☆☆☆☆☆☆☆今日は七夕。
織女と彦星が1年に1回だけ会うことが許された日ですね。
みなさんは短冊に何を書いてお願いをしましたか?
えっ、いい大人がそんな子供じみたことはしないって?
私はあのことをお願いしました。
私の自動車関係以外のブログも読まれている方ならお分りかもしれませんね。
そう、図星です。
それで、今日はスバル360の女性版のようなスバル360カスタムの記事です。
★今を遡ること55年前の1958年(昭和33年)3月3日に発表され、同年5月に発売されたスバル360は旧中島飛行機の技術者達が航空機と同レベルの注意を払って重量の低減と限られたスペースの最大利用を実現した世界に誇る軽自動車の傑作であり、デビュー翌年の1959年(昭和34年)8月にバリエーションとしてルーフ全体を開閉式のキャンバストップとしたコンバーチブルがデビューしたあと、同年10月の第6回東京モーターショーに後席シートを取り払い荷物置き場としてルーフ後半のみを開閉式キャンバストップとした上でBピラー以後の左右サイドウインドを可倒式とした貨客兼用の「スバル360コマーシャル」が展示され同年1959年12月より正式なバリエーションとして販売が開始されたことは本シリーズ141回目でご紹介した。
コマーシャルは、スバル360のボディをそのまま使用して市場拡大のため少々安易に急造された折衷型商用車であったため商用車としての実用性が低く売れ行きも芳しくなく、デビューから3年程を経た1963年(昭和38年)3月、スバル63年後期型へのマイナーチェンジの際にラインナップから外れた。
★スバル360コマーシャルの後継車として、1963年(昭和38年)8月15日に発売されたスバル360の本格的な貨客兼用車が「スバル360カスタム」。コマーシャルではスバル360の全体のフォルムには手が入らなかったものをカスタムはルーフを延長し2BOXスタイルの完全なバン/ワゴンボディとして登場した。カスタムの名称はデラックスな高級ライトバンという意味で名付けられ、前年1962年(昭和37年)9月に発売された2代目40系クラウンの2BOX高級ワゴンをクラウンカスタムと称したのと同じ形だった。同時期のセドリックではワゴンではなくデラックスより上の高グレードのセダンをカスタムと称していたのが興味深い。
★スバル360カスタムはスバル360をベースとしていたため全高・全幅・ホイールベースはスバル360とほぼ同じで全高のみ荷室高さ確保のため3cm高められていた。エンジン周りの補機類のレイアウトを商用車スバルサンバーと共通化してエンジン全高を抑えエンジン上の荷室の床を低くし、最大積載量は後席を折りたたんだ場合は250kgでコマーシャルより100kg増加した。4名乗車時でもコマーシャルと同じ150kgの積載を可能とした。後席を折りたたむ方法には2種類あり、荷室全体をエンジン上の床面と同じ高さのフルフラットとする方法と、後席を前席背面に折りたたみ後席部分を深い荷室とする方法とを選択出来た。リアゲートは跳ね上げ式で上部に大きく開閉しコマーシャルより遥かに実用的となった。高級なライトバンを意味する「カスタム」の車名の由来が示す通り、当初のグレードはデラックスのみでスタンダードは2年以上遅れて1965年(昭和40年)12月に追加され、その際にカタログ上の車名は「360」が取れて「スバル・カスタム」に変更されている。スバル360カスタムは内外観の変更やエンジン出力のアップを経て1970年(昭和45年)に後継車スバルR2バンにバトンを渡すまで約7年に亘り生産された。1960年代の日本は一般庶民がクルマを複数持てるような時代ではなかったので、このカスタムは平日は配達などの商用、休日には家族でレジャーといったワゴン的な使われ方をされたケースが多かったのではないだろうか。
★★★ スバル360カスタムの主な変遷 ★★★
・1963年(昭和39年)8月15日: 新発売・エンジン出力18ps
・1964年(昭和39年)7月: ①リア側面のエアインテークとテールライトの形状変更②ガソリン・オイル混合を完全分離潤滑のスバルマチックに変更③エンジン出力を20psにアップ
・1965年(昭和40年)12月: ①車名から360が消え「スバル・カスタム」となる②スタンダード・グレード追加
・1967年(昭和42年)9月: ①サイドウインカー、バックライト(DXのみ)追加②ダッシュボード、ホーンボタンを安全性の高い黒色パッド化
・1968年(昭和43年)9月: ①フロントフード・スリット廃止②エンジン出力を25psにアップ(最高速も95km/hにアップ)③オーバートップ装着
・1969年(昭和44年)7月: ハザードランプ、シートベルト、非常信号灯装備
【主要スペック】 1963年 スバル360カスタム (型式K142)
全長2996㎜・全幅1300㎜・全高1390㎜・ホイールベース1800㎜・荷台長1123㎜・荷台幅1050㎜・荷台高952㎜・車重450kg・RR・EK32型強制空冷2サイクル直列2気筒356cc・最高出力18ps/4500rpm・最大トルク3.2kgm/3000rpm・乗車定員4名・最大積載量250kg(2名乗車時)・燃費24km/L・最高速85km・販売価格38万円
●1963年8月発行 スバル360カスタム 簡易カタログ(A4判・2つ折)
初期はタイヤのホワイト・ウォールが幅広い
●1963年8月発行 スバル360カスタム 本カタログ(A4判・8頁)
※中頁から
荷室使用パターンの説明
※裏面スペック
●1964年7月発行 スバル360カスタム 簡易カタログ(A4判・2つ折)
20psにアップ・スバルマチック採用
●1964年7月発行 スバル360カスタム 本カタログ(A4判・12頁)
※中頁から
背景のビルにリコーの看板、撮影場所はどこでしょう
●1965年8月発行 スバル360カスタム 本カタログ(A4判・8頁)
※中頁から
短命だった黄色塗装時代の山手線と奥の青と橙は小田急?場所はどこでしょう
●1965年12月発行 スバル・カスタム 簡易カタログ(A4判・2つ折)
スタンダード追加・車名から「360」が取れる
●1965年12月発行 スバル・カスタム 本カタログ(A4判・12頁)
※中頁から
追加されたスタンダード
1960年代を知る世代には丹頂鶴型の電話ボックスが懐かしい
●1966年9月発行 スバル・カスタム 簡易カタログ(A4判・2つ折)
インパネが光を反射しないエンボス鋼板に変更・フェンダーミラー取付位置を4cm後方へ移動
●1966年9月発行 スバル・カスタム 本カタログ(A4判・12頁)
※中頁から
商店の軒先にも駐車できるスバル
●1967年9月発行 スバル・カスタム 簡易カタログ(A4判・2つ折)
丸型サイドウインカー・バックライト(DX)追加
●1967年9月発行 スバル・カスタム 本カタログ(A4判・12頁)
※中頁から
「縦列駐車も楽チンです」の図。前の赤はスバル1000、後ろのシルバーブルーはベレットGT
●1968年9月発行 スバル・カスタム 本カタログ(縦26.5×横21cm・12頁)
25psにアップ・フロントフード・スリット廃止
※中頁から
海岸沿いの狭い道だって走れます
●1969年7月発行 スバル・カスタム 本カタログ(縦26.5×横21cm・12頁)
一見1968年9月発行版と同じだが、表紙にあったNEWの文字がなくなり中頁にはハザードランプ等の保安基準改正に伴う装備が追加されている。これがカスタム最後のカタログとなった。
※中頁から
保安基準改正対応による変更頁
★オマケ(その1): エブロ 1/43スケール 1963年スバル360カスタム
スバルカスタムの当時物モデルカーは富士重工の特注品も含めて存在しない(と思う)。近年になって往年の名車としてカスタムのミニカーが幾つか出ている。エブロ製はホイルキャップの表現が悪く、出来はイマイチ。他にトミカ・リミテッド・ヴィンテージで1/64スケールが出ている(倉庫に仕舞ってしまい写真は撮れませんでした)。
★オマケ(その2): ユージン 1/43スケール 1967年スバル・カスタム
フロントサイドウインカーの付いた1967年型。2005年にユージンのガチャ玉で売られた組立キット「名車列伝スバル360コレクション」の1台だが、高価なエブロ以上に実車イメージの把握が上手い気もする。
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★1963年 スバル360カスタム スバル最初のワゴン 七夕 ~自動車カタログ棚から 151
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