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★1964年バンダイ ハンドルリモコン ホンダS500ビッグX ~玩具・模型カタログ棚から017

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★山科直治氏(1918年-1997年10月28日)が現在のバンダイの前身である萬代屋を起業したのは、1950年(昭和25年)7月5日、弱冠32歳の時であった。
自動車・飛行機・鉄道・船舶等の金属玩具(ブリキ玩具)の堅実な製品を多数リリースし、「あかばこシリーズ」(文字通り下箱が赤い紙で包まれていた)と呼ばれた良質な模型玩具製品群のヒットで起業10年に満たない1950年代末には既に国内玩具メーカーの中堅どころにまで成長していた。1960年代初頭にはメッサーシュミット・タイガーやツェンダップ・ヤーヌスといった当時世界的にみても極めてマニアックな車種選択がされた「世界の自動車シリーズ」がヒット商品となった(本シリーズ第16回記事参照)。


★1961年(昭和36年)5月、株式会社バンダイと社名を変更したのち、東京オリンピックの行われた1964年(昭和39年)にはハンドル操作で自動車等の本体を前後左右に電動走行させる「ハンドル・リモコンシリーズ」がヒット商品となった。
バンダイのハンドル・リモコンシリーズに対して米澤玩具(ヨネザワ)、一宏工業(イチコー)、増田屋齋藤貿易(マスダヤ)といったライバル各社からも類似商品が登場したが、バンダイ製品は種類が豊富でリモコン玩具市場を寡占する勢いのヒットとなった。プラモデルという言葉がマルサン商店の登録であったように、ハンドル・リモコンという言葉もバンダイの商品名でありながら一般に広く知られるところとなった。


★今回ご紹介するカタログは、ハンドルリモコンがヒットした1964年(昭和39年)のバンダイのもの。今年2014年からちょうど半世紀前のカタログ。カタログに発行年月を示す印字はないのだが、掲載されている価格表の中に「昭和39年9月より適用される価格」である旨の記載があり、発行は昭和39年(=1964年)の夏以前と思われる。
高さ51cmの巨大な犬のぬいぐるみの5000円など相当な高額商品であった犬のぬいぐるみシリーズだけがカラーで掲載され、その他は2色もしくは3色刷りとなっている。鉄腕アトム、鉄人28号、エイトマン、ゼロ戦ハヤト等のキャラクター商品も掲載されており、半世紀の時を経て現在では高額プレミアがついている製品も多い。皮肉なことに当時最も高価であったぬいぐるみ群にはプレミアが付いていないようだ。


★今回のカタログが発行されたと推定される1964年の夏というとアメリカでは4月にビートルズがヒットパレードの1位~5位を独占したあとで、日本では10月に東京オリンピックが開催される少し前という時期に当たる。私自身は当時まだ4歳の幼児であったのだが、この時代の特に自動車を中心とするバンダイ製品には何とも強烈な郷愁を感じる。




●1965年4月 バンダイ ビッグX  広告
東京玩具商報1965年4月号(国立国会図書館蔵)より。ビッグXが乗ったホンダS500のハンドルリモコン仕様:本記事オマケ1参照(都内500円・全国530円)とゼンマイ歩行のブリキ製ビッグX(都内380円・全国420円)。ホンダS500は、おそ松くんのイヤミが乗車したバージョンも販売された。
ビッグX広告



●1964年5月 バンダイ ハンドル・リモコン広告
東京玩具商報1964年5月号(国立国会図書館蔵)より。1964年5月発売の新製品として410ブルーバード(都内600円・全国630円)、RS41クラウン(都内750円・全国790円)、1959年トヨペットマスターライン救急車(全国660円)、鉄腕アトムが運転する三菱ジープ(都内500円・全国530円)の他、リモコンで歩くポニーといった珍商品も掲載。
645広告(1)

同上1964年5月号より。6月発売製品リモコン空中鉄人28号の他、リモコン空中鉄腕アトム、ウランちゃん、狼少年ケンといったバンダイのマスコミシリーズの広告。
645広告(2)キャラ



●1964年7月バンダイ ハンドル・リモコン広告 
東京玩具商報1964年7月号(国立国会図書館蔵)より。1964年7月の新製品としてリモコン歩行の鉄腕アトムとリモコン大ゼロ戦(都内850円、全国900円)が掲載されている他、1961年C1コルベット・三菱ジープ・フォードジャイロン・メルセデスベンツ300SLに鉄腕アトムが乗車した製品、2代目クラウン・UP10パブリカ・マツダキャロル・マツダR360クーペ・1959年マスターライン救急車・1961年トヨペットクラウン警視庁パトカーといった国産車に加えて独フォードタウナスとオペルセダンを掲載。
広告の右上に「問屋、小売店、デパート等でセールスする方々のために「バンダイのハンドル・リモコンが生まれるまで」のカラー・オートスライド(15分)を完成しました。御一報下されば御相談の上、係員が参上し映写致します。」と記載がある。もし現在もバンダイに現存するのであれば見てみたいものである。
647広告リモコン見開き



★1964年 バンダイ 総合カタログ (B4判・12頁)
カタログに織り込まれた価格表に「昭和39年9月から昭和40年1月までの売価」と印字があるので1964年夏頃の発行と推定。商品写真と小売価格(都内および全国)の掲載のみで残念ながらバンダイの商品番号は記載されていない。旭化成とタイアップして商品化されたシール同動物シリーズに始まり、赤ちゃん人形、乳母車、マスコミ玩具、電動玩具、世界の自動車シリーズの流れを汲むスケールモデルカー、ハンドルリモコンシリーズ、レーシングゲーム、HOレールセット、東京モノレール・セット、クリスマスツリーといった製品が掲載されている。例によって個人的な視点から抜粋して掲載します。
64表紙

【シール動物シリーズ】
この頁のみカラー
64(1)シール動物

【マスコミ・電動玩具】
64(2)マスコミ電動玩具

鉄腕アトム、鉄人28号、ゼロ戦はやと
64(3)アトム鉄人ゼロ戦隼人

エイトマン、忍者部隊月光ほか
64(4)エイトマン・月光他

NHKで高視聴率を誇った「ブーフーウー」
64(5)ブーフーウー

電動フォードサンダーバード、電動シボレーインパラ・ポリスほか
64(6)電動サンダーバード、シボレー他

キャデラック・オープン、VWビートル、鉄人28号スカイロケット、座席付き日航DC7-Cほか
64(7)キャディオープン・鉄人スカイロケット日航

電動VWタイプ2、電動1958年リンカーンコンテイネンタル・ポリスほか
64(8)タイプ2、58リンカーン


【スケールモデルカーの部】 (左:都内売価、右:全国売価)
・特大ダンプ(1500円・1650円)
・特大ミキサー(1500円・1650円)
・鉄人クレーン(760円・840円)
・いすゞエルフ・ダンプトラック(450円・490円)
・ビーシーダンプトラック(450円・490円)
・いすゞエルフトラック(330円・360円)
・M45タンク(450円・490円)
・プリンスグロリア・スーパー6 (1000円・1100円)
・大キャデラックセダン(800円・880円)
・ニュークラウンRS41(350円・380円)
・鉄腕アトム・フェラーリ(330円・360円)
・プリンススカイライン1500(300円・330円)
・マツダファミリア・バン(250円・270円)
・いすゞベレット1500(220円・240円)
・三菱コルト1000 (200円・220円)
・ニューブルーバード410(200円・220円)
・トヨタパブリカ(180円・200円)
・マツダキャロル(180円・200円)
・ホンダS500(150円・160円)
・大キャデラック・ハイウェイパトロール(800円・880円)
・大キャデラック・赤十字アンビュランス(800円・880円)
・中キャデラック・ハイウェイパトロール(330円・360円)
・ニュークラウン警視庁パトカー(320円・350円)
・トヨペット警視庁パトカー(220円・240円)
・フォルクスワーゲン・タイプ2赤十字(300円・330円)
・鉄腕アトム・スターレーサー(250円・270円)


【スケールモデルカー頁】(下部は乳母車)
64(9)スケールモデル乳母車

人気の高いプリンスグロリア・スーパー6、ファミリアバン、いすゞベレットほか
64(10)グロリア・ファミリアバン・ベレット

2代目クラウンRS41、三菱コルト1000、410ブルーバード、クラウンパトカーほか
64(11)クラウン・コルト1000他

いすゞエルフ、スカイライン1500デラックス、マツダキャロル、ホンダS500ほか
64(12)エルフ・スカイライン1500S500他



【ハンドルリモコン・シリーズ】 (左:都内売価、右:全国売価)
フリクション駆動として発売されたバンダイ製スケールモデルの多くがハンドル・リモコンとして発売された。国産車ではプリンスグロリアスーパー6、スカイライン1500、ホンダS500、三菱コルト1000、マツダファミリアバンあたりはハンドルリモコンとしては発売されていない。

・リモコン大キャデラックセダン(2200円・2300円)
・リモコンC2コルベット・ポリスカー(2100円・2200円)
・リモコン白バイ(1000円・1050円)
・窓上下開閉リモコン・フォードジャイロン「鉄腕アトムドリームカー」(700円・740円)
・リモコンC1コルベットオープン「鉄腕アトムスポーツカー」(500円・530円)
・リモコン三菱ジープ「鉄腕アトム」(500円・530円)
・サイレン付リモコン・メルセデスベンツ・ポリスカー(720円・760円)
・サイレン付リモコン・オペルレコード・ファイアーチーフカー(720円・760円)
・サイレン付リモコン・1959年トヨペットマスターライン救急車(630円・660円)
・テールライト点滅リモコン・ニュークラウンRS41(750円・790円)
・テールライト点滅リモコン・いすゞベレルタクシー(720円・760円)
・フード開閉リモコン・フェラーリスーパーアメリカ(800円・840円)
・プレイマップ付リモコン・マツダR360クーペ(800円・840円)
・リモコン1959年トヨペットマスターライン・ピックアップ(630円・660円)
・サイレン付リモコン1961年トヨペット警視庁パトカー(570円・600円)
・リモコン1964年ニューブルーバード410(600円・630円)
・リモコン1964年いすゞベレット(600円・630円)
・プレイマップ付リモコン・マツダキャロル(820円・860円)
・リモコン独フォードタウナス(450円・480円)
・リモコン・シャベルトラクター(1000円・1050円)
・リモコン・シボレーリフトダンプ(900円・950円)
・砲塔左右回転リモコン原子力戦車(850円・900円)
・リモコン・タイガーレーサー(720円・760円)
・リモコン戦闘機「飛燕」(価格未記載)
・リモコン大ゼロ戦(850円・900円)
・ビニール製プレイマップ(200円・200円)


【ハンドルリモコン頁】
64(13)ハンドルリモコン

大キャデラック、いすゞベレルタクシーほか
64(14)キャデラック・ベレルタクシー他

C2コルベット(市販品はポリスカーバージョンとなる旨が記載されている)、マツダR360クーペほか
64(15)C2コルベットR360他

白バイ、トヨペットマスターライン救急車、マスターライン・ピックアップほか
64(16)白バイ・マスターライン

410ブルーバードほか
64(17)410ブル他

マツダキャロルほか
64(18)キャロル他

ゼロ戦ほか
64(19)ゼロ戦他


【レーシングカーセット・HOレールセット・東京モノレールセット】
64(20)レーシングセットHOセットモノレール


【価格表】
スケールモデル他
64(21)スケールモデル他価格表

リモコン各種
64(22)リモコン価格表





★オマケ(その1): バンダイ ハンドルリコモンシリーズ 1/18スケール1964年ホンダS500「ビッグX」
全長19.5cm。当時定価:都内500円、全国530円。バンダイ製ホンダS500の手押しフリクション仕様は都内150円・全国160円だったのでリモコン仕様はキャラクター人形を乗車させたとは言え、フリクション仕様の3台分以上の高額商品だった。このリモコンを買うなら、S500フリクション仕様のカラーバリエーション3色(赤・青・オレンジ)が揃ってオツリがきた計算になる。リモコンのような電動玩具は想像以上に高価だった。
S500(1)

S500(2)

S500(3)



★オマケ(その2): バンダイ ハンドルリモコンシリーズ 1/15スケール 1962年マツダキャロル
全長20cm。当時定価:都内820円、全国860円。バンダイ製キャロルの手押しフリクション仕様はモノトーンの珊瑚色、ブルー、クリームの3色が発売されたが、ハンドルリモコン仕様はクリーム/オレンジ、クリーム/ブルー、クリーム/ライトグリーン、クリーム/赤等のツートンカラーでリリースされ実車のデラックスを彷彿とさせる。ハンドルリモコン仕様は手押しフリクション仕様のキャロル(都内180円)を4台買ってオツリがくるという高額商品だった。リア左右のテールライト兼ウインカーがハンドルを切ると実車さながらに点滅する。このクリーム/オレンジのキャロルは1978年に巣鴨の玩具店で発掘したもの。当時18歳だった私は強烈な懐かしさに胸が震えた。でも考えてみれば、1978年当時このキャロルは僅か13~14年前の玩具であった訳で、2014年現在で言えば2001年か2002年の21世紀初頭の玩具を発見して感動するのと時間差的には同じ計算となる。しかし、現在21世紀初頭の玩具を発見して感動するなんてことは絶対にない気がする。もし現在私が10代であれば1978年の私と同じように21世紀初頭の玩具が懐かしくて感激することもあるのだろうか。
キャロル(1)

キャロル(2)

キャロル(3)



★オマケ(その3): バンダイ ハンドルリモコン 1/15スケール 1963年 C2コルベット・スティングレイ・ポリスカー
全長31cm。当時定価都内2100円、全国2200円の超高額商品。通常のハンドルリモコンと異なる実車のダッシュパネルを模した巨大なリモコンにより操作。リモコンは付属のベルトで腰に付けて遊ぶ。前後可動と同時にヘッドライト、テールライトも点灯する。しかしリモコンはラジコンと異なり、どこまでもクルマに付いていかなければならない。このリアウインド2分割の初期型C2コルベット・ポリスはノーマルバージョンをリリースしたイチダ製造のバンダイブランドでの販売商品。バンダイでは後にポケット・リモコンの小サイズでもC2コルベットをリリースした。
コルベット(1)

コルベット(2)

コルベット(3)



★オマケ(その4): バンダイ ハンドルリモコン 1/18スケール 1966年130セドリック・カスタム6
全長27cm。当時定価:都内800円、全国840円。今回ピックアップしたカタログより2年程後のバンダイ製品。フロントグリルにはブリキに代わりプラスチックパーツが使用され、時代が若くなっていることが分かる。フロント周りはカスタム6だがリア周りはスペシャル6となっている。1967年にはハンドルリモコンの爆発的なブームは過ぎリモコン人気は下火となったが、バンダイではハンドル・リモコンを定番商品と位置付け1970年代に入っても初代フェアレディZ、初代セリカ、サメブルHTなどのリモコン仕様をリリースした。
セドリック(1)

セドリック(2)

セドリック(3)



★オマケ(その5): バンダイ ハンドルリモコン プレイマップ
当時定価200円(都内・全国共)で売られたハンドルリモコンで遊ぶための折り畳み式のビニール製の道路。広げると縦1.5×横3m位となる大きなもの。マツダR360クーペ等、マップ別売でなく当初からこのマップ付で売られた製品もあったが、200円価格が高くなるせいかマップ付での販売数は少なかったようだ。
プレイマップ



★オマケ(その6): 1964年 ビッグX オリジナルアニメ
上掲のオマケ1に掲載したホンダS500に搭乗する「ビッグX」(ビッグエックス)は、1963年(昭和38年)から1966年(昭和41年)まで月刊漫画雑誌「少年ブック」に連載された手塚治虫の漫画作品で、テレビアニメ版は1964年(昭和39年)8月3日から1965年(昭和40年)9月27日にTBS系列で放映された。私には感涙モノの幼少時に見た懐かしアニメのひとつ。



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