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Channel: ポルシェ356Aカレラ
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★1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ 伝説のアルファ ~ 自動車カタログ棚から 259

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今日、2015年3月14日は北陸新幹線開業、ブルートレイン北斗星の定期運行終了、上野東京ラインの開通と鉄道関係の話題が盛り沢山です。北陸新幹線の開業は個人的には好きなナローゲージ立山砂防軌道へ少し行きやすくなるのが有難いです。3月14日と言えばホワイトデーでもありますね。私はチョコを義理でさえ貰っていないのですが(←悲惨)、人にプレゼントすることが好きなのでクッキーを沢山買って誰かにプレゼントしたいなあという衝動に駆られます。しかし今年はホワイトデーもうっかり忘れてしまいそうな程、鉄道の話題で持ちきりですね。そんな今日は鉄道関係の記事をアップするのがタイムリーだと気付いたのは後の祭りで、今回も自動車カタログの記事です。(汗) 


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★もしも神様から、「君の好きなクルマを新車の状態で10台プレゼントしよう。クルマの生産された年代は問わない、但し市販車に限る。もし昔のクルマが欲しかったらタイムマシーンに乗って新車を買って持ってくるから。」と言われたら、あなたならどんな10台を選ぶでしょうか?

私が選んでみたのは以下のラインナップです。本当は日本車では日野コンテッサ1300クーペ、初代スバルサンバー・バン、2代目涙目テールのクラウン、初代後期横目のセドリック、ハチマキグロリア、1960年後期型スバル360、マツダR360クーペ、コスモスポーツ、スカイラインS54Bなど、外国車ではジャガーEタイプ、アストンマーティンDB5、ランボルギーニ・ミウラ、ロータス・ヨーロッパ、フェラーリ250GTO、C2コルベット、ロールスロイス・ファントムⅥなどまだまだ欲しいクルマはあるのですが欲を出すとキリがないのでスポーツカーを中心に10台だけに絞ってみました。10位を除き1970年代以降のクルマが1台もないのは自分が幼い頃に憧れたクルマが今でも一番好きということと1960年代までのクルマには言い知れぬ独特の色香を感じるからです。

【第1位】 1959年 ポルシェ356Aカレラ1600GS-GT

【第2位】 1967年 ポルシェ911Rもしくは911S

【第3位】 1964年 ポルシェ904カレラGTS

【第4位】 1965年 いすゞベレット1600GT (PR90)

【第5位】 1967年 トヨタ2000GT (MF10前期)

【第6位】 1967年 ダットサンフェアレディ2000 (SR311前期)

【第7位】 1966年 ダットサンブルーバード4ドア1600SSS (DR411R後期)

【第8位】 1959年 アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ (101系)

【第9位】 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ

【第10位】 2015年 ポルシェ911GT3 RS (991型)


10台中、4台はポルシェ。1~3位はヴィンテージ・ポルシェ。10位は神様から貰う10台全てが1960年代以前の古いクルマでは幾ら神様がタイムマシーンで新車を持ってくるとは言っても普段の足として現代の路上で乗るには何かと不便もあるだろうと考えて2015年のジュネーブショーでベールを脱いだばかりのNA最強かつ最新の911。ちなみに2台だけに絞るなら1位と10位の新旧のポルシェの組み合わせがベストということになります。
10位内にランクインした日本車では一番好きなベレGの1965年型がポルシェの1~3位に次ぐ4位(ベレGはツインカムのGTRより内外観が優美な1965年型の方が好きなのです)、5位はトヨタ2000GTの前期、6位はスパルタンな魅力に溢れたオープンスポーツSR311初期型ローウインド、7位はブル411SSS後期(最終型)と続きます。
そして、8位と9位はアルファロメオ。8位のジュリエッタ・スプリントは溜息が出る程の美しさから一番好きなアルファ(本シリーズ第39回記事参照)。9位のジュリアTZは3位のポルシェ904同様にスポーツカーというよりレーシングカーですが歴代アルファのコンペティション・マシンの中ではコンパクトでグラマラスなボディが最も魅力的な1台。

・・・・・という訳で、今回の自動車カタログ棚シリーズはこのアルファロメオ・ジュリアTZをピックアップします。



★アルファ・ロメオは1300ccのジュリエッタに代わり1962年(昭和37年)夏に1600ccのジュリア・シリーズをデビューさせた。1600となったジュリアのエンジンは1300のジュリエッタ時代と同様に基本的に1種類のみの4気筒DOHCで、チューニングの違いにより、92ps、106ps、112psの3種類が存在した。
ボディは基本となる4ドア5座のセダンTI、2ドアクーペボディのスプリントGT(本シリーズ第220回記事参照)、ジュリエッタ時代のボディを流用して1600ccエンジンを載せたベルトーネ・デザインのSS(スプリント・スペチアーレ)とピニンファリーナ・ボディのスパイダー、そして今回のテーマであるザガート・ボディのレーシング・クーペ「TZ」が存在した。最もハイチューンの112psはこのTZの他にSSとセダンTIスーパーにも載せられた。


★戦前、早くも1920年代からレーシングマシンを造り始めたアルファ・ロメオが1960年デビューのジュリエッタSZの事実上の後継車種としてデビューさせたモデルがジュリアTZである。永く純レーシング・マシンの製作から遠ざかっていたアルファが、レーシング・クーペを得意とする名門コーチビルダー「ザガート」の協力を得て完成させた。
エンジン、ギアボックスは基本的にジュリアと共通だが、フレーム、サスペンションについては全く新たに設計された。シャシーは他のジュリア系のプレス製フロア・ユニットとは根本的に異り、無数の細い鋼管チューブを熔接した軽く強靱なスペース・フレームで、これをザガート製のアルミニウム・ボディで覆っていた。ちなみにTZの車名の由来は「チュボラーレ・ザガート」であり、「鋼管フレームに載せられたザガート・ボディ」を意味する。サスペンションはフロントについては他のジュリア系と共通ながら、リアは全くの新設計で当時のアルファ系列では唯一の独立懸架であった。ファイナル・ユニットはゴムを介してパイプ・フレームに固定され、ホイールはロアー・ウィッシュボーンと固定長のハーフ・シャフトでちょうどジャガーEタイプやロータス・エランのように吊られていた。スプリングはダンパーを内蔵したコイルで、ロアー・ウィッシュボーンとフレームの間を結ぶ。ブレーキは全論サーボ付ディスクで、通常のジュリアのディスク径が前28.6/後24.6cm であるのに対しTZでは前28.4/後29.1cm に大径化してあり、後輪ではインボードになっている。ホイールベースがTIの2510mmやスプリントGTの2350㎜よりぐっと短い2200mmのTZのコンパクトなボディは、車重660kgと驚異的に軽く、112psエンジンとファイナル5.125 の標準仕様車でも最高速は220km/hをマークした。レーシング・シーンに於いてはセダンTIスーパーと同様、クロス・レシオのギアボックスとより高いファイナルレシオが選択され、最速モデルでは245km/hをマークしたと言われる。これは1.6ℓエンジン搭載車としては文字通り驚異的な高性能であった。


★ジュリアTZは発表と同時に1963年秋からスポーツカー・レースに参戦し、1964年のセブリング12時間耐久レースで総合13位、1300~1600cc級GTクラスでは1位となり、シチリア島で行われていた1964年のタルガ・フローリオでは2台のポルシェ904カレラGTS には及ばなかったものの全ての個人出場のフェラーリ250GTO(1964年のタルガ・フローリオにフェラーリはメイクスとしては公式参戦しなかった)を破り何と総合3位及び4位となった。
曲がりくねったアップダウンの激しい峠道を走る総延長720km、7時間余に及ぶタルガ・フローリオに於いて、3位のアルファ・ロメオ・ジュリアTZは1.6 ℓでありながら優勝した2ℓのポルシェ904カレラGTSに遅れること僅か16分、2位の904との差は4分足らずと大健闘した。ちなみにタルガ・フローリオに於けるメイクス別優勝回数はポルシェが最多で11勝(1960年代に於いてはポルシェが7回も優勝)、次いでアルファ・ロメオが10勝、3位がフェラーリの7勝であった。
アルファ・ロメオ・ジュリアTZは、その後、更にパワーアップしたTZ2に進化しル・マンその他のスポーツカーレースに於いて無数のクラス優勝を勝ち取った。TZの生産台数は120台以上と言われ、レーシングユースをメインとした車両としてはけっして少なくはない。


★TZの当時の販売価格はイタリア国内320万リラで当時の邦貨換算で186万円程度であった。
ジュリア・スプリントGTが当時イタリア国内219.5リラで邦貨換算127万円だった。ところが日本国内での正規輸入販売価格は関税その他の事情から現地邦貨換算価格の1.8倍に当たる231万円もしたので、もしTZが正規輸入されていたならば330万円以上のプライスタグが付けられていただろう。ちなみに1964年デビューのポルシェ904カレラGTSは西独国内では邦貨換算267万3000円とトヨタ2000GTの国内価格238万円プラス10%程度であり、904の抜きん出たクオリティと高性能を勘案すれば異例の低価格であったが、当時のポルシェ正規輸入代理店三和自動車の販売価格は700万円以上したとも言われる。


【主要スペック】 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ (1963 Alfa Romeo Giulia TZ)
全長3950㎜・全幅1525㎜・全高1200㎜・ホイールベース2200㎜・車重660kg・FR・水冷直列4気筒DOHC1570ccフロント縦置・圧縮比9.7:1・最高出力112ps/6500rpm・最大トルク13.5mkg/4200rpm・変速機5速MT・四輪ディスク・ブレーキ・四輪独立懸架・電装系12V・タイヤサイズ155×15・燃料タンク容量100L・乗車定員2名・最高速度220km/h・伊本国販売価格320万リラ




●1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ カタログ (A4判・伊仏英独4ヵ国語併記・表裏1枚)
ジュリアSSの前向き流し撮りカラー写真のカバーに入れられた多数のシート・カタログの一つ。車種によっては別に本カタログが出ているものもあるが、TZの公式印刷物はこれだけなのか、もっと立派な本カタログが存在するのか否かは不明。
63TZ(1)表面

63TZ(2)フロント斜めアップ

【裏面】
63TZ(3)裏面

63TZ(4)リア斜めアップ

伊語スペック
63TZ(5)イタリア語解説

仏語スペック
63TZ(6)フランス語解説

英語スペック
63TZ(7)英語解説

独語スペック
63TZ(8)ドイツ語解説

このような体裁でSSの表紙のカバーの中にアルファ各車の多数の1枚物シートカタログを入れて配布された1種の総合カタログ。
63「SSケース」




●1960年 アルファ・ロメオ・ジュリエッタSZ カタログ (A4判・伊仏英独4ヵ国語併記・表裏1枚)
TZの前身たるSZのシート・カタログ。これも4ヵ国語併記で表裏1枚の簡素なもの。SZは1290cc100ps最高速200kmと1.3ℓ級としては驚異的な高性能車。SZは1957年から1963年にかけて210台が製作され、そのうち、リアが垂直に切り落とされたコーダ・トロンカとされたSZ2は30台のみと言われる。カタログの表面はリアが丸味を帯びたSZ1の写真、裏面のテールエンドはSZ2の写真となっている。
60SZ(1)表面

【裏面】
60SZ(2)裏面

フロントのアップ
60SZ(3)フロントアップ

リア写真はコーダ・トロンカのSZ2
60SZ(4)リアアップ

英文解説箇所
60SZ(5)英文解説

英文スペック掲載箇所
60SZ(6)英文スペック





★オマケ(その1): アルファロメオ・ジュリアTZ 動画
貴重な当時の映像も見られます。




★オマケ(その2): 伊ポリトーイ 1/43スケール 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ
全長9.5cm。品番516。ダイキャスト製。ボンネット・ドア開閉アクション付。国内当時定価:調査中。1960年代に実車とリアルタイムに造られた魅力的なミニカー。私がTZを知ったのも好きになったのも、実はこのミニカーがあったためです。ポリトーイでは小スケールの「ペニー」(Penny)シリーズでもカングーロ等多数のアルファと共にこのTZをモデル化している。この時代はポリトーイの黄金期で宝石のような味わいがあり出来も良くとても魅力的。
ポリトーイ(1)

ポリトーイ(2)

ポリトーイ(3)

ポリトーイ(4)



★オマケ(その3): 伊ベストモデル 1/43スケール 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ
全長9cm。品番9059。ダイキャスト製。これは往年の名車としてリリースされた近年のミニカー。定価3000円程度。
ベストモデル(1)
ベストモデル(2)

当時のライバル「ポルシェ904カレラGTS」(ミニチャンプス製)との2ショット。
ベストモデル(3)904と共に



★オマケ(その4): デルプラド 1/43スケール 1964年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ1
全長9cm。書店売りの分冊百科デルプラド・シリーズの1台。ダイキャスト製。これも近年のミニカー。デルプラドと言うと造りが安っぽいイメージもあるが、なかなか巧く実車の雰囲気を再現している。
デルプラド(1)

デルプラド(2)

デルプラド(3)



★オマケ(その5): アシェットコレクション 1/24スケール 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリアTZ
全長16cm。イタリアの分冊出版アシェット・イタリアと自動車月刊誌「QUATTRORUOTE」(クワットロルオーテ)の共同企画でアルファ・ロメオ創業100周年を記念してリリースされたアルファ・ロメオの1/24モデルカーに薄い解説ブックが付いたシリーズの1台。ダイキャスト製。正規輸入はされていないが、イタリア雑貨等の専門店が少数を輸入している。
24スケール(1)

24スケール(2)

24スケール(3)

オマケ3のベストモデル1/43スケールとの並び。
24スケール(4)43とその1

24スケール(5)43とその2



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