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★1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア GT ラテンの情熱 ~ 自動車カタログ棚から 220

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春爛漫、今日の東京はもはや夏のような陽射し晴れの1日でした。気づけば、もう今年も3分の1が終わろうとしています。もうすぐゴールデンウィークですね♪と言っても、今年は曜日の並びが悪く、暦どおりに平日は仕事だと後半4連休がせいぜいですね。仕事のある平日には記事をつくる時間がなく、この頃はすっかり週末のみの更新となっていますが、可能なペースで自動車カタログ棚シリーズ記事は続けていきたいと思います。


★1910年(明治43年)にミラノで創業したアルファ・ロメオ(Alfa Romeo)の1世紀を超える長い歴史 の中で、もし1台だけ選ぶとしたら、私はその類稀な美しさから迷うことなく1954年(昭和29年)デビューのジュリエッタ・スプリント(本シリーズ第39回記事参照)を選ぶのだが、現在のアルファ・ロメオの礎となったのは何と言っても1960年代に登場したジュリア・シリーズである。
戦前のアルファ・ロメオは例えば現代のフェラーリのように最先端の純レーシング・スポーツと高価な超高性能車を少量生産するメーカーであったのだが、戦後は量産メーカーに転じ、ジュリエッタやジュリア・シリーズを生産した。エンツォ・フェラーリは元々アルファ・ロメオのレーシング・マネージャーであり、戦後フェラーリの礎を築いたヤーノ、コロンボ等の中心的な技術者達もアルファ・ロメオの門下生であったことから、フェラーリはアルファ・ロメオから分家して戦前のアルファ・ロメオのポジションを引き継いだメーカーとも言える。
ジュリア・シリーズは1962年(昭和37年)6月27日、まずセダンTIがデビューし、翌1963年(昭和38年)にクーペボディのGTがデビューした。ジュリア・シリーズのヒットは、1962年当時、年産14000台程度であったアルファ・ロメオを1960年代末には年産10万台を超える規模にまで引き上げた。
戦後のアルファ・ロメオは戦前からのスポーツカー・ブランドとしての伝統を保ち、クーペやオープンタイプのスパイダーのみならず実用的なセダンに至る全車種にツインカム・ユニットが搭載されていた。日本で初めて乗用車にツインカム・ユニットが積まれたのは1963年(昭和38年)10月のホンダS500(本シリーズ第43回記事参照)でトヨタや日産の生産車へのツインカム搭載は更に数年の時を経た1960年代も終盤近くになってからのことであったから、1960年代当時、歴史の浅い日本車にとって長い栄光の歴史に彩られたアルファ・ロメオは遥か彼方の謂わば雲の上のような存在だったと言える。
和製アルファの別名を持つ、1964年デビューのいすゞベレットGTにしてもツインカム・ユニットの搭載は1969年(昭和44年)デビューのベレット1600GTR (本シリーズ本シリーズ第86回記事参照)まで待たねばならなかった。


アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGT(Alfa Romeo Giulia Sprint GT)は1.6リッターのツインカムエンジンを搭載して1963年(昭和38年)9月9日にデビューした。スカリオーネによる前代のジュリエッタ・スプリントに替わる新世代ジュリアのボディ・デザインは当時弱冠25歳だったジョルジェット・ジウジアーロ(1938年8月7 日-)の手によるもので1977年(昭和52年)に2000GTVの生産を終えるまで14年に亘り基本的なフォルムを変えずに生産された。
今日、ヒストリック・アルファと言うとこのボディが最も知られており、ジウジアーロの代表作の一つと言える。ジュリア・スプリントGTは1963年に稼働開始したアレーゼ工場で製造された最初のアルファであり、9月9日のプレス発表もアレーゼ工場にて行われた。
1965年(昭和40年)には2つのバリエーションが登場する。一つはジュネーブ・ショーでデビューしたジュリア・スプリントGTCでジュリアGTのルーフを取り去ったトゥーリング製オープン・ボディを持ち、1966年にスパイダーが発売されるまでの短期間に約1000台が生産された。もう1台はアムステルダム・ショーでデビューしたレーシング仕様のジュリア・スプリントGTAである。GTAの「A」は、イタリア語で軽量を意味する「アレッジェリ-タ」の略であり、ボディ外板の大部分をアルミ製に変更するなどにより約200kgも軽量化され、エンジンもツインプラグ化が為され、カタログ値では115psに留まるが、1964年に新設されたアルファ・ロメオのレース部門「アウトデルタ」のワークス仕様では160ps以上にチューンされた。GTAの生産台数は500台であった。
フロントノーズボディパネルとボンネット先端部とがフラットではなく段差が付いている1970年までの車両は「段付き」の愛称で親しまれている。段差はデザイン上のワンポイントともなっているが、実際に隙間が開いておりエンジン冷却等に実用上のメリットもあった。
ジュリアの名称は「ジュリエッタ」の姉の意味で、1300ccのジュリエッタに対して1600ccと排気量の大きいジュリアを姉としたが、日本ではいすゞ自動車が1962年にベレル(五十の鈴)をデビューさせた後、ベレルの妹の意味で1963年にベレットをデビューさせたのと似ている。
ジュリア・スプリントGTは伊藤忠オートにより輸入自由化されたばかりの当時の日本にも正規輸入された。GTAはレース用の特殊なクルマであるが、現在、日本にも少数が棲息している。現在の国内市場でGTAは1500万円オーバーのプライス・タグが付けられているようだ。


【主要スペック】 1965年 アルファロメオ・ジュリア・スプリントGT (1965 Alfa Romeo Giulia Sprint GT)
全長4080mm・全幅1580mm・全高1315mm・ホイールベース2350mm・車重990kg・FR・水冷直列4気筒DOHC フロント縦置ツインキャブ1570cc・最高出力106ps/6000rpm(DIN)・最大トルク14.2mkg/3000rpm・変速機5速フロアMT・4輪ディスクブレーキ・乗車定員4名・最高速185km/h・日本国内輸入価格231万円


●1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA 広報写真 (縦17×横23cm)
GTAはフロントグリルが軽量化のためメッシュとなり、ホイルキャップも付かない。グリル中央に輝くアルファの盾はGTよりも一回り小さい。
写真(GTA1)
写真(GTA2)
写真(GTA3)
GTA室内
写真(GTA4室内)


●1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGT 広報写真 (縦17×横23cm)
ノーマルモデルのスプリントGT
写真(GT白)


●1965年  アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTC 広報写真 (縦23×横17cm)
オープンモデルの1000台しか造られなかったGTC
写真(GTCオープン)


※ミラノのアルファ・ロメオ本社から日本に届いた際の封筒表面の印字。受取人は都内在住のエンスージャスト。消印は1964年7月3日。私の手元へはこの封筒にTZ等のプロトタイプも含む広報写真が多数入れられた状態でやって来たのだが、GTAとGTCはデビュー年からすると翌1965年に別便で日本に届いた写真と思われる。
写真(封筒1)
1964年7月3日ミラノの消印。もうすぐ半世紀が経つ。
写真(封筒消印)



●1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGT 本カタログ (縦20.5cm×横26cm・日本語8頁+)
伊藤忠オート発行の珍しい日本語版カタログ。撮影場所は江の島?
日本語表紙
中頁から
日本語(1)歴史解説
日本語(2)草原の中
日本語(3)江ノ島
日本語(4)3枚
フロントアップ: この寄り目がちのヘッドライトがチャームポイント
日本語(5)フロント
リアアップ
日本語(6)リア
各部解説
日本語(7)リア
強靭なサスペンション
日本語(8)サスペンション説明
スペック&図面
日本語(9)スペック&図面
裏面には伊藤忠の各事業所が印字されている。
日本語(10)裏表紙



●1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGT&GTA 本カタログ (縦22cm×横28cm・英文20頁+)
カー&ドライバーなど当時の自動車専門誌23誌の記事を抜粋して構成されたカタログ。辛口で知られた英誌も賞賛しているのが興味深い。裏面に伊藤忠オートの印があるので、当時日本国内で配布されたカタログ。商談客など冷やかしでない場合にだけ渡したカタログかもしれない。
英語表紙
中頁から
英語(1)ワインディング
英語(2)流し撮り
英語(3)真横
GTの室内
英語(4)GT室内
タコメーターは8000rpmまで、スピードメーターは220km/hまでの表示
英語(5)タコ8000スピード220
プラス2ではなく、大人が楽に2人座れるリアシート
英語(6)後席
トランクオープナーはドア断面にある。
英語(7)トランクオープナー
3ペダル
英語(8)ペダル
ツインカムエンジン
英語(9)ツインカムエンジン
差込着火式シガーライター
英語(10)差込式ライター
GTA解説頁
英語(10)GTA解説
英語(12)GTA写真
GTのスペック&図面
英語(13)GTAスペック図面
GTの顔
英語(15)GT図面顔
GTAのスペック&図面
英語(16)GTAスペック図面
GTAの顔
英語(17)GTA図面顔
裏表紙には伊藤忠の印
英語(18)裏表紙




★オマケ(その1): 伊ポリトーイ&伊マーキュリー 1/43スケール 1963年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGT
何れも実車とリアルタイムに発売されたイタリア製ダイキャスト・ミニカー。シルバーがポリトーイ、青メタがマーキュリー。ボンネット・トランク・ドアのフル開閉アクションにジュエル・ヘッドライトのポリトーイの出来が良い。どちらも1960年代当時、日本に正規輸入されたミニカーでカラーバリエーションは多数ある模様。1960年代のポリトーイ、メーベトーイ、マーキュリー等のイタリア製ミニカーは出来の良い魅力的なモデルが多い。
ビンテージ(1)
ビンテージ(2)
ビンテージ(3)
ビンテージ(4)



★オマケ(その2): 伊プロジェットK 1/43スケール 1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA&GTC
これは1990年代のイタリア製ダイキャスト・ミニカー。GTCはこれが唯一のミニチュアモデル?
プロジェット(1)
プロジェット(2)
プロジェット(3)
プロジェット(4)



★オマケ(その3): ミニチャンプス 1/43スケール 1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA
ダイキャスト製。これは最近の製品。図面を正確に縮小しているのかもしれないが、オマケ1の当時モノに比べて妙に前後が長くスマート過ぎるのが難点。ミニチャンプスからは1/18スケールでもGTAレーシングが出ている。
ミニチャンプス(1)
ミニチャンプス(2)
ミニチャンプス(3)



★オマケ(その4): アシェットコレクション 1/24スケール 1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA
全長17cm。ダイキャスト製。欧州で書店売りされ日本には正規輸入されなかったモデルだが、大スケールのフル開閉アクション付でとても魅力的なモデル。アルファにはラテンの情熱のような鮮やかな赤がよく似合う。
アシェット24(1)
アシェット24(2)
アシェット24(3)
アシェット24(4)
アシェット24(5)



★オマケ(その5): 伊プロジェットK 1/43スケール アルファ・ロメオ GTAJ1300 「1972年タルガ・フローリオ出場車」
オマケ2と同じメーカーのダイキャストモデル。これは1300だがイタリア国旗のトリコローレ・カラーがなかなかイケてるので掲載。タルガ・フローリオは1906年から1977年までの約70年間、シチリア島を舞台に行われた数々の逸話に彩られたロマンティックな公道レースでポルシェの通算11勝に次いでアルファ・ロメオは10勝の記録を残した。
タルガフロリオ(1)
タルガフロリオ(2)



★オマケ(その6): アルファ・ロメオGTA VS ポルシェ911 動画
アルファはGTA以外にTI、ポルシェは944も登場。911とGTAが戦った古き良き時代が蘇ります。私はポルシェ党ですが、アルファにも独特の魅力を感じます。




★オマケ(その7): アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA 動画
GTAのツインカムはいい音してます。


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