたもの」という方針によりその守備範囲は幅広く、しかも各々の分野で第一級と言えるコレクションを築き上げていることは驚くばかりです。北原さんが今日のように成功したのはブリキのおもちゃのコレクションを見せることをビジネスにするという誰も考えなかったことを実践したことと共に持ち前の前向きで明るい人柄にもよるものという気がしています。「お金は働いてまた稼げばいいから、2度と手に入らないような貴重なモノはちょっと無理しても買う」というようなことを言われていたのを覚えていますが、しかし、無理をするにも私のような庶民には限度があり趣味の出費には精々数百万円程度が限界でウン億の別荘ともなると幾ら無理をしても手が届かないでしょう。
★小田急百貨店新宿店 本館11階催物場にて2015年8月12日(水)~25日(火)まで北原さんの膨大なコレクションの中からセレクトした逸品を展示したイベント「北原照久 大コレクション展 必見!名品・珍品・お宝大集合」が開催されていると聞いて、昨日、8月16日(日)、バンドのスタジオ練習の帰りにギターを担いで観てきました(最終日以外は夜8時まで)。今回の展示はブリキなどのオモチャはもちろん、幅広いアンティークや生活雑貨、現代アート作品に至るまで合計約3,000点をカテゴリーごとに展示。展示以外にも絶版ミニカーなどの貴重なコレクターズアイテムや特注トミカリミテッドビンテージやグッズ類の販売コーナーもあるほか、北原さん自身による展示の解説や、トークショーなどのイベントも開催されています。会場内は撮影可となっており沢山写真を撮ってきましたが、全てを載せることは到底無理なので私自身が好きなクルマ関係を中心に厳選して掲載することにします。
●イベントのフライヤー(チラシ)
●会場入口
クルマは小型エンジン付の1916年子供向けブガッティ
店頭用企業物
貸本屋店頭ロボット・・・・・頭・耳・口に入った電球が光り頭上のアンテナを回転させ目玉を左右に動かして口を開閉するというギミック付。昭和30年代、貸本屋の店頭では物凄いインパクトだったことでしょう。
【会場内の展示】
スターウォーズ・マスク
グレムリン
北原さんのモノ集めのルーツ「万年筆」
北原さんが最初に買ったブリキのおもちゃ「消防車」・・・・門前仲町のオモチャ屋に売れ残っていたものを見つけて90円で買ったとのこと。
JTBポスター(戦前)
冨士自転車ポスター(戦前)
ドロップ缶各種
ディズニー物各種
ミッキーマウス他
キャラクター三輪車各種他
1960年代キャラクター物各種
キャラクターバイク各種
ビッグXラビットスクーター
戦前ブリキ各種
戦前ブリキ各種(その2)
クライスラーエアフロー?
昭和20年代のトヨペットSBとも似ているブリキのトラック
戦前ブリキ(その3:鉄道物他)
戦前ディーゼルカー箱付
戦前「僕の電車 高架線セット」箱付
キューピー各種
セルロイド各種
バービー人形各種
リカちゃん他
ロボット各種
怪獣ソフビ各種
国産車ブリキ各種・・・・このケースは横浜の坂本 隆さんという方が当時集められていたものをご遺族から譲り受けたものとのこと。コンディション抜群です。北原さんの場合はこうした寄贈をしてくださる人も多いようです。
イチコー1963年横目セドリック・・・・箱付スーパーミントです。
野村トーイ くろがねベビー
国産車ブリキ各種(その2)
萬代屋(現バンダイ)1959年クラウン警視庁パトカー・・・・この初版箱はレアです。
萬代屋(現バンダイ)メグロ他
マルサン1951年キャデラック他
巨大なアルプス製1952年パッカード・コンバーチブル
バンダイと米澤玩具のS4グロリア、旭玩具1962年クライスラーインペリアル、アルプス1957年クライスラーニューヨーカー等・・・・・スーパープレミアムブリキ自動車をあえて黒ボディで揃えたケース。このケースだけで箱付ミントなら500万円の価値はあるでしょう。
米澤玩具のクレージキャッツ3種
米澤1963年2代目クラウン「クレージーキャッツ」・・・・・このクラウンの箱付デッドストックは超レアです。
箱に描かれたクラウンのナンバーが1956となっていのは発売年1965のミスと思われます。
米澤クレージーキャッツバス
倉持商店コレクトーイ6個箱付・・・・・コレクトーイは単品では結構残っていますが6個箱はまずお目にかかれません。
大盛屋各種
大盛屋チェリカフェニックス2番の縦目セドリックバンは何と超レアな1962年式の2ndモデル
大盛屋チェリカフェニックス35番 横目セドリック東京駅構内タクシー
戦前ペダルカー4種(左からパナール、シトロエン、ルノー、ダットサン)
子供用ダットサン・・・・1930年代後半に日本橋のデパートで売られたもの。後部にバッテリーを載せた電動。全長2m位?子供のオモチャとしては巨大で本物のダットサンを一回りだけ小さくしたような印象です。
★オマケ(その1): 北原照久トークショー
2015年8月16日(日)新宿小田急11F催物場にて。1時間のトークショーのほんの一部だけです。
★オマケ(その2): 2013年 佐島邸でのライブ
50代でギターを始めた北原さん。幾つになっても思いたったらやってみるというチャレンジ精神は見習いたいです。ギターバトルなら私も北原さんに勝てるかも。
★オマケ(その3): 1983年7月に北原さんから購入したシンコーミュージックから発行された写真集「ブリキおもちゃ」
北原さんは当時35歳にしてよくもこれだけ集められていたと驚く。この本を見て初めてその存在を知ったブリキも多く、当時23歳の私は写真集に出ている日本車だけは全部集めようと思い立ったもののネットオークションなどなかった時代のこと、現在ヤフオクで頻繁に見かけるようなもの(萬代屋のマツダ三輪など)でさえ自分の限られた行動範囲では思うようには見つからず、元々レアな米澤玩具のオリエント三輪などは入手できるまでに15年位も時間がかかってしまった。
1983年7月20日の日付の入った北原さんのサインがされています。
★オマケ(その4): 米澤玩具 1/12.5スケール 1966年後期 セドリック スペシャル6 警視庁パトカー
全長37cm。当時定価600円。米澤製品番号No.408。1984年の夏、北原さんにキタハラスポーツの名刺を戴いたプランタン銀座のアンティークトイ・イベントの折にイベントと併設されたブリキ即売コーナーで購入した米澤玩具の130セドリック警視庁パトカー箱付デッドストック品。当時既にダイヤペット161番の130セドリックのパトカーは1万5000円位の高値が付いていたのに、この一度も見たこともなかったブリキは随分安い買い物でした。でも、その後、30年以上この米澤製130パトカーのデッドストック品は見かけないので結構レア物ではないでしょうか。
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★2015夏 北原照久さんの大コレクション展 新宿小田急 ~ 米澤130セドリックパトカー
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