★感染爆発
オミクロン株をメインとする新型コロナの新規感染者数が劇的に増えています。都内でも新規感染者数は1日2万人が目前となっていますが、社会活動は止められていないため相変わらず電車やバスは混んでいます。現在、私は朝6時台前半に最寄駅を出るJR中央線に乗って都心に通勤していますが、その時間帯の電車は元々ガラガラだったのが、最近はそこそこ混むようになっています。考えることは皆同じということなのか、どうも感染リスクを考慮し、空いている早い時間の電車に乗る人が増えたためのようです☆☆
★地方へ避難しても危険
感染者の多い東京から山形・秋田・岩手・青森といった東北各県や山梨・長野といった人口密度の低い県(の出来れば山間部など)に避難するのが安全と誰しも考えますが、隠居の身でもなければ簡単に仕事を放り出して他県に避難する訳にもいかず、また、地方でも感染が爆発している現在の状況では例え地方に移り住んでも、食料品や日用品の買い出しで外出しない訳にもいかないため、他人と接触する機会がある限りは感染リスクをゼロには出来ないということになります。食料品なども宅配かつ対面で受け取らずに玄関脇に置いていってもらう置配として他人との接触を皆無にし、空気感染のリスクのあるエレベータの乗車や散歩などの外出も一切控えるという位に徹底すれば良いと思いますが、既に隠居暮らしであるとか完全にリモートワークが出来る仕事でもない限りはなかなか難しいでしょう☆
★閑話休題
今日は「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第158回記事として、イチコーと旭玩具のプリンス スカイライン スポーツをご紹介します。
当初、イチコーと旭玩具のスカイラインスポーツを別々の記事とする予定だったのですが、同じ記事で扱った方が両者の比較も出来るメリットがあるため、少々長くなりますが2社のブリキ製スカイラインスポーツを一気にご紹介することとしますne☆☆
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●プリンス スカイライン スポーツ
プリンス自動車は初代グロリアをベースにプレミアムスポーツを世に出すことを計画し、1960(昭和35)年5月、デザインをジョバンニ・ミケロッティ(Giovanni Michelotti ;1921年10月-1980年1月23日)、試作生産をカロッツェリアであるアレマーノ社に依頼しています(ミケロッティへ支払ったデザイン料は邦貨約290万円、アレマーノ社への製作料は邦貨約464万円とのことですが、現在の貨幣価値では概ね10倍程度でしょう)。デザイン及び製作の依頼から僅か半年後の1960年11月、第42回トリノショーにアレマーノ製の5座クーペ及び4座コンバーチブルが初公開されています。翌1961(昭和36)年3月に日本に上陸し赤坂プリンスホテルで報道関係者に公開された後、翌4月に千駄ヶ谷の東京体育館で一般向けに公開されています。そして、更に半年後の同年10月の第8回東京モーターショー(当時の正式名称は全日本自動車ショウ)にはアレマーノ製ではなくプリンス自社製作によるクーペとコンバーチブルが展示されています。手叩きによるハンドメイドボディだったため生産に時間がかかり、発売は更に半年後の翌1962(昭和37)年4月に開始されています。
販売価格 はクーペ185万円、コンバーチブル195万円(現在の貨幣価値では3000万円以上)と極めて高価で受注生産に近かったためプリンスが当初予定した250台は作られず、約60台(内コンバーチブルは20~25台)を生産して発売翌年の1963(昭和38)年には生産が中止されています。
●1960年プリンス スカイライン スポーツ クーペ 「ポストカード」(縦143×横103㎜)
プリンスが配布した第42回トリノショーに展示されたアレマーノ製試作車のオフィシャル・ポストカード。

●1960年プリンス スカイライン スポーツ コンバーチブル「ポストカード」(縦105×横143㎜)
これもプリンスが配布したアレマーノ製試作車のオフィシャル・ポストカード。

●1962年プリンス スカイライン スポーツ コンバーチブル「ポスター」(縦460×横730㎜)
色が飛んできていますが、貴重なプリンス発行のポスター。広報写真の1枚をポスターにしたもののようです。

●1962年プリンス スカイライン スポーツ 本カタログより抜粋(縦253×横257㎜・表裏含め16頁)

アレマーノ製試作車では運転席正面の速度計と集合の大径2連メーターだったのが丸型6連に変更され、レブカウンターが国産車で初めて装備されています。

カラーバリエーションはクーペ4色+コンバーチブル4色の計8色

図面+スペック

●永晃社の愛児絵本「じどうしゃ」表紙
B5判・12頁。絵:木内一郎 画伯。スカイラインスポーツが表紙に描かれた絵本は複数あり、この絵本では横浜新道の料金所(保土ヶ谷?)をバックにお母さんと男の子が乗った赤いコンバーチブルが描かれています。

●ウルトラQ 第22話「変身」より
1966(昭和41)年5月29日放送「変身」の一場面。ナンバー「品5な20・84」スカイラインスポーツ コンバーチブル。スカイラインスポーツと言えば、ウルトラQを思い出すという人も多いと思います。「わ」ナンバーのレンタカーを借りて撮影していたようです。ウルトラQはスカイラインスポーツの生産中止から3年後の放映のため、撮影時に既に3~4年落ちのレンタカーだったことになりますが、1台だけではなく複数台が使用されています。円谷サイドとしては少し年式が古いながらも手頃な予算で借りられてプレミアム感もあるクルマということでスカイラインスポーツを使用したのではないでしょうか。

●ウルトラQ 第28話「あけてくれ!」より
1967(昭和42)年12月14日放送「あけてくれ!」の一場面より。ナンバー「品5わ・129」のスカイラインスポーツ コンバーチブル。

●東宝映画「日本一の色男」より
植木等(1926年12月25日-2007年3月27日)主演、1963年7月13日公開・東宝映画の一場面に登場したスカイラインスポーツ コンバーチブル。

●東宝映画「君も出世ができる」より
フランキー堺(1929年2月13日-1996年6月10日)主演、1964年5月30日公開・東宝映画の一場面に登場したスカイラインスポーツ コンバーチブル。同じ東宝映画でボディカラーが同じ赤であることから、「日本一の色男」に登場したのと同じ車両だったのかもしれません。

【スカイラインスポーツの当時物 玩具・模型】
当時物はイチコー(一宏工業)と旭玩具製作所(アサヒ玩具)のブリキ玩具、旭玩具モデルペットの1/42スケールのダイキャストミニカー(No.15コンバーチブルとNo.16クーペの2種)、ケロッグのオマケの3インチサイズのプラ樹脂製ミニカー、プリンスオフィシャルのアンチモニー製煙草入れ(通常サイズ以外に小サイズ有)があります。残念ながらプラモデルは発売されておらず、木製キットも未確認です。
近年、往年の名車として、コナミの3インチ、Gクラブ(ガリバー)・エブロ・京商の1/43ミニカー、2021年9月には1/24国産名車コレクションVol.129として初の1/24スケールミニカーがリリースされています。
【1962年プリンス スカイライン スポーツ BLRA-Ⅲ型 実車主要スペック】 (1962 Prince Skyline Sport Typ. BLRA-Ⅲ Specification)
全長4650mm・全幅1695mm・全高1385mm(コンバーチブル1410mm)・ホイールベース2535mm・車重1350㎏(コンバーチブル1340㎏)・GB4型水冷直列4気筒OHV1862㏄エンジン・最高出力94ps/4800rpm・最大トルク15.6kgm/3600rpm・変速機4速コラムMT・最小回転半径5400㎜・最低地上高210㎜・電装系12V・燃料タンク容量40ℓ・乗車定員5名(コンバーチブル4名)・最高速度150km/h・新車販売価格185万円(クーペ)/195万円(コンバーチブル)
【イチコー&旭玩具 1/16&1/18スケール1962年プリンススカイラインスポーツ ブリキ製モデル玩具 主要データ】(1/16&1/18scale 1962 Prince Skyline Sport by Ichiko & Asahi Toy Tinplate model Toy KEY DATA)
・商品名: プリンススカイラインスポーツ(イチコー)、プリンススカイラインスポーツクーペ(旭玩具)
・製品番号(製品管理番号): 5762(イチコー)、3595(旭玩具)
・主要素材: ブリキ
・全長: イチコー285㎜(実車比1/16.3)・旭玩具260mm(実車比1/17.9)
・全幅: イチコー105㎜(実車比1/16.1)・旭玩具95mm(実車比1/17.8)
・全高: イチコー88㎜(実車比1/15.7)・旭玩具77mm(実車比1/18.0)
・ホイールベース: イチコー155mm(実車比1/16.3)・旭玩具140mm(実車比1/18.1)
・スケール表記: なし
・箱サイズ: イチコー 縦107㎜×横287×厚さ90mm・旭玩具 縦97㎜×横265×厚さ80mm
・動力: 後輪フリクション
・ボディ塗色: イチコー (1)赤/イエロークリーム (2)緑/イエロークリーム (3)青/イエロークリーム (4)ガンメタ 等、旭玩具(1)青銀メタ (2)白 等
・シャシー再現: 若干あり(イチコー・旭玩具共にデフやプロペラシャフト等の表現あり)
・発売時期: 1962(昭和37)年 7月?(イチコー)、4月(旭玩具)
・販売価格: イチコー 都内300円/地方最低小売330円(1965年に都内330円/地方360円に値上げ)、旭玩具 全国売価250円(旭玩具:1967年に全国270円に値上げ)
・入手難易度: イチコー10段階評価でレベル8~9程度、旭玩具10段階評価でレベル6~7程度
・2022年現在のアンティーク・トイ市場での推定評価額: イチコー22~35万円程度、旭玩具15~20万円程度(箱付未使用美品の場合、イチコーの1stモデルは高評価)
●東京玩具商報1962年11月号 掲載イチコー広告(筆者蔵)
いすゞベレル、マツダキャロルと共にスカイラインスポーツが全長・都内/全国売価の記載入りで掲載されています。何れも広告が掲載された1962年にデビューしたばかりの新車を一早くモデル化しています。製品画像ではなく実車画像を使用した広告となっているのが残念。

●イチコー1963年版カタログに掲載されたスカイラインスポーツ(同上)
品番、サイズ等と共に都内300円/地方最低小売330円の売価も記載されています。広告と同様に製品画像ではなく実車画像が使用されています。

●イチコー1965年版カタログに掲載されたスカイラインスポーツ(同上)
上掲の1963年版と基本的に同一ながら、売価のみ都内330円/地方最低小売360円に値上げされています。

●東京玩具商報1962年5月号 掲載 旭玩具広告(国立国会図書館の蔵書より複写)
旭玩具の名作と言える欧州製スポーツカー4車と共にスカイラインスポーツが「新発売」として掲載されています。実車の発売開始と同時期に旭玩具製品も発売されたことが判ります。


●旭玩具1963年版カタログに掲載されたスカイラインスポーツ(筆者蔵)
「NEW」=新製品として掲載されています。品名にはスカイラインの文字がなく、「プリンス・スポーツクーペ」と印字されています。

●アサヒ玩具1968年版カタログに掲載されたスカイラインスポーツ(同上)
(株)旭玩具製作所から(株)アサヒ玩具に商号変更された後のカタログ。価格が全国270円に上がり、品名はこれもスカイラインの文字はなく、「プリンス・スポーツカー」と印字されています。実車のデビューから6年を経た1968年に入っても旭玩具ではスカイライン スポーツの新車が売られていたことになります。

●イチコー1/16スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 赤/クリーム 1stモデル (箱付・メッキパーツにやや傷みあり)
1stモデルではホイールキャップが実車通りの意匠でホワイトウォールを付けた手の込んだパーツが付いています。前後のライセンスプレートの文字はフロントが「プリンス スポーツ」、リアが「SKYLINE SPORT」と異なるものが取付けられており、2種のプレートをアトランダムに取り付けていたものと思われます。イチコー製品では1stモデルではアンテナが付く例が多いため、この実車通りのホイルキャップを付けアンテナも付いた個体が存在するかもしれません。箱はこの英字表記のもの以外に日本語表記で絵柄も異なるものが存在しますが、現存するものはこの英字箱が多いようです。










1/64スケール コナミ(2005年10月発売製品)との大きさ比較


ダッシュパネルのプリントはアレマーノ製試作車の丸型2連メーターとなっています。



リアトレイにイチコーのロゴマーク。ルーフには工場出荷時のイチコーシールが貼られています。

実車通りの意匠にホワイトウォールが付く丁寧な造りの1stホイール

シャシー裏

●イチコー1/16スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 緑/クリーム 2ndモデル (箱無・美品)
2ndモデルでは、ホイールキャップが同じプリンスのS4グロリアのパーツに変更されています。しかし、リアにはアンテナパーツが付けられています。ライセンスプレートの文字は前後共「SKYLINE SPORT」となっています。





1/64スケール コナミとの大きさ比較


●イチコー1/16スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 青/クリーム 3rdモデル (箱無・美品)
2ndモデルと同様にホイールキャップがS4グロリアのパーツでリアのアンテナパーツが省かれています。ライセンスプレートの文字は前後共「プリンス スポーツ」となっています。





1/64スケール コナミとの大きさ比較


●イチコー1/16スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 3台の並び





●旭玩具1/18スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 青銀メタ (箱付・美品)
イチコー製と比べると一回り小さく、パーツも少なくあっさり仕上げられた旭玩具製。しかし、プロポーションは悪くありません。







1/64スケール コナミとの大きさ比較


イチコー製と同様、ダッシュパネルのプリントはアレマーノ製試作車の丸型2連メーターとなっています。


リアトレイにATCサンタ印の旭玩具ロゴマーク


シャシー裏

●旭玩具1/18スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 白 (箱無・錆有/塗装傷み)
欠品は無ながら、かなり錆が出ており要レストアの状態です。





1/64スケール コナミとの大きさ比較


●旭玩具1/18スケール1962年プリンス スカイラインスポーツ 2台の並び




●イチコー&旭玩具 1962年プリンス スカイライン スポーツ 大集合!!


手前のミニカーは1/64コナミと1/42モデルペット





箱2種(上:旭玩具、下:イチコー)



【参考】 近年のスカイライン スポーツ ミニカー大小2種
大は2021年9月にリリースされた1/24国産名車コレクションVol.129でドア開閉アクション付(全長約19cm)、小はエブロの1/43スケール(全長約11cm)。1/24国産名車は良く出来ていますが、実車とは異なる黒いフェンダーミラーが少々残念です。



室内はアレマーノ製試作車の丸型2連メーター


※スカイラインスポーツの実車カタログについては、2012年8月4日の「自動車カタログコレクションから」シリーズ第34回記事をご参照ください。
★オマケ(その1): 懐かしの商用車コレクションVol.29 1/43スケール 日産キャブオール1978年「望月肥料店」仕様
2022年1月26日(水)発売の新製品。例によって荷台の積荷がよく出来ています。この世代のキャブオールのモデル化は初めて(?)。




★オマケ(その2): トミカ新製品1/138スケール 三菱ふそうエアロスター江ノ電バス
江ノ電エリアサービス(株)が2022年1月20日(木)に販売開始した新製品。税込定価1台1000円。行先表示シールが4種類付属しており、4種類のシールを貼って1台だけシールを貼らずに保存するなら5台必要となります。Web通販分は既に完売していますが、藤沢・鎌倉・江の島の各江ノ電グッズショップではまだ販売しています。




藤沢の江ノ電グッズショップでは1人20台まで購入可の表示。都内のミニカーショップでは1台1500円程度で売られているため、1000円で買って20台売れば1万円儲かる計算となります。

江ノ電藤沢駅改札前の「江ノ電グッズショップ」

江ノ電・藤沢駅

★オマケ(その3): 今日の清志郎「傘がない」
今日はビートルズではなく、ジョンの魂を受け継いだ忌野清志郎(1951年4月2日-2009年5月2日)。陽水の代表曲の一つですが、清志郎バージョンはオリジナルを明らかに超えています。今年で没後13年、存命なら今年4月で清志郎71歳☆☆