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★1937年 ダットサン・トラック 戦前 ダットラの先祖 ~ 自動車カタログ棚から 244

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朝晩、急に冷え込むようになり何だか秋が駆け足でやってきたようです。
最初のブログ記事をアップしたのが2011年の10月15日でしたので、お蔭様で今日で丸3年となりました。早いもので4年目に突入です。
「自動車カタログ棚から」のシリーズを2012年6月に始めてからは段々とアクセスが増えるようになり、現在では本ブログをブックマークしてアクセスされる方が延べ月4万を超えるようになりました。今後も新しく始めた「玩具・模型カタログ棚から」のシリーズなどと共にマイペースで記事の更新を続けていこうと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします(#^.^#)

今回は自動車カタログ棚シリーズの244回目。戦前のダットサン・トラックです。ダットラと言えば、個人的にリアルに懐かしいのは320、520、620あたりなのですが、それはまた追々ご紹介することとして今回は最初のダットラです。
 



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★戸畑鋳物株式会社(現日立金属)を創立した実業家 鮎川義介がダット自動車の株式の大半を取得して1933年(昭和8年)12月に自動車製造株式会社を設立し、その翌年1934年(昭和9年)5月の株主総会で現在の日産自動車株式会社に社名変更されてから今年で満80年を迎えた(但し、日産のHPでは日産に社名変更された1934年ではなく自動車製造株式会社が設立された1933年12月26日を創立日としている)。
1937年(昭和12年)に米車グラハムペイジの生産設備を使用したニッサン70型乗用車(本シリーズ第84回記事参照)、ニッサン80型トラック(本シリーズ第84回記事参照)および90型バスを発売する以前の最初期の日産自動車の生産車は小型車ダットサン(セダン、フェートン、ロードスター、トラック、ライトバン)のみであった。その中から今回は日産初の商業車である戦前型ダットサントラックをご紹介します(戦前のダットサン・セダン系についてはついては第192回記事をご参照ください)。


★俗にダットラと言われるダットサン・トラックは、1935年(昭和10年)春にデビューしたカタログモデル「ダットサン14T型トラック」が起源と言える。
1931年(昭和6年)の最初の10型ダットサン、1932年(昭和7年)の11型ダットサンの時代からダットサン乗用車シャシーに外注のピックアップまたはパネルバンボディを架装した記録は残っているが、商用パネルバンが正式なカタログモデルとなったのは1934年(昭和9年)9月デビューのダットサン13型から、トラックについては1年遅い1935年の14型で初めてカタログモデル「14T型」がデビューした。最初の14T型トラックは日産が裸シャシーまで造りボディは外注されたもので、日産横浜工場でボディまで載った完成車としてトラックが造られたのは1937年(昭和12年)デビューの15T型トラックからであった。
この最初のダットサン・トラックは2005mmのホイールベースやサイドバルブ722ccエンジンといった基本はダットサン乗用車系と同じながら、500kgの荷重に耐え得るよう商用系のシャシーは各部が強化されタイヤや最終減速比も変えられていた。戦時体制のために乗用車系は1938年(昭和13年)までで生産がストップしたが、トラックについては軍需用として終戦前年の1944年(昭和19年)まで生産が続けられた。戦後は基本的に戦前シャシーのままでボディプレスも殆ど変えずに生産が再開され、エンジン出力を戦前の15ps~16psから20ps、最終的には25psまで上げながら1954年(昭和29年)まで連綿と製造された。最初のダットサン・トラックは1935年の初期型と1954年の最終型とでは第二次世界大戦を挟んで20年近い時の隔たりがあるが、基本的には同じ外観のままだったと言える。
真にモダンな戦後型ダットサン商用車がデビューするのはダットサン乗用車110系と同時発売の120型トラックの登場まで、終戦から10年もの時を待たねばならなかった。


【主要スペック】 1937年 ダットサン15T型トラック
全長2797mm(バンパー共3020mm)・全幅1197mm・全高1550㎜・ホイールベース2005mm・車重670kg・FR・水冷直列4気筒SV722cc・最高出力16ps/3600rpm・圧縮比5.4:1・最大トルク3.8Kgm/2.000rpm・変速機3速MT・乗車定員2名・最高速80km/h・新車価格: A型(半ドア型)1620円・B型(パネルドア型)1640円



●1939年(昭和14年)晩冬、銀座6丁目 フランス料理コロンバン前を行く1935年ダットサン・トラック14T型 (別冊CG「写真で見る 昭和のダットサン」より)
撮影: 写真家 師岡宏次氏(1914年-1991年)。1931年(昭和6年)11月に銀座6丁目角に門倉国輝氏(1893年-1981年)の手により開店した銀座コロンバンが鮮明に写っている。コロンバンの建物の角には派手なエッフェル塔の模型看板が付いている。銀座コロンバンは2階をフランス風サロンとして藤田嗣治画伯の天井壁画6枚を飾り、本格的なフランス料理店として開店し、菊池寛、東郷青児、丹羽文雄等の著名人が常連客だったと言われる。同店ではフランス料理・フランス菓子の皇室や宮内省等への配達用にダットサントラック14T型を2台購入して使用していたという。 コロンバンの奥に止まっているのは全てアメリカ車のようだ。荷車が走り、手前を野良犬が横切る、失われた冬の銀座の光景。現在は見かけなくなった野良犬は、この写真から更に25~30年を経た1960年代の東京にも沢山いて、オバケのQ太郎よろしく子供だった私は犬に追いかけられて逃げ回った経験が一度ならずある。
コロンバン



●1937年 ダットサン トラック15T型 カタログ (縦21.5×横15.5cm・6つ折12面)
フロントグリル中央の縦バーが太い戦前最終型ダットサントラックのカタログ。セダンの17型に相当するがトラックの戦前最終型の型式名称は17T型ではなく15T型。
戦前表紙


【中面から】
・中を開いていくとライトバンがトラックに替わる洒落た構成

ライトバン 
【生きた廣告 移動する店舗】
『美術的な色彩と意匠 印象的な可愛ゆき姿 
街から街へ お店の商品とノレンとを暗示しながら
スピードとスマイルとを振撒きながら 忠実な達者な配達車』
戦前(1)バン

トラック
戦前(2)トラック

内部機構
戦前(3)機構

15T型トラックの改良点
戦前(4)15T型改良点

スペック
戦前(5)スペック



●1935年ダットサン自動車正価表
トラックA(半ドア型)が1620円、トラックB(セダン型)が1640円、ライトバンが1720円と記載されている。一番お洒落なランブルシート付のロードスターはセダンやフェートンより安く1750円と意外にもライトバンの価格と大差ない。
価格表



●広報誌「ダットサン トラック ニュース 第6号」  (縦21.5×横15.5cm・12頁)
1937年(昭和12年)3月に発行されたダットサントラックに特化した広報誌の第6号。何号まで続いたのものか不明。表紙は東京駅丸の内駅舎をバックに荷物満載で走るダットサントラック。
ニュース表紙

【中頁から】
「ダットラ オンパレード」・・・・現在一般的な「ダットラ」の名称は戦後生まれたものではなく、意外にも戦前から使われていた。カラーでないのが残念だが、広報誌ならではの当時実際に使用されていたクルマ達の写真は興味深い。

上:熊本逓信局、下:洋紙の岡本商店 (日本橋)
ニュース(1)オンパレード

精養軒ベーカリー
ニュース(2)精養軒

煙草の釜屋商店 (新橋)・・・・人物が一緒の写真は物語を感じさせられる。
ニュース(3)煙草の釜屋人物入り

支那料理「山水桜」 (日本橋)
ニュース(4)シナ料理山水桜

お茶の山本山 (日本橋)
ニュース(5)お茶の山本山

日立製作所
ニュース(6)日立製作所

エビスビール
ニュース(7)エビスビール

森永製菓
ニュース(8)森永製菓

明治製菓
ニュース(9)明治製菓

茅ヶ崎町 消防組のポンプ消防車
ニュース(10)茅ヶ崎町消防組



●1937年 ダットサン自動車消防ポンプ (縦30.5×横23cm・4つ折)
戦前の日産消防車総合カタログの1頁。80型トラックベースの消防車やダットサンエンジンを用いた手曳きポンプも掲載された消防車専用カタログ。
消防車カタログ



●1950年 ダットサン トラック  リーフレット (A4・表裏1枚)
ホイールベース2005㎜、722cc15馬力とスペックも外観も殆ど戦前のままの戦後型。
リーフレット表

裏面: 図面&スペック
リーフレット裏



●1952年 ダットサン トラック 専用カタログ (B5判・2つ折4面)
牧歌的で絵本のような表紙が実に魅力的なカタログ。ホイールベースは145㎜延長されて2150㎜となり、エンジンも860cc20馬力に換装された。
牧歌表紙

【中面から】
札幌牛乳
牧歌(1)札幌牛乳

牧歌(2)シャシー他

運転席
牧歌(3)運転席・縦写真

図面
牧歌(5)図面アップ

裏面: スペック&図面
牧歌(4)裏面スペック図面



●1952年 ダットサン トラック 専用カタログ (B5判・2つ折4面)
上掲のカタログと同じスペックのカタログで発行された前後関係は不明。どちらのカタログも裏面右下に521=1952年1月と思われる同じ印字がされているが、表紙だけでなく中面も全く異なるカタログ。このカタログでは860cc20馬力になったことが強調されているので、発行時期は上掲のものよりこちらの方が先かもしれない。
黄色表紙

【中面から】
黄色(1)中全体

860cc20馬力となったことを強調
黄色(2)20馬力を強調



●1953年 ダットサン トラック 専用カタログ (B5判・3つ折6面)
型式名称7147型の記載があり、エンジンは860ccのまま出力は25馬力にアップされた。
53表紙

【中面から】
53(1)全体

三面図
53(2)三面図

裏面: スペック
53(3)裏スペック



●1953年 ダットサン商用車 総合カタログ (B5判・4つ折8面)
6147トラックに加えて、ダブルピックアップDU-5型、ダットサンデラックスセダンベースのデリバリーバンDV-5型を掲載。DU5型は4名乗り300kg積みで、ダットサン初のダブルピックアップ。
総合表紙

【中面から】
トラックのリアビュー
総合(1)リアビュー

ダットラ初のダブルピックアップ
総合(2)Wピックアップ

図面: 上 トラック、下 ダブルピックアップ
総合(3)図面2台

25馬力エンジン
総合(4)25psエンジン

シャシー
総合(5)シャシー

スペック(トラック・ダブルピックアップ・デリバリーワゴン)
総合(6)スペック



●1954年 ダットサン トラック 専用カタログ (A4判・2つ折?)
日本の自動車史研究の第一人者だった五十嵐平達氏のコレクションより。ネコ・パブリッシング発行のカーマガジンに五十嵐平達氏が連載されていた「コンテンポラリィ・ノンフィクション」の記事にて日産自らが戦前型ダットサントラックへの惜別の情を込めてつくったであろうカタログと記されているもの。ダットサンの1954年型カタログは総じて稀少だが、このカタログは特に稀少で五十嵐コレクション以外では見たことがない。五十嵐氏の没後、氏の膨大なコレクションはトヨタ博物館に寄贈されたので、このカタログも恐らく現在はトヨタ博物館に所蔵されているはず。
1954年五十嵐氏所蔵






★オマケ(その1): エブロ 1/43スケール 1938年ダットサン トラック
2011年発売。税抜定価4300円。品番は紺が44348、茶が44349。フロントグリルに太い縦バーの入った戦前最終の15T型トラックをモデルにしているが、何故かエブロの製品名ではセダン系と同じ17型の表記がされている。最近のエブロは生産数が少ないのか市場から消えるのが早いが、このトラックは不人気故か現在はまだ市場在庫があるようだ。
エブロ(1)
エブロ(2)
エブロ(3)
エブロ(4)




★オマケ(その2): 戦前絵本「ジドウシャ」 表紙 (B5判・20頁)
1940年10月25日 絵本文化研究会発行。東京市下谷区の二葉書房 発売。当時定価20銭。絵:上田三郎画伯・文:奈街三郎氏。表紙はフロントグリル中央に太い縦バーの入った戦前最終17型ダットサン・フェートン。男の子と女の子を乗せてお父さんが運転。トラックではないが戦前のダットサンということでオマケに掲載。中頁も当時の国内で見られた自動車が多数描かれている魅力的な絵本。
絵本フェートン


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